「いもむしさんのゆめのなか」
❅冬の童話祭2024参加作品です。
星空の下。
葉っぱの陰ではたくさんの虫たちが明日を迎えるために休んでいます。
くう、くう。
そんな寝息を立てているのなんの虫さんでしょうね。
きっと、楽しい夢を見ているのでしょう。
おや、あそこの大きな葉っぱの陰で寝ているのはふとっちょのいもむしさんです。
ぐうぐう。
どんな夢を見ているのか、気になりますね。
ちょおっとだけのぞいてみましょうか。
ふうむ……。
見えてきましたよ。
あれは、大きな綺麗な何かが飛んでいますね。
きっとこのいもむしさんがちょうちょになった夢なんでしょうね。
羽が虹色に輝く、それは綺麗なきれいなちょうちょさんです。
楽しそうに、お花畑を飛んでいます。
おともだちのちょうちょさんとあいさつもしています。
いもむしさんはこんな夢を見ているんですね。
『ゆめのなか』。
いもむしさんの『ゆめのなか』はこんな世界でした。
さて、現実では朝を迎えて虫たちも起き始める頃となりました。
いもむしさんもふああ、と大きなあくびをしています。
「おはよう~」
ふとっちょのいもむしさんはお日様に向かってあいさつをしました。
そして葉っぱをもぐもぐと食べます。
次から次へと、いもむしさんは葉っぱをむぐむぐ、むしゃむしゃ、もんぐもんぐ。
元気に食べています。
やがていもむしさんは。
「そろそろ、だな~」
と言いました。
そして、しゅるしゅると口から出した糸を体にたくさん巻き付けて……。
さなぎになりました。
さなぎもまた夢を見ます。
『ゆめのなか』
さなぎの夢も、いもむしさんの時と変わらず素敵で綺麗なちょうちょになる夢でした。
たくさんのおともだちのちょうちょさんとおしゃべりをして、お花の蜜を吸い、
「このお花はとても甘いんですよ」
「あっちのお花畑に行きましたか?」
と会話しています。
さなぎはふるふると震えました。
『ゆめのなか』の夢が楽しくてきっと笑ったんでしょうね。
もうすぐ、さなぎはちょうちょになるでしょう。
どんなちょうちょになるかは……。
続きはあなたの『ゆめのなか』で。
あなたの夢に出てくるちょうちょさんは、もしかしたらこのいもむしさんかもしれませんね。
お読みくださり、本当にありがとうございます。