「発端は些細な事」
フリル満点のピンク色のベッドに、そのベットの上に存在する無数の人形。淡い光を放つ照明に、華やかな家具。全体的に乙女チックな雰囲気を放つ学園最高理事長室で、間隙久遠と有想夢想を玩弄する者はSatellite『逃れる事、許さぬ眼』と言う名の魔法を駆使し、学園全体を監視していた。
彼女は、学園最高情報処理室と言う役割も持つ、この部屋で、たった一人で学園全体すべての情報を管理し、処理している。その莫大な情報の源は、いかなる場面であろうが、ビジョンとして頭の中に、思い浮かべる事の出来るこの魔法だった。いかなる場面と言うのは、どんなに距離があろうとも、どんなに密室であろうとも、どんなに過去の事であろうとも、頭の中にその映像を浮かべる事が出来ると言う事だ。
そんなに過酷な仕事を、彼女は余裕の表情で刻々と、こなしている。その仕事ぶりは、彼女が天才だと言う事を物語っていた。
「相変わらず、つまらない学園ね。生徒の前に、ほとんど姿を現さない私を追求しようって、馬鹿な生徒が現れたりしないかしら」
毎日、学園の様子をうかがっては、変わらない日常の閑散に対して愚痴をこぼしている。一見、つまらなそうに見える仕事だが、これが彼女の日常であり、本人は決して、この日常に不満を抱いているわけではない。知らなかった知識に出会える機会でもあるし、世界の流行をいち早く掴む事も出来るのだから、それなりに暇は潰せるのだろう。
時には、告白する男女を見てはニヤニヤしたり、時には、醜い争い、いじめを見て悲しんだり、時には、ポイ捨てをする生徒に腹立ったり、また時には、そのポイ捨てされたゴミを回収する、生徒の成長を見て嬉しく思ったりなど、彼女は彼女なりの、日常を楽しんでいるのだった。
「そうだ! 私が生徒の前へ、出向いてあげることにしましょう。そうしましょう! どこに行こうかしら……それなりに話が出来る人物が良いわね。ナンバー7かナンバー3くらいが良いわね。さて――」
間隙久遠と有想夢想を玩弄する者は、乙女チックな窓も扉も無い部屋から突然、姿を消す。
騙し絵のように気が付けば彼女はそこには居なかった。
――発端は些細な事、遠因の物語――
本編読んでない人には分からない話ですが、ナンバー3と言えば、炉心溶融の事ですが、ナンバー7は、断末魔と共に、緊急会議に参加した人物ですね。どんな、人なのでしょう。
私的には「7」に相応しい人物にしたいなと思います。
と、過去のあとがきが言ってます。