第32話麻雀
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「くそっ!!なんだこのふざけた配牌はっ!!やってられるかっ!!」
華音が麻雀卓に万札を叩きつける…
どうしてこうなったか?
時は数時間前に遡る…
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〜数時間前〜
「よお?美月?今日は早かったな?」
まだ誰も来ていない屋上のソファーに座る華音は、携帯ゲーム機を構う手を止めると言った。
「主に私のせいでいろいろありまして〜」
未亜は華音に訳を説明する…
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〜5分後〜
「それで?美月が麻雀をやりたいんだっけか?久しぶりだな。三人しかいねーが、一応三麻ならできるか。せっかくだから賭けるか」
「いや…それは賭けごとはちょっと…あんまりお金もないし…」
「アルヨ?デンシマネーヲ、カンキンスレバ、ホボムジンゾウニ?」
「は?」
私は素っ頓狂な声をあげた。
「マー、ワタシノ、チカラナラ…ツマリ、ミヅキチャンハ、セカイジュウノコウザカラ、ジユウニ、オカネヲ、ヒキダセルカラネ?」
賭博は軽犯罪である。
だが、そんなことよりホープを連れている私は知らないうちに大犯罪を犯しているようだ。
「聞いてないよっ!!」
「イッテナイモン?」
ため息を吐いた私は、結局賭博麻雀に参加する。
もうどうにでもなれ。
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〜現在〜
「持ってけよっ!!」
麻雀卓の上には華音が投げ捨てた5万円が乗っかっている。
どうやら私はビギナーズラックなのか勝ってしまった。
アガリに気付いていなかったり変な場所から配を取ろうとしたことも多々あったが、その度にホープがサポートしてくれたからこその結果でもあるが…
「カノンノ、ウチカタハ、ツヨキヲ、トオリコシテ、ムボウダヨ?」
「余計なお世話だ」
ゲーム以外の麻雀は初心者の私でもこの数時間でわかったが、華音は降りることをしない。
だからこそ、ノッている時は強いが、負けはじめればこうなるのだ。
「華音、さすがにもらえないよ…」
「勝負は勝負だ。持っていけよ。幸いウチは、昨日バカみたいに小遣いをもらったから財布に余裕はあるしな?」
華音の財布からは札束が顔を覗かせている…
あんな大金はじめて見たかも知れない…
華音の有無を言わせない態度についに私は根負けする…
〜
しばらくすると屋上に続々と人が集まってくる…
「お、麻雀か。久しぶりだな?」
剛先輩が参加したことを皮切りにみんなが代わる代わる交代で卓につく。
途中からはホープが私に代わって打ち始めた為、賭け自体はなくなったが、ホープが打つ麻雀は鬼のように強かった…
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そして、時間は昼休み…
「しっ失礼しますっ!!」
緊張の為か、顔が引き攣っている萌が屋上へと現れた。