「存在なき、禁忌」
「……そんな必死になってくれて、ありがとうな」
彼はそう言うと、触れる事を許さぬ一筋の光を、強く握り締める。
しかし、握る前よりも強烈な光を放つだけで何も起こらない。非禁禁忌だからだろうか、一般人が触れればどうなるかも予想も出来ない、時空の歪みを、いとも簡単に握り、消滅させてしまう。
「ありとあらゆるものを禁止する力。その力を持つ、あなただからこそ成せる業ね。やはり万物の理に適わぬものも、あなたには敵わないのね」
間隙久遠と有想夢想を玩弄する者は、平然と理由を述べる。
非禁禁忌は相も変わらず、ただ小さな笑みを浮かべている。
しかし次の瞬間、間隙久遠と有想夢想を玩弄する者の視界から、非禁禁忌の姿が消える。
「あら? 非禁禁忌を見る事を禁じるのかしら? しかし、感じることは出来るわよ」
間隙久遠と有想夢想を玩弄する者は後ろを振り返り、オーラに溢れた片手を正面へ持って行く。
そこへ、非禁禁忌が姿を現し、見事に手のあった所に蹴りを入れる。
たったそれだけなのに、手と足の接触箇所からは、空気を大きく揺らす衝撃波が生まれ、ドレスと灯篭のろうそくの炎を荒ぶったかのように揺らす。それだけではない、接触箇所からは衝撃波の他に、筋上の光が溢れ出ている。これは恐らく、強大な力のぶつかり合いにより、断片化された魔力だろう。
そんな日常では見れもしない現象を、目の辺りにしても、精神が揺らぐ事の無い間隙久遠と有想夢想を玩弄する者と非禁禁忌。
間隙久遠と有想夢想を玩弄する者はそのまま、非禁禁忌の足を強く握り、後ろを振り向かずに非禁禁忌を後ろ斜め下に投げる。
後ろ斜め下に投げられた事により、非禁禁忌は間隙久遠と有想夢想を玩弄する者の、背中を見届けながら、雲の中へ隠れて行く。
「事象の地平面『event horizon』」
間隙久遠と有想夢想を玩弄する者は、傘を肩と頬で挟み、自由になった両手で平泳ぎの様に宙をかく。その跡に、左右それぞれ5本、合計10本の筋状の光が現れる。どうやら光は、指の爪の通った跡をなぞる様に現れるらしい。
そのまま、間隙久遠と有想夢想を玩弄する者は後ろを振り返り、非禁禁忌の落ちていった方角を上から下に猫の様に引っかく動作をする。
左右5本ずつの光が翼の様に羽ばたき揺らめき、風に吹き飛ばされた様に左右に散る。それと同時に非禁禁忌の落ちていった辺りの雲が吹き飛ばされ、非禁禁忌の姿が現わになる。
しかし、雲の跳ね除けられた空間の先は見えない。ただ暗闇が空間を支配しており地は愚か、光すらも見つからない。
非禁禁忌が暗闇の中で、無数の武器と浮かんでいるだけだった
めんどくさいから過去のあとがきをコピペで。
あとがき
戦闘シーンは描くのが難しいな、と改めて実感しました。
まだまだ、未熟なため、上手く伝わったかが心配です。
事象の地平面『event horizon』
じしょうのちへいめん・イベントホライズン と読みます。
情報は光や電磁波などにより伝達され、その最大速度は光速であるが、
光などでも到達できなくなる領域(距離)が存在し、
ここより先の情報を我々は知ることができない。
この境界を指し「事象の地平面」と呼ぶ。
と言う意味があるみたいです。
それらしい魔法にしたかったのですが、
上手く伝えることが出来ないんですよね~。
10本の光が左右に散り、下に存在した雲が吹き飛ぶ。
左右に散ったのに、下の雲が吹き飛んだ。
実際は雲が吹き飛ぶ『何か』があったのでしょうが、我々にその情報を得ることができなかったので、ただ、雲が吹き飛んだ様に、見えたのではないのでしょうか。そう、雲以外の存在、情報を得る事ができなかったのでしょう。
実際は雲の中で、『何か』があったのでしょう。
少なくとも、非禁禁忌は無傷みたいなので、彼には捕らえる事ができていた、
のかも知れませんね。