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パースペクティブ・ヴェリティ ~セカイを支配するパース~  作者: にのい・しち
那由多の神 〜エーディン・バタフライ〜
11/38

11、那由多の神。エーディン・バタフライ

 真紅に輝く長い髪は、まるでそこに空間があるかのように、無数の線が描かれ、いくつもの図を作り蜘蛛の巣を思わせる魔法陣を作っていた。

 その蜘蛛の巣は、角度がつくなどで奥行きを持たせ、広がりを感じさせる。


 神なんてものが人の前に現われると、ろくなこが起こらない。


 クロトが並木道を走って逃げると、10メートル程で身体に異変が置きた。


 身体の自由が利かない。

 まるで重力が前から当たっているように感じる。

 自分の腕に目をやると、いくつもの線が張り付き、後方に伸びている。


 その先には赤い髪の女。

 女は手をこちらにかざし、線はその手の平に繋がっている。


「君は正真正銘、特別よ。万物の根源たる原子、分子は有限でも、宇宙や次元が無限である以上、"セカイ"は再構築を何度でも試みる」


 彼女が手を引くと、クロトは身体を反転、彼女と向かい合わせにさせられる。

 自分の身体をよく見ると、全身から線が伸び、全て女の手の平に繋がれていた。

 女が腕を引くと線で繋がれたクロトは引き寄せられる。


 これはマリオネットのそのものだ。

 

 クロトは抵抗を試みるが、身体は自然と女の方に引き寄せられ、まったく歯が立たない。


 ディキマと名乗った、真紅の髪を持つ女は、声を弾ませ言う。




「君は創造主の生まれ変わり……さぁ、人間という醜い芋虫から、美しい蝶を解き放ってあげるわ」




 蟻地獄のように線に引きずられ、じりじりと後退して行くクロト。

 もがき抵抗する少年を、あざ笑いもて遊ぶ真紅のディキマ。

 

 クロトが大の字になり、空間に貼り付けにされたように動けなくなった。


 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

 誰か! 誰か助けて!? 


 人気のない道で叫ぼうにも、まるで喉に石でも詰められたように苦しいなり、大声を出すことが出来ない。

 

 僕はどうなるんだ! このまま捕まって、溶けて死ぬのか? 死にたくない、死にたくない!


 少年が抵抗する力を無くし、四肢が投げ出されると、宙に浮いた身体が夜の闇に吸い込まれた。

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