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幕間 神々の会議

幕間になります。



 ここは神殿。会議の為に使われている建物であり、そこに入れるのは選ばれた神々だけ…………


 巨大のテーブルが置かれており、椅子には招待された数人の神々が座っている。ただ一人だけが立っており、スクリーンが広がっている前で演説をするように腕を広げていた。

 その人物は……遊戯の神、トイだ。


「皆様、私の為に来て頂き、お礼を申し上げます。これから、『神々の暇潰し』の計画を説明しますので、ご清聴をお願い致します」

「……説明の前にいいか? その計画の名称はもう少しはなんとかならなかったのかい?」

「え、わかりやすいじゃないですか?」


 呆れた表情で手を上げて、質問を繰り出したのは4つの腕を持ち、破壊と創造を(つかさど)る神と呼ばれているシヴァ。

 ここに呼ばれている神々はどれも有名な神であり、普通なら下級神である遊戯の神程度が集められるような人物ではないが……今の神世界では深刻な状況が起こっており、それを解決する為に遊戯の神が立ち上がったのだ。

 ここにいる神々はそれを理解している為、下級神の召集に応じている。


「まぁまぁ、名称はどうでもいいよ。大切なのは中身だよ。……下らない中身だったらお仕置きをするけどね」

「ロキ、脅すような真似はお止めなさい」

「お優しいこったね、ブリュンヒルデ?」

「トイは貴方の部下でしょう? 部下は大切にすべきよ」


 北欧系の神の2人、黒と金の髪をした悪戯好きの神と呼ばれているロキと戦乙女の長女である白銀の髪をした女性のブリュンヒルデ。ロキの言葉を(たしな)めるブリュンヒルデは部下を大切にし、情に厚い人物と知られている。


「へいへい、さっさと始めてよ」

「畏まりました。では、説明させて頂きます」


 トイはそう言い、スクリーンに似た装置を設置する。


「私が提案するのは、下界の人類が作ったゲームを改造したのを神々が楽しむことが出来るようにする。人類は我らよりもエンターテイメントに優れているのは理解していると思いますが……」

「確かに、それは認めるが…………我らがやると簡単過ぎてしまう。どんなに難解であっても出来てしまう。何せ、神は全知全能なのだから」


 シヴァがトイの説明に同意するが、シヴァの言う通りに全ての神は全知全能であり、個人の性格などに優劣はあってもそんなに差はない。

 奥にある立派な椅子に座っている青年だけは例外だが。その青年は全ての神の頂点に立っている存在……ゼウスは静かに皆の話を聞いていた。


「そう、その全知全能であるせいで…………今の神界は危機の状況にあります。それをなんとかすると、立ち上がったのがトイですが、どうやって楽しむことが出来るのでしょうか?」

「慌てない慌てない。それをこれから説明するんでしょ。ねぇ、トイ?」


 上司として、ロキが笑顔で出来るんだよな? 頑張ったけど、出来ませんでしたとは言わせないぞ? と脅しを仕掛ける。しかし、トイは上司が上級神で、脅されてもいつもの様子でひょいひょいとしていた。


「問題は解決済みで、全知全能をゲームに関わらせることは出来ず、誰でも楽しめるようになっています」

「ほぅ……、どう解決したんだ?」


 今まで黙っていたゼウスが口を開いた。


「それは、簡単なことでした。ゲームの中ではプレイヤーの元になるキャラは平等です。つまり、プレイヤーが操作するキャラはゲームのルールに従っており、開発者以外に変えることは出来ません」


 下界に詳しいシヴァが気付いたように声をあげていた。


「ん? それって、人類で人気のてれびゲームって奴か? それじゃ……「いいえ」……?」


 プレイヤーが操作する時に全知全能が完璧な答えを弾き出してしまうのではないかと言おうとしたが、途中で遮られてしまう。


「いえ、似てはいますが、中身は全く違います。なので、キャラを操作する際に全知全能で効率良く、最適な答えを出して……ゲームをつまらなくするようなことにはなりません」

「どう違うんだい?」

「私が作り上げた世界では、最初から準備されたキャラに意識を乗り移ることで、神々の力である全知全能を持ち込ませることを防ぎます。実際に自らで試してありますので、問題はありませんでした」

「ほう! やるじゃないか。それなら、その世界では全知全能という力は使えず、上限が設定されているキャラを動かすことでゲームを楽しめるということね!」


 ロキはトイの説明を瞬時に理解して、楽しそうに手を叩いていた。他の神も感心している様子であった。


「成る程……そのゲームに私達が参加することは出来ますか?」

「出来ますが、出番はしばらくお待ちいただけますか? 今は下界から4人のプレイヤーがβテストとしてゲームを進めており、進行に合わせて出番を采配をしたいと考えています。その方が、神々も楽しめるかと思いまして」

「4人のプレイヤー? まさか、勝手なことはしてないよね?」

「いえいえ、ロキ様。ちゃんと、地球の神様にも許可を頂いておりますので」


 勝手に上司の許可を得ずに、下界の人類を連れてきたとなれば、その責任はトイの上司であるロキにも行くかもしれない。だから、睨んでみたが既に許可は得ていると聞いて、安心して背もたれに掛けていた。


「出番ということは、下界の人類と一緒にゲームをする計画があると?」

「はい。その方が、キャラの性能が人類のと同じで差が余りないと理解しやすいと思います。それで、本当に全知全能が使えないかの指針にもなるかと」

「ふむ……それなら、出番は待とうじゃないか」

「ゼウス様が認めたなら、それでいいんじゃねぇか?」

「私もそれで構いません」

「僕もいいけど、どんなゲームか教えてくれないか? 今、下界の人類がやっているんでしょ?」


 トイはその言葉を待っていたというように、準備しておいたスクリーンの出番となる。リモコンを操作し、映像を映しーーーー




「「「「えっ?」」」」




 スクリーンに映っていたのは、4人のプレイヤー達がスピンをしている所だった。神々に、運営側であるトイまでも呆気に取られる希少な場面になるのだったーーーー









神々の深刻な悩み、どうしてMinecraftと言うゲームを作ったのかもわかってきましたね。


次話は明日の7時に投稿します。

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