第18話屋上にて…
「うん、お待たせ」
私は華音に軽くそう挨拶すると空いていた華音の隣に座る。
私の姿を確認すると莉奈が駆け寄ってくる…
手には私が頼んだファーストフード店の紙袋が何故か3つもある…
莉奈も食べるのかな?
私がそんなことを思うが…
「ポテトは○ック、バーガーはモ○、チキンはケ○タッキー。あたしのセンスで決めちゃいました。あ、ドリンクはモ○シェイクでよかったですか?」
どうやら莉奈は食べない…というかウー○ーさんに優しくない注文をしたようだ。
割り増し料金を取られないといいが…
莉奈はそんな私の考えを察したのか…
「どこもそれぞれいいところがあるんですから、1番美味しいところから買った方がいいですよ?お金なら心配いりません。どうせ猛先輩のお金なんで?」
「おいっ!!莉奈っ!!ふざけたこと言ってんじゃねーぞっ!!」
斜め迎えの席から怒鳴り声が聞こえた。
剃り込み坊主頭に金縁の色眼鏡…
タボっとした赤いジャージに身を包んだその姿はとても中学生には見えない。
ヤクザの部屋住みだと言われれば納得する見た目である。
「猛先輩?後輩には優しくですよ?あたしの入学当初は毎日会いにきてくれたじゃないですか?あたしのこと好きですよね?」
莉奈は真っ直ぐ猛先輩を見据えてそんなことを恥ずかしげもなく言った。
だが…
「…クソガキが…部屋片付けてから言えや…飲みかけのペットボトルの中で別の生態系ができてる女なんか冗談じゃねえ」
「失礼ですね。あんなのあたしも飲みませんよ。灰皿にしようと思ってとっておいただけですよ」
私は猛先輩と莉奈の会話だけで莉奈の部屋が人間の住める状態ではないのが容易に想像がついた。
私は何となく華音に視線を向ける。
「…ウチも何回か行ってるが莉奈の家はマジで酷えぞ?」
「!?っ、華音さんまでっ!?」
即座に切って捨てた華音に莉奈は心外だとばかりに声をあげる。
「みんな酷くないですか?これでもあたしけっこうモテるんですよ?」
莉奈の見た目なら…いや、それは華音もそうだが見た目だけならモテるのは頷ける。
頷けるが…
とりあえず一つだけ言えるのは、莉奈は私の中で残念な美少女であることが確定した。