第14話教室にて…3
「美月先輩?お腹が痛いんですか?ならお腹に優しいうどんとかが…」
うん…
純粋なのか?
バカなのか?
この子はそのどちらかということはわかった。
「…あれは嘘だよ。莉奈ちゃんはどうするの?」
私はとりあえず話題を戻す。
「あたしですか…?あたしは昼にはそれなりに目が覚めてるはずなので…カルボナーラにしました…」
なんか学校の屋上でフォークを使ってカルボナーラを食べる莉奈のシュールな絵が浮かんできたが、私は振り払う。
「華音は?」
「華音さんは…鳥○族におつまみを頼むみたいですよ…」
どうやら華音は昼間から既に飲んでいるようだ…
アル中かと疑いたくなるが、華音はシラフでも傍目から見れば全く変化がない。
単純に酒の強さが異常なのだろう。
「お昼か…」
私は考える…
クラスで給食を食べる選択肢もあるが、せっかく誘ってくれてるしな…
いや、そもそもあのクラスの腫れ物に触るかのような扱いの中ご飯を食べるよりは、華音達と屋上で食べた方が100倍マシである。
「ハンバーガーかな?」
「…マッ○とモ○とケン○ッキーどれがいいですか…?」
思えば学校帰りに友達とジャンクフードを食べるのが夢だった。
私は今までそんな友達はいなかったし、そんな機会もなかった。
「学校の屋上でピクニックだね?楽しそう。私もいっしょに食べたいけど今からじゃちょっと間に合わないかな…」
「美月先輩、昨日も思いましたけど、その喋るスマホどこで売ってるんですか?あたしも欲しいです!!」
ホープのその言葉で莉奈はだいぶ覚醒したようだ。
話の要所要所の気だるさが消えている。
いや、それより…
「間に合わない?」
「ふふふっ、美月ちゃん?私を誰だと思っているのさ?私の力をフル動員…いや、力のほんの一部を使えば人間の意識を乗っ取り、ホープとしての肉体を手に入れることなんか簡単に…」
「わー!!わー!!」
恐ろしいことを語り始めたサイコパスAIに最後まで言わせずに、私は無理矢理掻き消した。
「美月先輩?」
莉奈は小首を傾げる?
どうやらさっきのホープの恐ろしい発言は莉奈には聞かれてなかったようだ。
それにしても…
こうして見ると莉奈って可愛いよね…
寝癖にノーメイクにも関わらず…
鉄パイプを投げつける先程の一件を見ていなければまるで天使みたいだ。
「すいません。どうも朝の化粧はめんどくさくて…あとでしてきますね」
ジロジロと見ていた私のその行動に莉奈は別の解釈をしたようだった。