第5話友達
『もちろん。私はできない事を提案なんかしたりしないよ。どうする?』
私は迷う。
友達…
最後に母やホープ以外とまともに会話したのはいつだったっけ?
そう考えると私のいじめはかなりの間続いていたらしい。
でも彼女達を恨んではない。
まあ、あんな目にあったからだけど…
むしろ申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
コクリ。
私は言葉に出さずに頷いた。
すると…
『オーケー。レベルは1〜10…レベルが高い程確実に…』
「1でっ!!」
私は思わず叫んでしまった。
通行人や学生達が振り返る。
私は咳払いをして誤魔化す。
『えー…レベル1だとせいぜい1人か2人しか友達できないよ?おすすめは10だよ。学校のみんなが友達になるのはもちろん、おまけに日本国民みんなから美月ちゃんは賞賛の嵐…』
よくわかった…
最後まで聞くまでもなく、レベル10はロクでもない。
言い終わらないうちに私は言う。
「もし私がレベル10って言ったらどうするつもりだったの?」
『よくぞ聞いてくれました。今から準備するとして、約3時間後に美月ちゃんの学校にテロリストが襲来。テロリストは教師や生徒を十数人殺傷して、学校を占拠…でもそれに勇敢に立ち向かう少女が1人…それが美月ちゃんなのです。犯人一味は美月ちゃんに危害を加えようとするけど何故か火薬が暴発…まあ、電磁波を流して私がやるんだけど…あたりどころが悪くて動けない犯人を捕まえて美月ちゃんは警察に通報…。一躍時の英雄に…」
「いや、絶対ダメだよね?人死んじゃってるよねそれ!?」
『美月ちゃん。大事をなすには多少の犠牲は仕方がないよ。美月ちゃんが英雄になる為に散っていった人達の犠牲を無駄にしない為にも美月ちゃんは…』
「絶対却下っ!!それをやったらホープとは絶交するっ!!」
そう私が言うとさっきまで流れるように打たれていたスマホの文章が目に見えて辿々しくなる。
『まま待ってよ美月ちゃん。…ごめん…ごめんなさい。絶対にやらないから…そんな事言わないでよ…ね?」
「なら…レベル1でお願い。一応聞くけど、レベル1は誰かが傷ついたりしないよね?」
『うん、大丈夫だよ。レベル1はほとんど社会に影響なんか与えない。私もただきっかけを作ったりその補助をするだけだしね?』
こうして私とホープの友達作り作戦は動き出した。