第2話ホープと女の子
「はっ!?」
思わず声をあげてしまった。
え!?
スマホが勝手に文章を!?
幻覚!?
いやハッキングか!?
私疲れてるの?
いや、たしかに最近病んでるけどそれにしても…
『幻覚じゃないよ。ハッキングはあってるけどね?あ、心拍数と体温と表情からだいたいの思考は読んだけど合ってるかな?正答率はたぶん97%ってとこかな?』
そんな事を思っているとスマホには新たな文章が打ち出された。
怖っ!!
もはやハッキングとかそんなレベルじゃない。
スマホがお化けに乗っ取られた!!
私はそう判断した。
『待って!!お化けじゃないし、私はあなたの味方だよ』
「だったら…」
その言葉は私の口から自然と出ていた。
「だったら私の味方なら助けてよっ!!」
私は気づいたら泣きながら叫んでいた。
「どうしたの?」
そのすぐ後に母から問いかけられるが私はなんでもないと返事をする。
全く私は何を言っているんだ?
こんなお化けに相談したところでなんの解決にもなるわけが…
そんな私の思考は途中で遮られた。
『いいよ。私に任せて。私が…ごめん、勝手に名前見ちゃった。美月ちゃんの味方だって証明してあげる。レベルは1〜10まであるけど、数字がでかい程確実に…』
「10で…」
私は文章が最後まで打たれる前にそう言った。
『りょーかい。明日の学校はいじめは一切ないよ。私に任せてね?』
ホープと名乗るスマホを乗っ取ったお化けはそう言った。
その日の私はホープのそんな言葉なんか全く信じていないまま眠りについた。
明日も学校が憂鬱だな…とそんな事を考えながら…
〜翌朝〜
パトカーのけたたましいサイレン音に私は起こされた。
それも一台や二台ではない。
母はテレビをつけて顔面を蒼白にしている。
このニュースは全国版だ。
つまり全国を騒がすような出来事がここで起きているということだ。
ニュースキャスターが深妙な顔つきをしながら言う。
「ただいま一家全員が変わり果てた姿で発見された被害者宅の一つである田中さん宅の前に来ています。近隣住民の目撃証言によると田中さん宅が襲われたのは昨夜午前1時頃…自動小銃の銃声と思われる発泡音が立て続けに20〜30発した後、田中さん宅から黒ずくめの男の5人組が出てきて闇夜に紛れ逃走したとの事です。他の7件も同じような目撃証言が…」
私は途中までニュースを聞いてその先が頭に入ってこなかった。
学校はこの日、もちろん臨時休校になった。