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傷ついた少年

ゼラゲイド王族が当日中に異世界より勇者を召喚するという内容を聞いたセイ。

彼にとって孤児院は家族…。

家族を守るために、彼は部屋に入りあるものを手にする。


「俺達にとって最悪な流れになるかも知れない。 力を貸してもらうぞ、『バエル』」


セイが手にしたのは、魔槌『バエル』。

聖剣と違い、魔の力を宿している事からそう名付けられる。

聖なる力は剣のみだが、魔の力は、剣だけでなく槍や杖、そして先ほどの槌がある。

共通点としては、聖剣も魔の武器も武器から使用者を選ぶ。

セイはいつ、どうなったかは知らないが、魔槌『バエル』に選ばれたのだ。


「魔物相手で慣らしておくか」


セイは、魔槌『バエル』を手に取って、近くの平原に向かって行った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ふっ…!」


『ルーズベルク』の町から近い平原で魔物を相手に魔槌『バエル』を振り続ける。

多くの魔物がなすすべもなく、魔槌『バエル』の一振りで殴り殺されていく。


「久しぶりに『バエル』を手にしたが、悪くないな…」


セイが魔槌『バエル』を振るい始めて数時間が経過した所で、ひとまず手を止めて感触を確かめた。


「夕方か…。 おそらく既に召喚はされてるだろうな…」


空を見ると、すでに夕焼けになっていた。

彼が戦ってる間に、王族が召喚を実行されているに違いない。

そう感じたセイは、町へ戻る事にした…そんな中だった。


「…ん?」


平原に人影が見えた。

が、様子がおかしい…。 まるで倒れているかのようだ。


「行ってみるか」


人影の方に向かってみる。

警戒しながらゆっくりと…。

そうしてたどり着いた場所で見えたのは…。


「…っ!!」


ボロボロになって倒れている少年だった。

セイは、それを見て驚きを隠せないでいた。

何せ、来ている衣装がこの世界では見かけない色の…紺色の制服だったからだ。


「くっ、あんた大丈夫か!?」


セイは少年に声を掛ける。

だが、反応がない…。

胸部に動きがあるため、生きてはいるが…。


「まずい、今は生きてはいるが…!」


身体の各部の傷から致命傷だと判明したセイは、ポケットから傷薬を出して止血を試みる。


「このままだと危ないな…。 ティリアに頼むか…」


止血を試みる最中で、ティリアに頼むことも視野に入れた。

ティリアは回復魔法を得意としている。

冒険者として彼女と他の数人でパーティを組んでいた時は、彼女の回復魔法に助けられたのだ。


「セイー!!」


「あれは…ティリアか」


そんな中、セイを呼ぶ声が聞こえた。

ティリアである。

ティリア以外にももう一人冒険者として活動している少年も来ていた。


「何やってたんだ? 町長が探していたぞ…って、おい、そいつは!?」


「オレグ…、平原で倒れているのを見つけたんだ」


少年の存在を確認したオレグに、簡潔に事情を説明する。


「ちょっと、この人ボロボロじゃない!」


その傍らで、少年の状態を見たティリアが驚きを見せていた。

そんな彼女に、セイがある頼みをした。


「ああ、だからティリアに頼みに町へ戻ろうとしたんだ。 頼めるか?」


「分かったよ。 この人多分、骨折もしてるみたいだし…」


そう言って、ティリアは杖を召喚し、光を少年に向けて解き放った。


「【ヒーリング】!」


彼女の回復魔法【ヒーリング】である。

冒険者として活動している時は、この魔法のおかげでがっつり依頼をこなせたのである。

彼女の魔力から生み出した淡い光が少年を包み、傷がみるみるうちに塞がっていく。


「まだ、意識は戻らないけど…傷と骨折は治したわ。 ひとまず孤児院に運びましょうか」


「俺が背負うよ。 オレグ、町長も孤児院に?」


「ああ。 ゼラゲイド王族が2時間前に召喚を実行したらしいからな。 しかも多人数を召喚したからな。 それを伝えるためにだよ」


「そうか、王族らはやっていたか…」


セイは少年を背負いながら、オレグと呼ばれた少年に確認を取っていた。

勇者として召喚された人数は一人ではないらしい…と。

傍らで、その話を聞いていたティリアが少年を見て一つの推測をしていた。


「セイ。 多分、この人…異世界から召喚された人の一人じゃないかしら…」


「俺もそう考えた。 服装が俺達の知る服装じゃないからな…。 だけど…」


「そうね。 放っておけないものね…」


セイもティリアの推測に同意した。

やはり、衣装からそう判断したのだ。

だからと言って、こんな状態では放っておけないので、少年を背負ってでも町で休ませようと考えたのだ。。


「急いで戻ろう」


「ああ」


「そうね、戻りましょう」


少年を背負ったセイは、オレグとティリアと一緒に『ルーズベルク』の町へ急いで戻っていった。



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