AIが絵を描くようになると、世の中の何が変わるのか
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最近、絵を描いてくれるAIというのが話題である。
作者も少し、個人的に触ってみたりしたのだが、なかなかに面白い。
私には描くこともできない絵を、数秒で生み出してくれる。
まあ私には、そもそも絵を描けないのだが。
一時期、小説を勝手に書いてくれるAIというのが話題になった。
これも試してみたことがあるのだが、正直微妙かなと感じた。
いまは多分「そんなのもあったね」ぐらいに考えてる人が多いと思う。
お絵かきAIもそれと似た、一過性の人気……なのかと思ったが、やはり絵の力は文章の力を上回るのか、盛り上がり方が小説AIの比ではない気がする。
なにせAI学習禁止というワードが話題に上がるほどだ。
未来を見通すことはできないけれど、もしかしたら今後はAIで絵を描くのが、当たり前の時代が来るのかもしれない。
と、思った。
さて主題。
AIが人間並み……それも、絵描きの標準並に絵を描くようになったとき、世の中はどう変わるのだろうか。
絵描きが絶滅する。という考え方もある。
それでも絵描きは生き残る。という考え方もある。
例えば将棋AIが人を超えたとき、それでも将棋という競技はなくならなかった。
今はむしろ、いかにAIの戦術を使いこなすか。というようになっているらしいし、将棋に詳しくない私たちからすれば、AIが出してくれた指標がわかりやすくて助かっている。
一時期は、AIを驚異として捉える人も多かったけど、今は良い感じに共存できているようだ。
勝利だけが目的なら、人間に価値はないはずだが、どうやら世の中はそうなっていない。
ちなみに将棋のAIは、昔は人間の棋譜を喰らって成長していたらしいけど、今時のはゼロから戦術を考えたりもしているらしい。
そう言う意味で、お絵かきAIは、現時点ではその前段階にある。
AIによる「人間らしさ」は、無数の人間が描いた素材を統合した結果生まれた、キメラみたいなものだ。
もし本当に、AIによって絵描きというものが絶滅してしまったら、その瞬間に餌を失ったAIも進歩を止める。
まあ今のままの仕組みなら、って言う前提だし、それでも絵描きは絶滅しないと思うけど。
昔……写真という文明が生まれた。
人間が書くよりも遙かに写実的に、現実を切り取ることができるようになる。
それでも絵描きは生き残った。だから、AIの時も大丈夫……と、言えれば良かったのだが、そう単純でもない。
そもそも、写真という文明によって絵描きのあり方は大きく変わっているのだ。
それまでは、いかに「現実を筆で写しとるか」が重視されていた。
だが写真の登場によって「そんなのはカメラに任せれば良い」になった。
その瞬間に、絵描き達の考え方も影響を受けたのだろう。
一部の絵描きは、写真を参考に絵の精度を上げ、現実に存在しない光景を描くようになった。
一部の絵描きは、写真では生み出せない、芸術というのを考えるようになった。
写真の登場によって、絵描きの仕事は「いかに描くか」から「いかに表現するか」に変化した。
さて、AIは表現すら代行できるようになりそうなわけだが、はたして今後はどうなるだろうか。
絵を描く楽しさはなくならない!
それはまあ、その通りなのだろう。
だけどあるとき「こんなの、AIに任せれば良いじゃん!」となってしまったら?
まるで過去の絵描きが「こんなのは写真を撮れば良い」と気づいてしまった瞬間のように。
私は絵描きじゃないからわからない。という逃げ道に飛び込ませてもらうことにしよう。
ちなみに今のAIは、割り算と足し算が得意で、かけ算と引き算が苦手なように感じる。
大量の既存作品からそれっぽい要素を抽出して、それを足し合わせて平均をとるのは得意。
だけど、そこから引き算をしてコンセプトを明確にしたり、絵と絵を掛け合わせてストーリーをくみ上げたりは、まだ苦手。
もしかしたら今後は、そういうところに「人間らしさ」という価値が生まれるのかもしれない。
知らんけど。