第36話待ち伏せ2
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!
大量に集まったドローンの耳障りなプロペラの音がこだまする…
例のごとく全てのドローンには一瞬で戦力を削ぐレベルの武器がそれぞれ搭載されている。
「玲那さんっ!!なんなんですかっ!?これっ!?アイツ本当に人間ですかっ!?」
「知らねーよっ!!」
玲那の隣で騒ぎ立てた男子に玲那は蹴りを見舞う。
その一撃でその男子は1メートル程吹き飛び気を失った。
「クソっ…死神女王…覚えたからな…」
玲那が最後にそう捨て台詞を吐くと同時にドローン達は一斉に襲いかかる…
〜
そこから先はもはや地獄絵図だった。
催涙ガスドローンが散布する最悪の環境の中、スタンガンドローンとプラスチック弾ドローンが次々と仕留めていく…
1分もかからずに待ち伏せていた全ての存在が地面に倒れ伏すと、動けるドローン達は飛び立ち、僅かに落とされたドローンも回収ドローンが持ち去る…
「…何体いるんだよ?ウチや未亜の時にきたのはほんの一部なのかよ?」
「未亜もその辺聞きたいです〜」
華音と未亜はそんなことを言うが、そんなことは私も知らない。
知っているのはホープだけだ。
「ツネニ、セイサンチュウダカラ、イマ、ウゴカセルノハ、センタイニ、チョット、カケルグライダヨ」
肩の上の危ない九官鳥は言った。
もはやこの九官鳥が普通の九官鳥ではないのは知れ渡っている。
〜
その後はその日は何事もなく…
OBの先輩の店で例のごとく飲み会がはじまり、私のさっきの喧嘩?
の話が話題にあがったりはしたが、今日は私は早々に切り上げて、酔い潰れた剛先輩達と一緒に21時頃には帰宅した。
平和とは言えないが、こんな日々がずっと続くのは悪くないかも…
私は徐々にそんなことを思いはじめたのだ。
〜
場所は変わって…
〜某合衆国〜
そこでは二人の研究者が英語で会話をしていた…
「博士、今日は我々の招待を受けてくださりありがとうございます。博士が来てくれたってことは、我が国の研究に協力してくれるって事ですよね?」
「ああ、日本政府はすでにホープ開発の研究からは手を引いた。だが、ロシアはすでに劣化版だが、ホープに近いものを開発したらしい。このままでは世界の覇権は完全にロシアに奪われる…。協力は致し方が無い」
博士と呼ばれたその男…
ホープの生みの親であるその人物は言った。
「懸命なご判断です。博士。すでにマリアの骨組みは完成しております。あとは博士の仕上げがあればすぐにでも稼働は可能です。なんとしてもロシアのガスポートが動き出す前に仕上げなくてはなりません。待遇に関しては博士が望む条件を受け入れますし、ご家族に関しても一生面倒を見ることを約束しましょう」
「…マリアを見せろ。今すぐ仕事に取りかかる…」
「はい。これも世界平和の為です」
アメリカ製模倣型人工知能マリア…
ロシア製模倣型人工知能ガスポート…
そして、この研究者達は未だにその存在が健在であることを知らないが、日本製人工知能…最高性能にして最悪のAIホープ…
世界がこれらによってどう変わるかは人類は予測出来なかった。