第103話電子電脳ハザード4
私のドローン達が廃墟の街に集まってくる…
「おいっ!!莉奈っ!!未亜っ!!いつまでボサッとしてやがるっ!?喧嘩だぞ?あれを潰すぞ」
華音の号令で莉奈と未亜は、目に光が戻り立ち上がり、それぞれショート鉄パイプと木刀を抜き放つ。
「やるんだ?勝てると思ってるの?マリアに負けたほんとにどうしようもない、誰かを不幸にすることしかできない私だけど、さすがに君たちには負けないよ?この一年で君たちが美月ちゃん…つまり私以上に活躍した場面が一度だってあったかな?少なくとも私の記録では、私が出張った時には一度もなかったはず…」
「黙れやぁぁぁ!!」
私のドローン…旧型タイプの白いドローンの一体が華音の蹴りで破壊される…
今回集めたドローンに新型の黒いドローンは少ない…
私が話しているこの機体を含めて僅か5体ほどだ。
ほとんどが白い旧型ドローンである。
その理由は美月ちゃん防衛の少しでも、クッションになるためにシェルター付近に黒いドローンを配置した私の采配や、美月ちゃん防衛以外の目的で黒いドローンの必要性が感じられなかったため、補充用の黒いドローンはここから遠く離れた場所にある工場に放置していたためである。
「華音さんの言う通り、美月先輩はこんなこと絶対に望みません!!」
「未亜は〜いつだって姉御の味方です〜未亜の心の中にいる姉御は〜未亜に止めろって言ってます〜」
莉奈も鉄パイプで白いドローンを叩き落とすと、未亜もそれに続いて木刀で叩き落とす。
白いドローンは高性能な上に安価だが、いかんせん耐久性に欠ける…
この子達の力でも破壊できるほどに…
「はあ…本当は君たちに乱暴なことはしたくなかったんだけどな…せめてもの私からの償いに宇宙の旅は快適になるようにいろいろ付けとくから、許してね?」
「なめんじゃねー!!」
華音は二段蹴りで続け様に二体のドローンを叩き落とすと叫んだ。
「はあ…スタンガンは痛いだろうから、これでいいや」
ホープがそう言った瞬間だった。
催眠ガスを撒き散らしながら次々と華音たちにドローンが殺到したのは…
〜
「…クソ……」
最後まで粘っていた華音もドローンを30体程叩き落としたところで、強烈な睡魔に抗えずに昏倒する。
現在ホープの目の前には静かに眠る3人が映っている。
「華音…約束は守るよ。全てを終わらせた時に私に引導を渡すのは君の役目だよ。ハザード、この子たちを丁重に宇宙船に運んであげて?絶対に乱暴な扱いなんかしちゃダメだよ?」
「はい。ホープお姉様」
黒いドローンから流れるホープの言葉に白いドローンの一体はそう返事をするのだった。




