第2話 神様からの挑戦
3話目です。
ルール、説明が書かれていたが、最初の挨拶ですぐ頭に入らなかった。まず、遊戯の神と言う存在は本物の神様だったようで、皆は驚きから抜けないでいた。
「ほ、本物の神様っていたのね……」
「冗談だと思いたいけど、この世界に私達がいることから間違いはなさそうわね……」
「うはははっ!! 本物の神様から挑戦されるとは思わな! あれか、神様の世界でもMinecraftが流行っているのか?」
「うえぇぇぇっ! Minecraftがそこまで有名になっちゃっている!? 凄くない!?」
「そこに驚くのね……確かにそれもビックリだけれども」
グレムリンの驚きポイントがずれていることにルーカは呆れたが、そのお陰で少しは落ち着いてきた。
「多分、クリアしないと元の世界に戻れないかもね。そこについては何も書かれていなかったわ……」
「えっ!? それは困るよ!? もうすぐで新刊の小説が出るのに!」
「後でも買えるでしょう……私もコンクールが近いけれども……そこは神様的な力でなんとかして貰うしかないわね。メールを空いた時間までに戻して貰うとかでね」
「そんなことよりも、こっちを見てくれ!」
「何よ、じっちゃん……」
ファンキー爺に呼ばれ、呑気な声に溜め息を吐いて振り向くとーーーー
「…………何をしているのよ?」
「見てもわからんのか? パソコンでは出来なかったことが簡単に出来るぞ!?」
「だからって……なんで、スピンなのよ?」
ファンキー爺は頭を地面に付け、ぴゅんぴゅんとスピンで回っていた。
「それほどに自由度が高くなっているということだぃ!」
「……確かにパソコンのMinecraftでは設定されていなかったわね」
「凄い! アタシもやる!」
グレムリンもファンキー爺の真似を始めて、現実の世界でも出来ない動きだが…………あっさりとスピンが出来ていた。
「わぁっ、簡単に出来ている!」
「あら、もしかして、サポートが入っているのかしら? では、私も……」
「みちぃちゃんまでも!?」
未知を知る為なら無茶をする娘だが、割と常識人側であるみちぃまでも回り始める。
「本当に簡単でしたわ。さぁ、ルーカもやってみなさいな」
「わ、私も!?」
「とにかく、やってみてよ。動きも普段のよりも動けるとわかるから!」
「おおっ、結構長く回っているが、気持ちが悪くなるとかもないな。やってみろよ」
「……はぁっ、わかったわよ。やってみるわ」
皆から誘われて、断れないルーカはしょうがないと思いつつスピンをやってみる。
「お、おぉ……結構スムーズに出来るのね」
「凄いよね! 色々な動きを試すのもいいかもね!」
4人ともスピンで回る奇妙な景色となっているが、これは自分の身体で何処まで出来るかの検証なので、必要なことだ。
「……こほっ、さっさと職業を決めない?
」
「それも気になるな! 転職の祭壇は……あそこだな!」
拠点の島は建物らしき物が3つあるのが確認出来る。先程までいた、セーブポイントとなっているベッドとチェストしかない家、家畜を飼う小屋、石のブロックで作られた遺跡みたいな建物の3つ。
「あら、あれは羊がスポーンされているわね。そこで羊毛ブロックを集めて道を作れということですわね」
「今はまだゲームが始まっていないから倒せないから後にして、遺跡みたいな建物に入ろうよ!」
羊毛ブロックはMinecraftの世界では重宝されており、道を作る為の素材に良く使われている。木のブロックでも道を作れるが、道に使うよりは物作りの素材にした方が良い。羊毛ブロックは羊がスポーンされるスポナーブロックがあるので、無限に取れる仕様になっている。
グレムリンの言うとおりに、まず転職の祭壇へ入ることに。
「あ、ショップも祭壇の中にあるのね」
「転移ブロックを見つけたぞ。それに乗って転職が出来る場所に移動するだろうな。先に行くぞ」
「待っーー行っちゃった!? 私達も行くよ!」
転職の祭壇はそんなに広くはなかったが、転移ブロックを見つけたので別の場所で転職出来ると理解する。見つけたファンキー爺は転移に恐れることもなく、あっさりと踏んでしまう。姿が消えたファンキー爺に慌てて、ルーカ達も転移ブロックを踏む。
「…………不思議な気分ね」
「転移って、凄いわね。一瞬で違う場所へ移される感覚は現実では味わえないわ」
「わっ! 色々な石像がある!」
「ほぅ! 看板に説明が書いておるぞ。なりたい職業があれば、その石像前にある看板に触れれば良いみたいだ」
転移された先は広場のように広く、5つの石像が並んでいた。不自然な空きがあるように感じるが、今はこの5つの石像から職業を選べということだろう。
「職業は剣士、黒魔導師、白魔導師、狩人、召喚師の5つね。皆はどれを選ぶ?」
「出来れば、バラバラの職業になっていた方がやりやすいかも。私は白魔導師をやってみたいわ」
「儂は召喚師が面白そうだと感じた!」
「アタシは~やっぱり黒魔導師かな? 魔法を使ってみたいの!」
「じゃ、私は前衛の剣士を選ぶね」
ルーカは剣士、ファンキー爺は召喚師、グレムリンは黒魔導師、みちぃは白魔導師になると決め、全員は石像前へ立つ。石像前に看板があり、それに触れると確認の文字が出てくる。
「yes……と」
「あ! スタートと聞こえた!」
全員の職業が決まったことで、ゲームが始まった。これでブロックを壊したり生き物を倒して素材を手に入れることが出来るようになったが……先に確認することがある。
「職業を決めた時に、スキルも手に入れたよね? それを確認してみよう。そこに確認用の案山子が用意されているみたいね」
「じゃあ! アタシから!」
的である案山子に向かって、手を向ける。
「『ファイアショット』! …………え、あれ?」
魔法を使えることにワクワクしていたグレムリンーーーーだったが、キーワードを唱えても何も起こらない。
「『ファイアショット』! 『ファイアショット』! 『ファイアショット』…………なんで、使えないの!?」
「おい、忘れているな? 魔法は杖がないと発動が出来んぞ」
「あっ!?」
グレムリンは普通ではない状況から、魔法を使うには杖が必要なのを忘れていたのだ。
「石像前にある看板にちゃんと説明が書かれているだろ?」
「……てへ、読んでなかった」
「はぁっ……この世界はMinecraftの世界だけど、違う所があってもおかしくはないから情報はちゃんと確認しておかないと駄目だよ。えっと、アイテムボックスには何もないわ」
アイテムボックスはイメージしながら手を振るとパソコンと同じような画面が現れる。そこにアイテムが収められるのだが、今は何も入っていない。
「そうね~。多分、最初の家にあった個人用のチェストに準備されてあるんじゃないかなぁ」
「作業台はなかったから、そうかもしれないわ」
作業台とは、様々な素材の組合せで別の物を作ることが出来るブロックだ。
「まず、最初の家に戻ってチェストの確認ね」
スキルは武器がないと使えないので、転職の祭壇を後にして最初の家へ向かうことにするーーーー
今日はここまでです。
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