第35話待ち伏せ
「つまんないっすねー。景気付けにそいつでもぶっ飛ばすっすか?」
光真君に適当に選ばれたその可哀想な生徒は顔を青くしている…
私や華音が首を縦に振ればその生徒はどうなってしまうのだろう?
「いや?やめよ?」
「めんどくせーことしてると置いてくぞ?」
理由は別だが、私と華音の意見が合った。
「はーい…つまんないっす…」
光真君は残念そうにそう言った。
暇な時はとりあえず誰かを殴るって噂は本当らしい。
そりゃ、一年極悪四天王なんて呼ばれるわけだよ。
私は思った。
〜
私達は玄関を出る…
だが、相変わらず人混み状態だ。
だが、これには理由がある。
校門の前で20人程の男女が待ち伏せているのだ。
「一中のバカ共か。俺が出るか?」
「剛?お前一人じゃそこそこ時間食うだろ?俺も出るわ」
剛先輩と猛先輩がそう言って前に出ようとする。
だが…
「先輩風吹かしてんじゃねーよ?3番手、4番手が?ウチに任せとけよ」
華音がその話割り込む。
ん?3番手?4番手?
萌から聞いた話だと私達の中学で最強は華音だ。
一中にも華音なみにやばいヤツが一人いるらしいが、ニ中では華音が最強らしい。
そして2番手には三年の剛先輩…
あれ?数が合わない…
「ミヅキチャン?ゲンジツトウヒハ、ヨクナイヨ?」
「うるさい」
私は肩の上の九官鳥を黙らせた。
そうこうしているうちに、校門前に待ち伏せていた20人程の男女の中から、金髪の女子が前に進み出る…
「よお?ウチの連中が世話になったみてえだな?一条と桜井と……アイツか?そいつを出せよ?」
うん…たぶんだけどこないだゲームセンターで揉めた女子の仲間だろう。
私のことは知らない為か、隣にいるこないだの女子のリーダー格に確認してから言った。
「玲那?相変わらずゾロゾロ引き連れなきゃ動けねーみてえだな?美月?ご指名だからやっちまえよ?」
華音は言った。
どうやら二人は顔見知りらしい。
てか華音?
私がやるの?
私が抗議の視線を向けるが…
「ウチが全員ぶっ飛ばしてもいいが、今やらねーと、数が増えて明日また来るぜ?」
「そうですよ〜姉御〜。死神女王が今の第二中のトップってことを〜バカ共にわからせてあげましょうよ〜」
バカやろう…
私は思ったが、案の定その未亜の言葉に玲那って子の私を見る目が変わる…
「!?っ、アイツが…お前らやるぞ…アイツをやれば二中を締めたも同然だっ!!」
待ち伏せしてた人達が皆、殺気立つ。
どうやらやるしかなさそうだ。
まあ、私は特にすることはないんだけどさ?
私がそう思うのと、ホープ指揮下の数百体のドローンが集まってくるのはほぼ同時だった。




