表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/117

第48話三島莉緒那


たくっ…

なんであたしがこんな殺し屋みたいな真似をしなきゃなんないのよ…

若いころならまだしも、もはや今年で86だ。

健康には気を使っているが、世間から見れば老婆と言っても過言ではない。

老体に鞭を打ってこんなことをしているのは、これが最後の大仕事だからだ。




クソ兄貴が…

いや、正確にはアイツの舎弟の中で一番頭のキレる本郷龍二が、ロシア製模倣型人工知能、ガスポートに対し、大金を出資していることが事の始まりだった。


〜約3ヶ月前〜


兄…

毛嫌いしているクソ兄貴である三島煌一の一番上の舎弟、本郷龍二があたしのところに訪問してきたのがはじまりだ。


「…それで?天下の八代目北川組の組長さんがあたしに何の用かしら?」


突然のその訪問に嫌悪の感情を隠しもしない三島莉緒那は言った。


「まあまあ、莉緒ちゃん、落ち着けよ?可愛い顔が台無しだぜ?それに俺に対してそんな他人行儀な呼び方は悲しくなるぞ?昔みたいに龍兄って呼んでくれよ?」


度重なる整形手術の繰り返しで、20代の美貌を保ち続けているその顔の眉間に皺を寄せ、三島莉緒那は部下が買ってきたばかりのタバコに火をつける。

寿命が縮まるからタバコは滅多に吸わないが、ほぼ確実にコイツが持ち込んでくるのは、クソ兄貴の関係の話だ。

タバコでも吸わなければストレスで逆に寿命がなくなりそうである。


「あのバカが死んだって言うなら昔みたいにそう呼ぶわよ?昔言わなかったっけ?本当にあんたの妹だったらよかったのにって…」


「ははっ、まさか?あの人はあと50年は生きるぞ?殺したってあの人は死なねーよ。ガキの頃、莉緒ちゃんがそう言ったのは俺も覚えてるぞ?とんでもない美人で賢い莉緒ちゃんにそんなことを言われて、たぶん兄貴がいなければ本気で告ってたぞ?」


本郷龍二は笑いながらそう言った。


あのバカと言うのはもちろん三島煌一のことだ。


なんだかんだ三島莉緒那と本郷龍二の付き合いは長い…

歳が一つしか違わないのもあるが、それこそ子供の頃からの付き合いだ。


「へぇ?相変わらずお世辞が上手ね?案外あの時そう言ってくれれば、今のあたし達の関係は変わってたかもね?」


「ははっ、冗談きついぞ?莉緒ちゃんは自分じゃ気づいてねーかも知れねーが、正真正銘あの人の妹だよ。莉緒ちゃんとそんな関係になってたら、俺なんか利用されるだけ利用されて今頃あの世行きだよ」


結婚した男性が…それも大富豪ばかりが次々に不審死を遂げる…

にも関わらず、一切の証拠を残さない。


史上最悪の結婚詐欺師…


それが三島莉緒那の正体だ。


「…で?昔話はこれぐらいにして、何しに来たの?」


三島莉緒那は毛嫌いする兄の妹であると言われたことに若干不機嫌になりながら言った。


「まあ、そうだな。なあ?莉緒ちゃんはガスポートって知ってるか?」


本郷龍二はついに本題を切り出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