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第12話教室にて…


私の周りにはクラスメイト達が集まってくる…


一瞬の沈黙…


「…あの…美月……さん…」


そのあとに最初に口を開いたのは先程、華音に腹を蹴られて蹲った状態からなんとか復帰した萌だった。


「あ…うん…」


私は一瞬間が空いた、さん付けに戸惑ってそんな声をあげる。


「これ…できれば八神さんに渡してくれると嬉しいです…」


五千円札と千円札が何枚かと小銭が少し…

さっきのお釣りだ。


「華音ならまだ学校にいるんじゃ…」


華音…

本人がそう呼んでくれと言ったのだが、改めてその名を私が口にすると集まっていたクラスメイト達は目を見開く…


ホープと出会ってから2日目…

私だってこれが現実かどうか正直疑いたくなるぐらいだ。


「おっお願いしますっ!!お釣りを渡しそびれたなんて言ったらどんな目に合うか…私がこんなこと言える立場ではないかも知れませんが、それとなく美月さんの方から渡してくださいっ!!お願いしますっ!!」


立った状態のまま萌は90度に綺麗に腰を曲げる。


『図々しいなー。お断りだよ?ねえ?美月ちゃん?』


スマホの画面にはホープのそんな文章が浮かんでくる。


たしかに図々しい。

今まで私にしてきたことを思えばその一言である。


だが…


私は萌に視線を送る…


涙目で膝が笑ってる…

私はさすがに可哀想になってきた。


「…いいよ。華音に渡しとく。ついでに上手く口も聞いとく。これでいい?」


萌が涙目の顔を上げる…


「ありがとうございますっ!!この恩は忘れませんっ!!」


せっかく顔を上げたのに萌はまた90度になってしまった…


そしてそれを皮切りに…


「「今まで申し訳ございませんでしたっ!!」」


クラスメイト達は次々に私に謝罪の言葉を紡ぐ。


『コイツらは美月ちゃんに謝ってるんじゃなくて、華音が怖いだけだよ?聞く必要なんかないよ?』


ホープはスマホにそんな文章を打ち込むが、そんな事は私だってわかっている。

コイツらが恐れているのは華音に対する私の告げ口である。


ハイエース…丸坊主…レイプ…


男ならどうなるかわからないが、ロクな目に合わないのは明白だ。


「いいよ。終わったことだし…」


私は許した。

許してはないけど…

そう。

所詮コイツらが謝ってるは華音であって私ではない。


ただホープの言う通り、この日を境に私に対するイジメはなくなった。


「「ありがとうございますっ!!美月さんっ!!」」


まあ、代わりにこの態度だけど…


『女番長ってカッコいいなー』


黙れ。

私は思った。

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