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就職希望勇者

書いてる本人ががんばりませんからねぇ。

「次の方どうぞー」


一つのフロアの一部から、中年男性の声が聴こえた。


「えー、空中昴(そらなか すばる)さん。ご希望の職種は、事務系のお仕事ですね」


「はい」


「今現在は、勇者をなされてるということなんですが、良い職業なのになぜ転職を?」


「正直に言うと、なりたくてなったわけではなくて、成り行きと言うか流れに身を任せた結果と言うか。それに、職業って言ってもフリーター扱いですし」


「確かに、一般企業だと勇者は未だに正規就職とはみなされていないのが現実ですね。まぁ、人生思い通りに行くことの方が少ないですから。えーと、こちらの会社なんかはどうでしょう?月給18万円で昇給賞与は年2回の週休2日です」


「じゃあ、一回受けてみます」


「わかりました。では、こちらから連絡を入れておきますので来週の月曜日の午前10時に面接に行って下さい」


「わかりました。お願いします」


面接を受ける会社が決まったところで、ハローワークから出る。

夏の厳しい日射しを受けながら家に向かってあるいた。

なぜ、僕が勇者になったかと言うと、普通の一般的な小説とかなら経緯等が語られるが、僕はめんどくさいのでそんなことはしない。

想像で勝手に決めて下さい。


だいたい、こんな真夏の暑い時に何も考えたくない。

もう、脳ミソが蒸発してしまいそうだ。

その時、マナーモードのままのスマホが震えた。

ディスプレイには、『並々浪鷹(なみなみ なみたか)

と表示されていた。

僕は、静かに右側に表示されている赤いマークを左にフリックした。

さて、帰りにアイスでも買って買えるか。


「何もなかったかのように流してんじゃねぇよ!!」


振り向くとやつがいた。

いや、決して今のは昔あった某ドラマ風に言ったわけではない。


「いるのに電話してくんなよ。なんだよ、携帯を震わせやがって。会いたくて震えていたのか?」


「お前、それアウトだからな」


「で、なんすか?」


「ミッションだよ」


「却下」


「却下じゃねぇよ!!てか、お前が行かねぇと始まらないんだよ!」


「めんどい。てか、お前は何なの?セールスマン?訪問販売お断りよ」


「戦士だよ!!どこに、防具をつけたセールスマンがいるんだよ!!」


「戦士なら自分で行けるだろ。何で、僕まで行かなきゃならないんだよ」


「お前の下に仕える戦士だからだよ!!毎回毎回めんどくさいやつだな!」


「めんどくさいのは、僕だよ。そんなに狩りに行きたいならモンハンしようぜ」


「しねぇよ!!」


「じゃあ、就活帰りの貴重な時間を奪わないでくれ」


「なんで、勇者が就活してんだよ!!もうやだ、この勇者」


「そりゃ、安定した職に就きたいからだ。ぶっちゃけるなら、土日は家で引きこもってゲームをしたいからだ」


「ぶっちゃけ過ぎだよ!!」


「毎週毎週、土日になると朝から晩までミッションの電話が、鳴りやまない。もう、うんざりだ。少しぐらい自分の時間が欲しい」


「朝から晩まで一回も電話に出ねぇのはどこのどいつだ!!」


「そんなやついるのか」


「てめぇだよ!!」


「これにはわけがある」


「なんだよ?」


「いつも携帯が5メートルは離れた場所にあるから歩かなくては取れない」


「歩けよ!!たかが、1,2歩ぐらい!!」


「たかが、1歩。されど1歩」


「たかがだよ!!」


「1歩を笑うやつは、1歩に泣く」


「泣いてるのは、俺の方だ!」


「じゃあ、言うけど何を倒しに行くんだよ」


「え?巨大グリズリー」


「それだよ!猟師か!僕は!普通、勇者とかなら魔王とかを倒しに行くんだよ!!」


「でも、巨大だぞ!?」


「それこそモンハンで十分だよ!」


てか、アオアシラみたいなのがいたら死ぬに決まってるだろ。

どう考えても。


「とりあえず、行くぞ」


「行きたくねぇ」


「我儘言うな」


「スバルはスバルは、本当に行きたくないのです。どうか見逃していただけないでしょうか?と懇切丁寧にお願いします」


「無理」


即答かよ。


「スバルはスバルは、行きたくないって言ってみたり!」


「八つ裂きにすんぞ」


「すみませんでした」


こうして、僕は戦士に引き摺られながら連行されるのであった。

とりあえず、ここまでです。

ごめんなさい。

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