「覚め、現る笑み」
「ほんと、あなたには妬けるわね。たった齢十数のあなたが、1900と言う幾年を生きた私と、力で並ぶなんてね」
さっきまでとは違い、殺伐に包まれた空間が出来上がる。
原因は間隙久遠と有想夢想を玩弄する者から放たれる、異様なオーラのせいだろうか。そのオーラは、間隙久遠と有想夢想を玩弄する者の、体に流れる莫大な魔力が具現化した物で、未知数の魔力を誇る彼女だからこそ、成せる業だろう。
普通の人間は彼女の様に、体から魔力を垂れ流すなどと言う、無茶は出来ない。なぜなら彼女のしている事は、血液を常時、垂れ流している事と等しいのだから。
しかし血液を放出するのとは違って、こちらには、それ相当のメリットがある。と言うのも、彼女が放出しているのは血液ではなく魔力、つまり、常に体から魔法が放たれている状態なのだ。体から常に放たれる魔法は彼女を優しく、それも強力に保護する。
彼女のしている事は立派な戦術なのだ。
それに対して非禁禁忌は、相変わらず余裕の表情で立って居るかと思われるが、相手が相手らしく、珍しく構えを取っている。
非禁禁忌に構えを取らせるだけで、相手が只者ではないと言う事すでにうかがえる。
「間隙久遠と有想夢想を玩弄する者……私がそう称される理由を、力で述べてあげるわ」
そう言って、ドレスにも関わらず、大きく足を上げ空を蹴る。それと同時に蹴り上げた足の先から、一筋の光が駆け抜ける。その光は非禁禁忌の右頬をかすり、いつまでもそこに残る。
「唯の光と侮る無かれ。それは時空を歪めし万物の理に適わぬもの。触れれば、忽ち己を殺す凶器となろう」
それを目の辺りにした非禁禁忌の顔に珍しく、表情が現れる。
それは時空を歪ませ、意のままにする攻撃から来る恐怖ではない。また、不意打ちの如く仕掛けられた攻撃に対する怒りでもない。はたまた、大きな力を悠然と誇る間隙久遠と有想夢想を玩弄する者に対する哀れみでもない。
それらを押し切って、非禁禁忌の顔に表れたのは、笑みだった。
大笑いしているしている訳ではない。ただ、どこか静かに小さく笑っているだけだ。
「……そんな必死になってくれて、ありがとうな」
あとがきって悩むなー。
そのうち、書かなくなるかも。
今更ですけど、すべての魔法使いと根を断つ者は造語じゃないよ。