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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第二章
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第25話 過去の人

ブクマありがとうございます(*´▽`*)♡

 東京ソラマチのカフェテラスから、家族連れや学生らしき人々が多く行き交う。

 目に入るあの団体は修学旅行生かな?

 



 9月に入ったが空は相変わらず青く、浮かんでいる雲も立派でまだまだ夏空だ。

 ぶるるっ

 そんな天気の中、亮さんが身震いした。


「っと・・・ごめん、しずか。食事の途中だけどトイレ行って来るね。」

「うん、大丈夫だよ。デザートは戻ってから運んでもらう?」

「いや、頼んじゃって良いよ。先食べてて。」

「わかった。行ってらっしゃい。」


 少し冷えたのかな?

 テラス席で食事をしていたが、店内のクーラーが流れて来るし、パラソルの下は日陰だったし涼しかったもんね。

 食事前に水分補給もいっぱいしてたな、と少し思い出し笑いをしていたらちょうど店員さんが外に出て来た。


 食べ終わった食器を片付けてもらうと共に、食後のデザートをお願いした。




 彼が帰って来る前より早く、意外にもデザートが早く到着してしまい、私の方はアイスが乗っているので彼が言った通り先に食べさせてもらう事にした。



 クレープ生地とアイスをフォークに乗せ、一口目を口に・・・

 と思ったら下からの視線に気づき、手を元に戻した。


 テーブルの端に両手をかけてつま先立ちをしている、素朴で可愛らしい女の子が私のデザートに釘付けだった。

 今にも涎垂れそうに・・・



「食べたいの?」

 そう聞くと、コクンコクン!と勢い良く頷き、目をキラキラさせる女の子。


(あげても良いんだけど、アレルギーあったりとか、後知らない人からもらうのを嫌うお母さんいるからな~)


 そう思い、近くを見回すが母親らしき人がいない。


「ママやパパは?一緒?」

「ままいないのー」

「えっ・・・」


 まさか迷子?これは困った、と思った瞬間、


「絵李紗!!」

 エリザ、と男性の声が聞こえた。

 この子の名前だろうか。名前と見た目とのギャップが・・・



「あ、ぱぱ~」

 女の子が笑顔で声の主へと駆けて行くのを見守ると、見覚えのある男性にハグをした。


「お姉ちゃんがおトレイ行っている時、近くにいなさいって言ってただろう?勝手に歩かないで?」

「あのね~あいすたべたいの~」

「アイスは食べないよ。」

「あっち~」


 女の子があっちと私を指さし、父親であろう男性もこちらを向いた。


(やっぱり・・・)



「・・・もしかして・・・しずか?しずかだろ?!うわ~久しぶりだなぁ!」


 女児を両手に繋いで私の方へ向かって来た男性は、かつてお付き合いしていた彼、昌弘(まさひろ)君だった。


「まー君久しぶり。子供、まー君に良く似てるね。」



 まー君はイケメンではない。そんな彼の素朴な所が女児二人、とても良く似ていた。

 確認しなくても彼の子供だろう。


「はは・・・俺に似ちゃってさ・・・しずかは、何だか綺麗になったね。あとすごく痩せた?」

「ありがとう。すごくってわけじゃないけど、うん、まー君と付き合っていた頃よりは痩せたかな。」



 LL寄りのLサイズだった私は亮さんとの夜生活を何度か過ごす内に、良い運動だったのかみるみる痩せていった。

 ただ、彼が痩せすぎ禁止!と言うので今はM寄りのLの間に収めている。



「ほんと・・・綺麗になったね・・・」


 何だかうっとりとしたまなざしを向けられている?

 懐かしんでるだけかな。



「まー君はどうしてここに?観光?」

 そう、彼は群馬に住んでいる。東京になんて観光でもない限りいない筈だ。


「あ、俺実は都内に転勤になって。」

「へ~栄転?おめでとう!」


 地方から都内なら栄転だよね?

 きっとそうだろう、と祝福した。


「ありがとう・・・まだ東京に慣れなくてさ、あの、しずかは、」

「しずかお待たせ!そちらの方は?」


 お手洗いが遠かったのか、亮さんがやっと戻って来た。


「あ、昔の趣味仲間の昌弘さん。」

「そうなんだ。初めまして、夫の片山です。」


 あーこの笑顔。完全営業スマイルだ。警戒してるな~・・・


「夫?!あ、しずか結婚してたんだ?」


 子供二人こさえてお前は何を言ってるんだと言いそうになった。

 まー君が結婚した様に他人の環境も変わり、結婚する事だってあるだろう。

 いや、もしかして私ずっと独身だと思われてたって事?!


「うん。結婚式はまだだけど、5月に入籍したよ。」

「え、そ、そうか。新婚だ・・・」


 何か端切れ悪いな。そしてそろそろどこかへ行って欲しい。

 そう願ったのが効いたのか、

「ぱぱおしっこ~」

「え?!」

 私のデザートをガン見していた下の子がトイレに行きたいと言い出した。


「わ、わ、こっち!あ、じゃぁこれで。しずか、またね。」

「じゃあね~」


 うん?またねって言った?




「しずか?」

 亮さんの方へ顔を向けると彼は営業スマイルのままで固まっていた。


 趣味仲間だなんて信じて貰えなかったか。まぁ隠す事でもないしね。


「お察しの通り、元カレです。」

「・・・」

 何で驚いた顔するんだろう。


「何?」

「いや、しずか彼氏いた事ないって言ってなかったっけ?」

「一言も言ってないよ。それ男性経験の話しでしょ?」

「あれ、そうか・・・じゃぁさっきのやつには抱か、」

「やめてくれる?昼間から。」


 何て事を口走るんだと不満をぶつけたら私のデザートが目に入った。

 ああ~アイスすっかり溶けてるぅ・・・



「ごめん。ちょっと意外なタイプだったから。ラグビー選手ぽくもなかったし。」

「・・・好みのタイプとばかり付き合うとは限らないでしょ?」


 そもそも亮さんだって、当初私はタイプではなかった筈だ。私もそうだし。


「うん、まぁそれにしたって・・・」

 亮さんが口をモゴモゴさせるのは何となくわかる。

 友達に写真見せたら、『・・・優しそうな人だね~』て言われるタイプよね。

(イケメンだったら、友達は素直に「イケメンじゃん!」て口に出ちゃうアレ)




「何か、まだしずかの事好きそうな目で見てるから警戒しちゃったよ。」

「大丈夫だよ。そっくりな子供二人もいるんだよ?懐かしかっただけだよ。」

「なら良いけど。」



 あ~・・・せっかくのパリパリ食感のクレープが溶けたアイスでぐちゃぐちゃに・・・






 ********************


 数日後


 いつも通り定時で仕事を上がれて駅に向かっている途中だった。


『プルルルル・・・・・』

 ん?誰だろう・・・?


 登録していない番号からの着信だった。

 何かネットで買い物してたっけな、くらいの軽い気持ちで電話に応答してしまった。



「もしもし?」

『あ、良かった。しずか番号変わってなくて。』


 誰だ?


「どちら様ですか?」

『え?俺だよ!昌弘!』



 ・・・は?!






仕事が立て込んで来まして、週2の投稿がもしかしたら厳しくなるかもしれません。

なるべく週2キープ出来る様に頑張りますね。


もう少し二人の物語お付き合い下さい(*´▽`*)


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