第8話 次の島
『暴牛の島』をクリアしたルーカ達は拠点へ戻り、大量にゲットした石ブロックを剣、ツルハシなどの様々なツールを作り上げていた。拠点でやれることを終わらせて…………
「次はあの島に行かんか!?」
「やだよ!?」
ファンキー爺が次の島はあそこにしようと提案したが、ルーカが一息を付かせる暇を与えずに断るのだった。
ファンキー爺が提案した島とは…………
「アタシもあれはちょっとね~」
「結構離れているようですし、島の変容からあのモンスターがいるのは間違いないでしょう」
「そうだよ! まだ序盤で石の剣を手に入れたばかりなのに、よりによって…………クリーパーの形をした島を選ぶのよ!?」
クリーパー、近付かれただけで爆発を起こす迷惑なモンスターだ。その爆発は周りにあるブロックごと破壊してしまうので、拠点で戦いたいとは思えない敵である。そのクリーパーを模した島で、良く出来ているなと感心した程だ。
近付かれたら爆発するまでの間があるから、爆発する前に倒すのは可能だが……石の剣レベルでは、5回も攻撃を当てないと駄目だ。
「面白そうだからだ!」
「命は無限だとしても、あのクリーパーに石の剣で挑みたくはないわよ!」
「なら、戦わずに偵察だけでどうだい?」
「あら……偵察ですの?」
「うむ、今は別に攻略は出来なくても良かろう。あのクリーパーみたいな島に何があるか情報を得たり、運が良ければチェストにあるネザースターだけを取って逃げれば、格段にレベルが上がる可能性もあるだろう?」
「レベルが上がれば、使えるスキルが増えるけど……」
拠点から距離もあるので、今の装備にレベルで挑む島ではないが……ファンキー爺が言った通りにネザースターだけをゲット出来れば、レベルが格段に上がるのは間違いはなさそうだろう。
「……はぁ、それなら他の島でもいいでしょう?」
「あれが興味深そうだったからな!」
「もう! わかったわよ! 無理そうならすぐに撤退よ! いいね!?」
「おう!」
ルーカが折れて、次の島はクリーパーの形を模した島に決まった。距離があるので、全員で羊を狩って羊毛ブロックの数を増やしていく。
「……うん、これくらいかな?」
「足りなかったら、また狩ればいいさ!」
「道のりが長いなぁ~」
「頑張りましょうね」
島と島の高さは同じぐらいなので、真っ直ぐに道を作っていく。勿論、作るのはファンキー爺だ。他の人は羊を倒し続けて、足りなかった分を届ける役目と護衛でファンキー爺に着いていく者に分かれる。
「護衛なら、アタシかな?」
「そうね。攻撃魔法を使えるのはアンタだけだからね」
「あれだけの距離があると、作っている途中でモンスターに襲われる可能性はあるわね」
拠点の近くには空を飛んだり浮いているモンスターはいないが、拠点から結構離れた場所では襲ってくるモンスターが現れるかもしれない。
「行くぞ!」
「はいはい、頑張ってよ。私は羊を狩っているわ」
「私がルーカから受け取って私が向かう役目ね」
「護衛なら、武器と少しの食料だけあればいいかな」
皆が役目を決め、すぐに始めていく。
「えっほ、えっほ、えっほ……」
「まるで田植えみたいね~」
「後ろ向きではないから、田植えとは違うと思うがな……ここの世界は疲れが出ないし、腰を痛めることはないのは良いな!」
ファンキー爺は周りの警戒をグレムリンに任せ、道を作っていく。結構、拠点から離れた所で……
「あ、モンスター! あれは虫系……キイロバチかな? 『ファイアショット』!」
「ギィッ!?」
「もう1発! 『ファイアショット』!!」
大きな森っぽい島の横を通っていると、1体だけ蜂のモンスターが襲ってきたので、2発の『ファイアショット』で倒すのだった。
「うん、1体だけなら大丈夫そうだけど、複数で襲ってきたらヤバいかな」
「その時は足場を広げて、儂も戦うわぃ」
「その時は宜しくね!」
進みが遅くなるが、1人ではキツいのでその通りにするしかない。
しかし、その心配はなく、襲ってきたモンスターはあのキイロバチ1体だけだったので、順調に道が出来上がって……30分ぐらいで完成したのだった。
「うわぁ、思ったより思ったより大きいなぁ……」
拠点で羊毛ブロックを集めていたルーカ達もクリーパー島の足元へ集まっていた。
「足元まで行ったけど、モンスターが出て来ないわね」
「中まで行かないと現れないかもしれんな。しかし……入り口は見当たらんな」
「見えない場所にあるのかな?」
足場はクリーパー島の周りを囲むように作ってあるので、四方から見えているが、入り口は見付からなかった。
「一応、一番上まで行ってみる?」
「そうね、下手に下から掘って、クリーパーが落ちてきたら最悪な展開になるのは読めるよね……」
「そう決まれば、頂上に向かうぞ!」
階段になるように羊毛ブロックを積んで、頂上へ向かって行ったが…………
「……駄目だわ」
「まさか、黒曜石が隠されていたとはなぁ」
「石のツルハシじゃ、無理だよ!?」
頂上へ着き、ツルハシを振り上げて表面の緑色ブロックを破壊したのはいいが…………下は最も硬い鉱石である黒曜石が敷き詰められていたのだ。これでは、今のツルハシでは破壊出来ず、耐久性がガンガンと速いスピードで削られるだけだ。
「むぅ、頂上だけじゃなくて……四方の側面も黒曜石が隠されていそう」
「多分、その可能性はあるわね。やはり、挑むの早かったわね」
「待て! まだ足裏を試してはないだろ?」
「……一番危険な道になるのだけれども?」
もし、下から掘れたとしても、中身がクリーパーが発生していたら間違いなく落ちてくるに決まっている。
「勿論、掘るのは儂がやる! ルーカ達は離れておればいいわぃ!」
「はぁ、好きにしなさいよ」
ルーカは諦めの心境でファンキー爺に好きにやらせることにする。ファンキー爺からツルハシ以外の荷物を受け取り、ファンキー爺以外は安全な場所まで下がる。
「よし、掘るぞ! …………やはり! 足裏は黒曜石がない!」
頂上と側面は黒曜石が隠されていたが、足裏だけはいくら掘っても黒曜石は現れない。正しい道だと言うように。ファンキー爺はもっと奥へ掘り進めようとする。
「それは良いけど……やっぱり、これ以上は止めておかない?」
「いや、行くわぃ! 行けぇぇぇぇぇ…………お? -ーーうわぁぁぁぁぁ!?」
予想していた通り、奥まで掘り進めて空洞が見えたかと思えば、クリーパーがスポーンして落ちてきた。しかも、今まで出て来なかったのにクリーパー島の周りにもクリーパーが空中からスポーンして落ちてきたのだ。
「きゃぁぁぁぁぁ!? 周りにも降ってきたぁぁぁぁぁーーー!?」
「撤退ぃぃぃ!!」
「あ、もう遅いわぁ」
ルーカ達は足裏から離れて、クリーパー島の周りに作っていた足場にいたが…………そこも安全場ではなかった。今から逃げようとしても、みちぃが言った通りに既に手遅れだった。
ルーカ達はクリーパー島へ偵察に向かったが、結果は皆が仲良く爆死と言う結果で終わったのだった。
次は月曜日の朝7時に投稿します。
宜しくお願い致します。