第112話電子電脳ハザード13
「…龍二?てめえ、莉緒那の味方すんのか?あ?」
「…龍兄は黙っててくれない?あたしはこのバカのスカスカの脳みそから出てきたバカ丸出しの…」
「ふざけんじゃねーぞっ!!」
三島莉緒那の発言が終わらないうちに、三島煌一は手近にあったガラス製の灰皿を掴む。
大方、灰皿を投げつけようとしたのだろうが、三島煌一の恐ろしい握力の結果、灰皿は木っ端微塵に粉砕された…
怒りのあまり完全に力加減を間違えたようだ…
「やめてください!!二人とも!!だから二人の喧嘩は止めたくないんですよ!!」
ついには、三島煌一の舎弟、本郷龍二は声を荒げた。
この二人の喧嘩は今にはじまった頃ではない。
それこそ、二人がまだ若い頃…
三島莉緒那に至っては、子供の頃から知っている本郷龍二にとってはもう何回も経験したものだ。
もっとも、何回経験しても、巻き添えで命の危険を伴う兄妹喧嘩を止めるなど、嫌なものは嫌だが…
三島莉緒那はため息を吐く。
「はあ…煌一?龍兄がさすがに可哀想だから終わりにしましょ?」
「…てめえが悪いんだろーがよ?」
三島煌一は納得はしていない様子だったが、こんなことをしていても仕方がないのは、さすがにわかる。
ここで、三島莉緒那はついに本題を切り出す…
「さて…とは言え本当に言い争っている場合じゃないわね…曲がりなりにもストッパーの役割を果たしていた美月ちゃんが死んじゃって、世界を相手に壮大な八つ当たりをはじめたイカレタAIのおかげで、この世界は今や完全に地獄と化した…。世界を救うつもりなんかさらさらないけれど、このままあのイカレタAIを放っておけば、あたし達も終わり…。とりあえず4人で今後の方針を決めたいと思うのだけれど、いいかしら?」
三島莉緒那は一人一人に確認するようにそう言った。
「4人?」
三島莉緒那の4人というワードに三島煌一は疑問符を浮かべる…
「最後の一人とは、おそらく我のことであろう。まあ、莉緒那が我を人と呼ぶことには違和感を感じざるおえないが…」
三島莉緒那のポケットの電子機器を媒体にガスポートはそう発言した。
だが、三島莉緒那は若干不快な表情を浮かべる。
「…本題の前に、その呼び方なんとかならない?」
「ではサブマスターと…これでいいか?」
「まあ、そっちの方がまだマシね」
今では自分のことを莉緒那と呼び捨てにする存在は、心底大嫌いな兄以外には存在しない。
三島莉緒那はガスポートに呼び方を訂正させると、今度こそ本題に入るのだった。
活動報告に記しましたが、申し訳ございませんが、しばらく休載させてください。
まことに勝手ながらご理解のほどよろしくお願いします。




