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第7話 暴牛アルノウス



 暴牛の島にいたボス、普通の牛のように見えるが、一回りと大きくて動きが速い。体力バーの側に名前があり、『暴牛アルノウス』と出ていた。


「ほぅ! 速いが……避けれる!」

「なんで、ぎりぎりで避けようとするの!? 油断して落ちてしまうのは勘弁してよ?」

「うははっ、問題はない! お、また来るか?」


 アルノウスが突進してくるに対して、ルーカ、みちぃ、グレムリンは余裕を持って早めに避けるが、ファンキー爺だけはぎりぎりで避けながら本で叩いていた。当たったらどれだけ吹き飛ばされてしまうかわからないが、周りは壁が無くて外になっている。

 油断はしないでと注意していたら、アルノウスが方向転換してファンキー爺に向かっていく。またぎりぎりまで引き付けて避けようとするファンキー爺だったがーーーーアルノウスが口から何かを吐き出した。


「ちょっ、水ぅ……ぶべぇっ!?」

「じっちゃん!?」


 アルノウスが吐き出したのは水で……ダメージは其ほどでもないが、問題はそこではなかった。何せ、水に当たったファンキー爺が…………石ブロックのフィールドから外まで吹き飛ばされてしまったのだ。ファンキー爺は中央に近く、普通のノックバックでは外まで吹き飛ばされることはなかったが、その比ではなかった。


「強力なノックバック!? これがアルノウスの武器なのね!」

「ファンキー爺さんが…………」

「そこはもうどうでもいい! 自業自得だから!」


 もう死亡は確実なので、意識はアルノウスに集中する。


「あぁぁぁぁーーーー…………ゴハッ!」

「あ、死んだ……」

「ノックバックに気を付けないとね~。突進も当たったら、そうなるかな?」

「全ての攻撃に強力なノックバックがあると思って!」


 一気に外まで吹き飛ばされたファンキー爺は起死回生する術はなく、奈落へ落ちてライフが全損した。ファンキー爺が復活して、ここへ戻ってくるまで3人だけでアルノウスと戦うことになった。

 水の攻撃は距離がある内に動けば、当たることはない。どちらの攻撃は正面からにしか出来ないようだから、動きを止めた先に側面から攻撃すればファンキー爺のようにはならないだろう。


「『ファイアショット』!」

「ハァッ!」


 ルーカとグレムリンは側面へ周り、『ファイアショット』でダメージを与えて、更に炎上を付加させた後に木の剣で叩きつけた。


「モォォォ!!」

「ノックバックしない!?」

「ボスはノックバックしにくいかもしれないわ! ッ、すぐ下がって!」


 距離を取っていたみちぃがアルノウスの動作から何かをすると読み取り、離れるように指示を出す。その指示は正解だったようで、アルノウスが前足を上げて地面に振り下ろすと全方向へ攻撃を仕掛けていた。地面が波打つようにショックウェーブが広がっていた。


「助かったわ! みちぃちゃんはそのまま、距離を取っていて!」

「『ファイアショット』! 今の、受けたらノックバックで場外って、前衛にはキツくない!?」

「大丈夫よ。動作が大きいからみちぃに指示を出して貰えれば、すぐに下がれるわ」


 全方向へのショックウェーブは波打つ攻撃でノックバックしながら複数回のダメージを受けそうだが、アルノウスのノックバックは強力だから1回のダメージで済む。でも、その1回で場外まで飛ばされそうなので、当たらないようにしなければならない。


「体力は……まぁまぁ減っているみたいね」

「最初のボスっぽいだから、難易度は其ほどでもないかな? 当たったら場外で死ぬけど」

「当たらなければ問題はなさそうよ。今までの攻撃方法は突進、水弾、ショックウェーブの3つ。他にあるかわからないけど、側面から攻撃をし続ければ勝てるわ!」


 今のところはショックウェーブだけに気を付ければ、側面にいた方が危険度は少ない。


「悪い! 遅くなったな!」

「みちぃちゃんの話は聞こえていたわね!?」

「聞いていたわぃ! 体力バーを見れば、『タライ落とし』だけに専念しても問題はなかろう!」


 アルノウスは動きが速いが、直線的で避けやすくて防御面ではそんなに優れてもいない。だから、遠距離攻撃だけに専念しても勝てると判断したのだ。


「続けて攻撃を加えるわよ!」







 アルノウスの体力バーがあと僅かになった所で、ファンキー爺とグレムリンの魔力が切れた。


「ルーカさん! あと数発で倒れるよ!」

「ルーカ! 儂も行くぞ!」

「えぇ……ショックウェーブ! 止んだら行くわよ!!」


 ルーカとファンキー爺が武器で叩けば倒れるだけの体力バー、最後の足掻きと言うようにショックウェーブを放とうとするアルノウスだったが、動作から見抜かれて範囲外で立ち止まるルーカ達。ショックウェーブが止んだらすぐ向かうつもり。


