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キャンプで出会った連中がたどった顛末  作者: よぎそーと


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せめて一言だけでも感謝の気持ちを伝えたいと思ったら

 いつもキャンプをしていた山。

 その山が崩れて人が入れなくなったという。

 少なくとも車で入れる道はふさがったと。

 身近にあるキャンプ地がなくなったことを男は嘆いた。



 ただ、それでも愛着のあるキャンプ地だ。

 せめて最後に挨拶だけでもと、ニュースを見た次の金曜日に車で出向いた。

 山の中に入ることは出来なくても、その手前まではと思って進む。

 幸い、道そのものは塞がれてるわけではない。

 崩れてるのは、道路から山に入る部分。

 脇道と言ってよい、舗装されてない部分だ。



 その手前までやってきて、車を止める。

 エンジンをかけたままにして、一旦外に出る。

 それから山の入り口に向かって手を合わせて頭を下げる。

「今までありがとうございました」

 これまで楽しんできたこと、楽しませてもらったこと。

 その感謝を告げる。



 そんな男の耳に、ざわめきが入ってきた。

 何かが大量に歩いてくるような。

 足音がいくつも入り交じったような。

 そんな音だった。

 こんな山の中、しかも夜。

 いったい誰がと思った。

 下げていた頭をあげた男は、そこで硬直することになる。



 崩れたという山に入る道。

 そこからずらずらと何かが歩いていた。

 生物でないのは確かだ。

 それらは歪な姿をした、おぞましい姿をしている。

 一般的な動物などではない。



 そんな異形が幾つもならんで山道をおりてくる。

 そして道を横切って山の斜面をおりていく。

 いったいどこに向かおうとしてるのかは分からない。

 だが、男は本能的に察知した。

 これに関わってはいけないと。



 静かにゆっくりと後ずさる。

 エンジンをかけっぱなしだった車にのり、ゆっくりとその場を離れる。

 異形の行列から遠ざかり、適当なところでUターンをする。

 あとは一目散に逃げだした。

 できる限り速度を上げて、それでも運転をしくじらない程度の速さで。



 幸い、異形が追いかけてくることはなかった。

 少なくとも男の見える範囲に異形はいない。

 車内にもバックミラーにも。

 当然ながら、車の前にも。



 そのまま山をおりて、町の中に入っていく。

 だが、すぐに家に帰るのは避けたかった。

 あの異形の残滓が残ってるような気がした。

 それを断ち切らない限り、家に帰りたくなかった。

 帰れば、異形と接点が出来てしまいそうで怖かった。

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