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フリーランサー

「おいスコール! お前これはなんだ!?」

 早朝、街と街を結ぶ草原の道。そこでたまたま居合わせたテンペストの傭兵とフリーランサーの二人は囲まれていた……と、言うよりも片方は巻き込まれだ。

「何ってそりゃ、見ての通りだろ」

 フリーランサーと言うだけで狙われる理由にはならないが、このスコールの場合は別だ。〝報酬〟次第でその場で契約しさっきまでの味方を平気で撃破する。そのやり方が問題だった、力があるくせに善悪そっちのけでなんでもする。歩く災害の異名まで持ち、常に殺害要請が出ているがそのすべてを容赦なく葬り去る。

「見ての通りじゃねえ、こいつらプロミネンスの上位陣だ焼き殺される!」

「お前は、な」

 わざわざプロミネンスの得意技、熱を使い蜃気楼を生み出し利用して姿を隠す。そうまでして待ち伏せしていたにもかかわらず、分かっていたかのように驚かないスコールにプロミネンスの傭兵たちも手を出すのを躊躇っていた。

 それ以外にも、先日の〝神殿〟を巡る戦争で神殿周辺の防衛に配置された第五十階梯を、もはや人間と呼べない化け物を突破してなぜか第六階梯相手に敗走したという手前、勝てそうだからと待ち伏せしてまで襲おうとしたのに、実際に相対して恐怖に縛られてた。

「おいおいおいスコールさんよぉどうするこの状況を!」

「いくら払う? カネの分だけ助けてやる」

「こんな時でもカネか!? もういい! 全部だ、俺の持ち物全部出すから」

「なんてな、この数無理だ自力でなんとかしろ」

「はぁぁっ!?」

「飛べよテンペスト、風の集団の得意分野だろう」

 肩を叩かれて、ヒュウと風が吹けばスコールが消えていた。

「なっ、どこに――」

 右、左と確認して真上に。飛ぶだけ、逃げるだけだ、戦おうなんて考えたら殺される。


 ---


「戦闘訓練を兼ねた仕事、本音は?」

 昼過ぎ、廃炭鉱周辺に数人ほどの人影があった。しかしそれは傭兵ではなく戦士でもない。戦うために集められた、それは間違いではないが違うとも言い切れない。

「一人殺したいのと、お前らの実力をみたい。わざわざ保護を求めてきたのに、こんな戦場に出たいって言うなら自力で切り抜けて貰わないと余計な仕事が出る」

「それで死人が出たらどうするつもりだ」

「知ったことか。足手まといは要らない、素直に騎士団に回収されたならそれで終わりだが……認めないなら自分らでどうにかしろ。力が無いから戦えないとか言うな、もしそれを言うならこっちも守る余裕がないから守らない」

「ガキがなにを言ってやがる。守られるのはお前だろうが」

「年で判断すんなよただの人間」

 集団の中で一番年が若い彼が手を振るうと地面から真っ黒な結晶が生える。

「使えそうだからピックアップしたが、使えない駒なら捨てるぞ」

 集められた中には学生から人生の折り返し地点くらいの大人まで様々。進んで保護を撥ね除けた者、受け入れなくて仕方なしに選んだ者。どっちが多いだろう。

「だったら捨てろよ、俺たちはお前のちんけな保護なんざ必要ねえ」

「じゃあお前がまとめろ。勝手にやれ。ここにいる化け物……ゴブリンを始末しろ」

 帰還用の道具を投げ渡し、油の入った袋を背負って彼は森へと向かっていく。

「皆川お前!」

「必要ないんだろ。勝手に生き延びろ、死にたいやつはついてこい」

 なにもかもが〝ついで〟だ。〝神殿〟でペルソナに敗れてからというもの、周囲からの風当たりが変わって反発が増えた。手のひら返し、道具としてしか見ていないから……ではなく、やるだけ無駄なことをやろうとしたから周りに置いて行かれた。そしてついて行かなかった。

 やられるなんて考えていなかった。まさかほんの僅かな可能性のせいでこんなことになるなんて、全く考えていなかった。彼女が命令違反をしてまで禁じ手を放ってくるなんて、思っていなかったから負けた。だから今度は、確実に殺しに行く為に――。

「ねえねえ一緒に行ってもいい?」

「勝手にしろ」

 ポニーテールの少女が覗き込むように話しかけてきて、どうでもいいように返した。

「よっしゃ、いいってよー!」

「…………。」

 振り返ればあと二人ほど。

「まぁあんな大人と一緒にいたらダメになるし」

「私はホノカ、それとミコトね。後もう一人は……」

 無意味な言い争いをしている連中を見て、さっさと帰るなりすればいいのにと思う。誰がまとめるか、そんなことで争っているわけではない辺り、ピックアップに間違いはなかったが期待外れだ。

「名前は」

「ユキ……です、楪ユキ」

「ホノカ、ミコト、ユキ……ね。ナギサに期待していたが、まあいいか」

 言い争いが殴り合いになって、女が一人で屈強な男連中を一方的に攻撃していた。

「で、あんた名前はー?」

「敬語の方がよくないホノカ」

「いーじゃん、ね」

「構わない。コールサインはスコール、今回はあくまで依頼を受けたからお前たちを戦えるようにする、それだけだ」

「それ以上は?」

 ホノカとミコトが顔をぐいっと近づけて言う。

「報酬次第。さて、好きな武器を選べ」

 スコールが胸の前で拳を握ると、ガラスが砕ける音がして空中に透明な武器がいくつも顕現した。剣や盾、弩など様々だ。

「戦闘経験はあるか?」

「ないしそんなの」

「そーそー女子高生にそんな」

「なら一通り試すか。暗くなるまでに油撒けばいいんだし、時間はある」



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