第39話メデューサ
「姉御〜。特服洗ってきました〜」
「未亜、ありがと」
私は未亜に礼を言うと、捌番隊隊長とデカデカと刺繍されたそれを受け取る。
できれば恥ずかしいからあんまり着たくないけど、中学の制服で参加するのは絶対にマズイのぐらいは私でもわかる。
〜
駅の多目的トイレで私と華音は着替えを済ますと、そのままメデューサの集合場所へと移動する。
「ご無沙汰してます」
「お疲れ様です」
私と華音は総長の……えっと……涼子さんだったかな?…にあいさつする。
メデューサの集会に出るようになってはじめて華音が敬語を使う姿を見て驚いたのは、今でも記憶に新しい。
「おお?美月?生きてたか?華音から話だけは聞いてとが、全然来ねーから心配してたんだぜ?」
「…すいません、なかなか来れなくて…」
「いい、いい。気にすんな」
「…ありがとうございます」
男勝りな話し方の涼子さんと私はそんな会話をする。
ちなみにありがとうございますの前に一瞬間が空いたのは、気にしてるから無理矢理呼び出されたんだろ?って言う私の本音があるからだ。
まあ、涼子さんは私達の8つ上で、今年で22になる。
そして来年には結婚するから引退するらしい。
それに伴って副総長の詩乃さんも引退するらしいから、トップが二人抜ける形になる。
当然、今の空いた穴は今の特攻隊長、親衛隊長、遊撃隊長から繰り上がりになり、私達の中からもそのさらに空いた席に繰り上がりになる者も出るだろう。
だからこそ涼子さんは、私の出席率の悪さに気が気でないという話も華音から聞いていた。
まあ、メデューサの中でも最年少幹部である私達がさすがにその席に抜擢されることはないとは思うが…
「まあ、久々だしな?適当に流してけよ?」
「「はい」」
私と華音は揃って返事をする。
ところで皆さんはお気づきだろうか?
メデューサはレディースチーム…
つまりは暴走族である。
そして、私はその8番隊の隊長である。
うん…
一応私は抵抗したよ?
中学生がバイクはいろいろダメだ。
そもそも運転なんかできる自信はないし…
だが、今私の股の下には黒とピンクに塗装された可愛らしいデザインのマジェスティがある。
それも用意したバカ…(ホープ)の自動運転サポート付きの…
〜
その後、続々と集まってくるメデューサのメンバーに軽くあいさつをしたり、立ち話をしたり…いや、バイクに座ってるから座り話?
まあ、どうでもいいか。
そんなことをした後に私達は夜の街へと走り出すのだった。




