「学園最高の権利者」
次に間隙久遠と有想夢想を玩弄する者が姿を現したのは、今まさに会議が行われようとしていた、その時だった。それも例によって緊急に開かれた会議である。
この会議の存在を知っている生徒は、この会議の事を『会議』または『緊急会議』と略称しているのだが、本来の名称は異なる。正式名称は、『組織方針約定会議』と言う。
本来、約定と言う単語には、約束して決める事、契約と言った意味がある。しかし現在の会議に、そのような厳しい秩序は無い。それは現在の組織が乱れ、組織本来の目的を見失っていると言う事を示す。
そして、それが間隙久遠と有想夢想を玩弄する者が、ここに現れた理由である。この組織を創造したのは間隙久遠と有想夢想を玩弄する者なのだから、今の組織の乱れ具合を訂正させなければならないのは、最高権利者でもある彼女なのだ。
「緊急会議が開かれると聞いて」
彼女はそれだけを言うと、本来ナンバー1が座るイスへ腰を掛ける。しかし表情が決して穏やかではなく、無表情でどこか冷ややかさを感じさせる。
同じ会議に参加する、ナンバー3、ナンバー7、ナンバー9の計3名は、初めて見るその人物に驚きが隠せないようだ。
「あの……あなたは誰ですか? 偉い人なのですか? もしかして、卒業生の方ですか?」
『9』のイスに腰を掛ける少女は、騙し絵のように現れた得体の知れない人物に、恐る恐る身分を聞いてみる。それに対して、その人物はナンバー9に振り向きもせずに、自分の地位を答えてみせる。
「学園最高理事長よ。あしからず」
学園最高理事長。その単語で、この場の雰囲気が一気に冷められる。
ただでさえ、謎の人物が出現した事により、この場が凍りついたと言うのに、その人物の正体が学園最高理事長とならば、いくら上位のナンバー持ちとは言え、緊張を隠せないだろう。
今回の会議に参加したナンバー持ち達、全員が思っただろう。今回の会議に限って参加するんじゃなかったと。
背景描写が少ないなー。
ごめん。