第16話教室にて…5
「美月さんっ!!お願いしますっ!!」
「お前図々しいよ?」
最終的に強行突破に出た男子生徒に萌はそんなことを言った。
『滑稽だね?数時間前の自分の姿なのにさ?』
スマホの文章…
ホープにそう言われるのも仕方ない。
私も同感だ。
そんな私の視線に萌も気づいたようだ。
萌は真っ青になる。
「すっすいませんっ!!失言でしたっ!!」
私は何も言わない為、しばらく沈黙が支配する。
良輔は私に莉奈にうまく言ってほしく、萌は先程の失言を見逃して欲しいのだ。
そして…
「はあ…わかったよ。2人とも」
「「ありがとうございます!!」」
萌と良輔の声がハモった。
2人は一瞬、嫌な顔をするがすぐに私の前だということに気づいて表情を取り繕う。
てかせっかく集まってきたんだから
「ねえ?ちらっと聞こえたけど一年極悪四天王って何?あと暴君女帝って華音のあだ名?」
「えっと…」
私の言葉に良輔は口籠る…
私は萌に視線を向ける。
私の視線に萌はビクリと背筋を震わせたが、覚悟を決めたのか口を開く。
「美月さん…絶対に怒らないって約束してくれるなら話します」
怒られるような内容なのだろうか?
いや、莉奈のあの対応を見るならあのあだ名は屋上メンバーはあんまり快く思ってないのだろう。
まあ、私が怒ることでもない。
「いいよ。約束する」
萌は私のその言葉に安堵の表情を浮かべる。
「まず、この学校の屋上にいる方々はそのほとんどが名前以外に呼ばれ方があります」
莉奈の吸血姫や華音の暴君女帝みたいにか…
「なら、一年極悪四天王ってのは?はい。今の一年でもっともイカれ…訂正します。何するかわから…訂正します。行動が読めなく、尚且つ実力、権力ともに上位の4人がそう呼ばれています」
萌が2回も言い直したので逆にだいたいわかった…
「その四天王ってのは二年にもいるの?」
私はそう聞き返した。
「二年と三年はいません。八神さんのように別名を持ってる方は何名かいますが…」
何名か…
屋上のメンバーは昨日の私の歓迎会には全員参加した。
たしかOBの先輩の店を貸し切った時にきたのは、男女合わせて20名近くいたはずだ。
そのほとんどがそんなあだ名を持っていると見ていい。
ん?
待てよ?
ってことはまさか…
「ねえ?ついてないならいいけど、私はそんな別名ないよね?」
私が華音達と仲良くなった?
…のはつい昨日だ。
さすがに…
私はそんな事を思った。
だが…
「………」
萌の表情も良輔の表情も凍りついている…
オッケー…
あるのね…
私は確信した。




