第31話九官鳥4
「ハイヨ」
パァンっ!!
九官鳥ホープがそう言った瞬間だった。
未亜の木刀を持つ手首にピンポイントにプラスチック弾が放たれ、未亜は木刀を取り落とす…
「痛っ!?」
バチバチバチバチッ!!
私の肩から飛び立った九官鳥は空中で私の胸ぐらいの高さを維持しながら足から紫電を発光させている…
「姉…」
「やめてって言ったよね?」
「すいませんでしたっ!!」
私の若干怒気を含んだその言葉に、未亜は顔を真っ青にして腰を90度に折り曲げる。
〜
教室はシンと静まりかえっている…
みんな何か言いたいことはあるのだろうが、ここで口を開くものは自殺志願者である。
私が私自身の噂を快く思っていないことは先程のやりとりで明らかだ。
これで何か言うようなら、目の前にいる恐ろしい鳥型兵器をけしかけられると…そう思っているのだろう。
さすがにそんなことしないよ?
未亜じゃあるまいし…
「すいません、姉御の気持ちも考えずに先走ってしまい…」
たびたび思っていたが、未亜は真剣に話す時はいつもの間延びがなくなるようだ。
「いいよ。でも、もうしないでね?」
「はい!!二度と同じ失敗は…」
まあ、未亜も私の為にとやってくれたことだからこれ以上怒るのは、やめておこう。
そう判断して、私は席に着く…
〜
「姉御〜?喉乾きません〜?なんか買ってきましょうか〜?」
「姉御〜?お菓子食べます〜?」
「姉御〜…」
私の世話をやく未亜…
先程の出来事でお通夜みたいになってしまった教室には、私と未亜の会話しか聞こえない。
ホームルームまであと少しだが、今日はここにはいたくはない。
「萌」
「はいっ!!美月さん、お呼びですか?」
私の機嫌を伺う萌が私の机に駆け寄る。
この子は犬か何かだろうか?
「ちょっと耳かして?」
私は萌に耳打ちする…
内容は今日はもう教室にはこないから、あとでなんか新しい噂とかがあったら教えてと…
ついでにいつでもいいから、屋上にきて、この学校の話を教えてほしいと…
2番目の屋上の話は若干未亜は表情を曇らせたが、すぐに表情を取り繕う。
だって原因は私だけど、こんなお通夜みたいな教室に今日はいられる気がしなかったし、そもそも私はいじめられていたせいか、この学校の情報に疎い…
またこんなことになるなんか冗談じゃない。
「はあ…未亜、麻雀できる?私はゲームでしかやったことないけど、ちょっと教えてくれない〜?」
「はい喜んで〜」
ため息を吐きながら私は居酒屋店員みたいになっている未亜といっしょに屋上に向かうのだった。