「止んだ! 行くぞ!」

「これで終わりーー連続!?」


 今まで、ショックウェーブを連続で使って来ることはなかったのに、ルーカとファンキー爺がアルノウスへ近付いた瞬間に前足を振り上げてきたのだ。


「ヤバッ、間に合わん!」

「と、届けぇぇぇ!!」


 今から下がるにはもう遅い。ルーカは出される前に攻撃しようとしたが、先に攻撃を加えたのはアルノウスだった。


「ブモォォォォォ!!」

「きゃぁぁーー」

「またかぁぁぁぁぁ!?」


 このまま、ルーカとファンキー爺が場外へーーーー






 ということにはならなかった。




 場外へ落ちたのは、ファンキー爺だけで……ルーカは即座に積まれた木材ブロックに止められることで、場外へ落ちるだけは防がれていた。


「間に合いましたわ!」

「今の、みちぃちゃんが!?」


 即座に木材ブロックを積んだのは、たまたまルーカの後ろにいたみちぃだった。


「えぇ、壁があればと!」

「良くやったわ!」


 みちぃのファインプレイでルーカは助かったが……


「あぁぁぁぁぁーーーーぐふっ!」

「ファンキー爺さんーーーー!!」


 ファンキー爺の後ろにいたグレムリンは何も出来ず、ファンキー爺だけが寂しく一人で落ちていき……死んだ。


「ルーカ! アルノウスを見て!」

「あ……硬直している! 文字通りに足掻きで最後の攻撃だったわね」


 二回目のショックウェーブを放ったアルノウスはその場から動く様子もなく、しばらくは動けない状況になっていた。


「終わりね、『スラッシュ』!!」

「モウ!?」


 動けないアルノウスに容赦することもなく、ルーカの『スラッシュ』でトドメを刺されることになった。倒れたアルノウスがボンと爆発の演出を起こし、素材が散らばるのと同時に石ブロックのフィールドの中心に台座とチェストが現れた。


「あ、台座に鍵穴があるよ!」

「ボスを倒せば、鍵穴が現れるのね。じっちゃんが来たら、鍵を差し込むわ」

「チェストの方は……ネザースター10個、幾つかの素材に……金のリンゴが1個入っているわ」

「金のリンゴね。しばらくは出番はなさそうだけど、1個あるだけでも安心出来るわね」


 金のリンゴ、効果は食べることで30秒間はモンスターからの攻撃無効、地形ダメージ無効、状態異常無効を得ることが出来る。つまり、場外へ落ちて死ぬ以外は無敵になれるのだ。

 しかし、序盤では一撃でライフを0まで持っていかれるような敵は現れないだろうし、時が来るまでは拠点のチェストに預けたままになるようだ。


「倒せたようだな!」

「来たわね。みちぃちゃん、ネザースターを先に取っちゃって」

「はい」


 復活したファンキー爺が来て、この場に全員いるので、ネザースターを取って経験値を得る。


「レベル3! 新しいスキルまではあと2かぁ……」

「そこもゲーム通りかわからないけど、新しいスキルを得られるレベルになったら、通知が来る筈よ。じゃあ、鍵を差すわね」


 ルーカが持っていた牛の鍵を鍵穴に差すと…………




 鍵穴クリア数(1/10)




 と頭の中に通知が来て、小さな花火が打ち上げられた。


「これで1つ目ね! 次は何処へ行くんだろうかな?」

「特に指示はありませんが、近くの島から行くのが良いでしょう」

「拠点から離れるごとに攻略の難易度が高くなるのだろうな」

「おそらく、そうだと思うわ。では、取れるだけの素材を集めてから拠点に戻りますか!」


 『暴牛の島』をクリアしたルーカ達はチェストに残していたアイテムやこれから必要になる素材、石ブロックを掘ってから拠点へ戻るのだったーーーー






早速、1つ目をクリアしたルーカ達。次はどの島へ挑むか楽しみに…………と言いたい所ですが、次話は幕間を挟みます。

次話は明日の7時に投稿します。

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