古い病気
何とか、間に合った。
運転をラズリアに任せ、手当てをしようとした、でもほとんど出来なかった。
魔力を合わせようにもぐちゃぐちゃで、とても私が合わせられる物じゃなかった。
ティルは辛そうで、短く、小さく、弱々しい呼吸を繰り返していた。
それでも何とか魔力を近付けて、ダレン爺の治癒石を使って何とか収まった。
マーチェスで一番大きい病院に転がり込んで、それからの事はあんまり覚えていない。
病院にティル預けて、しばらく待合室で待って呼び出されて、ここにいる。
「確認ですが、親御さんでは無いですね?」
「ちょっと事情がややこしいですが……」
私とティルとの関係を簡単に説明すると
「わかりました、魔裂症はご存知でしょうか」
「いえ……」
何かの病気なのは分かる、その後に続く言葉も何となく分かる。
「子供の頃、医療団で予防接種を受けたことあるでしょう?あの予防接種はこの魔裂症を防ぐ為の物なのですが……」
それから、その魔裂症がどういう病気なのかを説明された。
取り込む魔力と自分の中の魔力とが反発して自分の体を傷つけてしまう状態の事。
発症する前に予防接種を受けることで確実に防げる事。
ティルはその予防接種を恐らく受けていなかっただろう事。
それから
「……申し訳ありませんが治療出来ません」
ここで出来るのは対症療法だけだと、治療法が見つかっていない、と言っていた。
今はまだ症状を抑えられているが、これからも抑えられるかは分からない、最悪命に関わるかもしれない、と。
納得出来る訳がない、受け入れられる訳がない、それでも
「……わかりました」
そう言うしか無いじゃないか。
病院の個室、ティルは眠っている。
ティルが目を覚ましたらちゃんと説明しなくてはいけない。
ティルの体の事、魔力を使ってはいけない事、病気が治らない事、死ぬかも知れない事?
そんなこと言ってどうなる、不安にさせるだけだ。
ならどうしたらいい、どうすればいい。
何とかしてあげたい、何とかしなくては。
私に出来る事があるかは分からない、けど何とかしたい。
「……あの、先輩!」
静かな病室で不意にラズリアが呼んできた。
話を一緒に聞いている間、終始無言で何かを考えている様子だった。
「何とか出来るかもしれないっす、私に任せてほしいです」
以上で三章終わり。
次回更新は未定です。




