最終レポート
読者諸君の中にも疑問に思う人間が多いのではないだろうか。
『何故童謡の数曲で精神異常をきたしたのか。』
『そんな短期間で人は精神異常を起こすのか。』
『一体その子どもは何者か。』
私にも全く解らなかった。二週間もせずに人を発狂させる根源は一体何なのか。
そして、童謡の内容やリズムに原因があるのか、と思った。
蝶ヲ毟ツタ 蛾ガ嗤ツタ 蛾ヲ踏ミ殺シタ イヒト嗤フ僕ガ居タ
アハハノハ 踊マセフヨ アハハノハ 羽根撒キ散ラシ 踊マセフ
しかし、内容以外は全く予想もつかないのである。聴いたことがない、聴くことがまずないからである。全て疑問でしかない。
例の子どもに関してもどこから来たものか、どうしてその瘴気は、その魔力は生まれたのか。記述を元にすると奇形児なのだろうか。私は調べに調べ尽くした。手記を読み返し、情報を洗い直した。そして、もしかしたら、という結論に至った。
もしかすると、地獄から獄卒が征服しに来たのかも知れない。
もしくは、それこそ蠅王の側近がやって来たのかも知れない。
信じたくはないが、そのような非科学的な結論に至るしかないのだ。地獄が世間に再び姿を誇示せんとしているのだ。何処かの厭世主義者達や、終末思想の狂信者共が呼び起こしたのかも解らない。
そうして狂人が溢れ、血塗れになり、恐怖と狂乱に包まれた世界を半笑いの獄卒共が蹂躙していくのだろうか。直にやって来る。今この時も道教が唱えた閻魔大王が、地獄の十王が、罪深きこの人類に、生者に、裁きを下す時を待ち望んでいるのだ。都市を狂気の影が覆い、退廃の中、狂気の宴が始まるのを待ち望んでいるのだ。
私は自らの正気を試すためにこのレポートを書いている。
しかし、どうやら私も正気ではなくなっているのかもしれない。
このレポートを読んだら、どうか、Gの手記と共に誰の目にも付かぬところへ処分してほしい。
私の目の前にも、獄卒が、蠅王の側近が、恐怖の怪児が・・・・・・
狂気万歳。
意味不明にも思われるこの短編?中編?を読んでいただき有り難うございました。




