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突然の出会い


火野村先輩目掛けて駆け出す!そして刀を横薙ぎに振るう!

体を屈めて俺の攻撃を躱した先輩が銃口を向けてくる。放たれた炎。それを刀を逆手に持ち替えて受け止めた!

いきなりこんな攻防やんなきゃいけないのかよ。レベル高すぎだろ!


先輩から距離をとって、刀を構え直す。どうするか。力任せにやっても勝てない。だからと言って知恵比べなんて出来っこない。何もかも負けてる。でも負けたくない。


先輩との距離を詰めて、刀を振り上げる! それを先輩は体を横に折って避けた。反撃の銃弾を刀で弾いて、また距離をとる。

その後も幾度となく攻撃を繰り返す。その全てがいなされて必ず反撃が来る。

完全に見切られてる。しかも確実に攻撃の隙を突かれてる。笑えるくらいに勝ち目がないな、これ。

でも、俺にだって手がないわけじゃないぜ。一か八かになるけどな。


もう1本刀を抜いて刀身を発する。二刀流。これが俺の切り札。行くぜ────!


両手に持つ二刀による連撃。右が避けられたなら左! 左が避けられたら右! それを繰り返して先輩の逃げ道を塞ぐ!


「なかなかいい動きするじゃない。今まで頑張ってきた甲斐があったわね」

「ありがとうございます! でも────」


当たらない! 俺の動きが分かってるかのように全てを紙一重で躱される。どうすれば・・・・・・。


「ふふふ。あなたの魔法はこの程度かしら? ほら、私の番よ」


二刀の隙間から先輩の魔法が襲ってくる! 防御する暇なく俺の顔面に衝突して爆発した!

尻餅をついた俺に追撃の魔法が放たれた。今度は刀を交差させて防御する!

このままじゃ負ける。こうなったら更に一か八か。今まで成功したことないけど、やってやるさ!


属性変化エレメンタル────雷刃らいじん!」


2つの刀の刀身が炎から雷に変化した! よし、ここまでは成功。問題は次!


「更に・・・・・・水刃すいじん!」


右手に持った刀が水の刀身へと変化する。両方の魔力を弱めずに違う魔法を発現する。これが簡単のようで難しい。魔法は頭のイメージによって力を増すから、両方の魔法を全く同じクオリティで頭に映さないといけないんだから。

迫ってくる魔法を躱して刀を作る。駄目だ、上手くいかない。作戦変更────とにかく突っ込む!


目に見える魔法は方で弾いて先輩に突貫する! 俺の刀は当たらない。でも、それは俺が悪い。俺の動きが大雑把だからだ。一回切りの大技!


「水刃────両手版!」


両手の刀が水に変化した! その刀を振り下ろして先輩のいた場所を切り裂く。やっぱり紙一重で避けられた。俺の動きは止まらない。いや、止める必要がない!

地面にぶち当たって水が弾けた。跳ね上がった水しぶきが先輩の体を濡らす。そのまま────


「続いて、雷刃!」


発現した雷が弾けた水を伝って、先輩の体を走る!


「くっ────んんん!」


声を抑えて耐える先輩。この隙を逃す手はない。追撃の一撃! 先輩の肩に刀の峰を殴りつけた!

さすがに切りつけるわけにいかないからな。峰打ちだ。それでもダメージは大きい。先輩は肩を押さえて銃を俺に向ける。


撃ち出された魔法を刀でなして先輩にもう一太刀浴びせようと刀を振り上げた! これで止め!


「そう簡単に────やられないわ!」


先輩が魔法を放つ。衝突する魔法と刀。今まで受けたものとは比べ物にならないくらい強い! くそっ! こっちはずっと全力だっていうのに。あっちはまだ余力を残してる!


凄まじい爆発音が全身に響く。爆発した先輩の魔法は刀を砕いて俺に襲いかかってきた!


吹っ飛んだ俺の体は壁に叩きつけられてくの字に折れて血を垂れ流す。痛い、あと焼けるように熱い。くそっ、くそっ、くそっ! 体が動かない。

しかも腕輪が小さく電子音を鳴らす。限界だ。麻酔が打たれるのも時間の問題。完全に俺の負け・・・・・・。


「決着────! 勝者3年代表火野村桜花! 生徒の皆さん、勝者と敗者、その両者に拍手をお願い────」

「春くん! まだ終わってないよ!」


鳴り始めた拍手の中で女の声が聞こえた。その声の主は続ける。


「火野村先輩は憧れなんでしょ! だったら諦めないで! 今諦めたら絶対後で後悔するから! だから────」

「日向! 何言ってるんですか! 春は傷だらけなんです。これ以上無茶させて一生の傷になったら」


多分、桜に押さえられたんだろう。途中で日向の声は聞こえなくなった。でも言う通りだ。


「ああ・・・・・・、そうだ。ここで諦めたら後悔する」


震える足。力の入らない腕。それらに鞭を打って立ち上がる。刀はまだある。なら────戦える!


走る。ただ先輩目掛けて真っ直ぐに! もう時間が無い。だから小細工はなしだ!


「ふふ。それでいいの。それが、私が選んだ理由なのだから!」


再び撃ち出される魔法。それを大きく左右に動いて躱す。先輩まであと10メートル。もう少しで俺の領域テリトリーに入る!


「面白いわ。本当にあなた、大好きよ!」


先輩まで5メートル。あと1歩。だが目の前に先輩の銃口が見えた。魔法が発せられる────タイミング。そう、タイミング。あと1歩で勝てるんだから!


「うおあああああああああ!」


俺の咆哮に呼応して刀身が強く生まれた! それは先輩の炎を薙ぎ払って無防備な先輩の姿を俺の目に映し出す!

あと一撃! このまま攻めれば────

ピー! と腕輪から無機質な音が出る。それと同時に体中の力が抜けて地面に倒れ伏した。


「なっ・・・・・・。ここで、かよ」


今の俺に落ちてくる瞼を止める術はない。審判の告げる勝敗を拒否する様に俺の意識は一瞬で闇に落ちていった。






「あっ! 起きた!」


目が覚めた時、日向の顔が目の前にあった。頭がボーっとする。これも麻酔の効果か・・・・・・。


「日向・・・・・・。そっか、負けたんだっけ」


体が重い。ゆったりと起き上がって周りを見渡して見ると誰もいない白い部屋。カーテンに囲まれてるベッド。どうやら俺は保健室にいるらしい。

まっ、当たり前だよな。ボコボコにされたし。


「大丈夫? ごめんね、最後は止めておけば良かったね。そしたら・・・・・・」

「いや、あれは助かったよ。日向が叫んでくれなかったら絶対後悔してた」



落ち込む日向の頭を撫でる。負けたことには変わりないけど、やるだけやった。なんとなくだけどさ、清々しいんだ。


「えへへ。うん、ありがと。春くんの手は暖かくて気持ちいい」

「そうか? よく白の頭撫でてるからかな。手馴れてきたのかもしれない」

「うん。もうちょっとこのままがいいな・・・・・・」


日向が少し顔を赤らめて言った。こいつ・・・・・・、こんな顔出来るのか。なんで今更こいつ見てドキドキしなきゃいけないんだ。


「はあ、しょうがないな」

「お前ら何やってんの?」

「「おえああああああああああ!」」


突然カーテンが開けられて白泉が顔を出してきた! 2人して大声を上げて飛び上がった!


「何? お前ら付き合ってんの?」

「そんなわけないだろ! なんでこんな奴と────」

「こんな奴!?」

「いいじゃん、隠すなよ。如月も可愛いだろ」

「そういう問題じゃねぇよ! こいつを恋愛対象って絶対ありえないから!」

「ありえない・・・・・・」

「いやいや。実際そんなことないだろ。近くに女の子がいたら、もしかしてとか思うだろ?」


このやり取り何回やったんだよ・・・・・・。まあ、桜みたいなのがいるから否定は出来ないけど、日向はありえない。なんというか・・・・・・家族みたいな感じがする。昔からお世話になってるし、ずっと一緒にいるからかな。

────って言っても信じてもらえないから話を変えようと時計を指さす。


「つーか、もう6時か。帰ろうぜ、暗くなる前にさ」

「うん・・・・・・。そうだね、桜ちゃんの部活ももう終わってるはずだから迎えに行こうか」


さっきと打って変わってテンションの低い日向。腹でも痛いのか?

とりあえず白泉達と保健室を出た。





空は既に暗い。桜と合流した俺達は光る街頭を頼りに帰路についていた。

何故か、いつもよりも暗い。星一つ見えない空模様のせいか。はっきり言って不気味だ。


「それでね! ────」


前で桜と日向が談笑している。さっきのテンションの低さはなんだったんだ? 桜と会った途端に元に戻ったけど・・・・・・。よう分からん。

2人を眺めてる白泉が言う。


「やっぱ良いよな、美少女2人が笑ってる光景って。心が癒されるぜ」

「そうだなー。片方は微妙だけど」

「如月も可愛いだろ、実際。あんま言うと男子に殺されるぞ」

「分かってるよ。でも日向に関しては過大評価だと思うけどな。割とマジで」

「よし、俺がお前を殺してやる」

「なんでだよ! お前もしかして────」

「ちげぇよ。あの2人に手を出す程馬鹿じゃないからな。」


白泉が苦笑いして答えた。こうは言ったけど最初は桜目的で近づいてきたんだよな、こいつ。確か・・・・・・振られたんだっけ? なんか、奢ってやった気がするから多分そうだ。それからも友達っぽく関係が続いてるから凄いよな。俺だったら絶対無理だ。


「いいじゃん。当たって砕けろよ。あの2人ガード硬いからな。相当難しいぜ」

「ったく、誰のせいだと思ってんだよ。この馬鹿野郎」


白泉と笑い合う。その中に不自然な何かが聞こえた。鳴き声みたいな・・・・・・?


「白泉、何か言ったか?」

「ん? いや、何も言ってないけど」

「だよな。じゃあなんだったんだ?」


何か嫌な予感がする。虫の知らせって言うのか? 悪寒が止まらない。この先に────何かいる。


「ぐるるる!」


先から聞こえる唸り声。


「白泉。2人を頼んでいいか?」

「えっ?」

「とりあえず黙って逃げてくれ。早く!」


白泉にはまだ見えてないが、遠く街頭に照らされて見える。闇夜を纏う漆黒の毛並み。星のように煌めく双眸。

絶望を体現したかのような巨大な狼が血に濡れた牙を覗かせていた────。

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