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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
7/88

第7話 メンツ

ブクマありがとうございます♡(*´ω`*)

「亮さんなんて、大っ嫌い!!!」


「そんな!!」













 視界に飛び込んできたのは見慣れた天井。

 カーテンの隙間から漏れる光と鳥のさえずりで朝だと悟る。


「夢か~・・・・・」

 毛布から腕を投げだし両手で顔を覆った。



 鏡張りの部屋の大きなベッドの上にいるしずかが、俺と及川さんに追いつめられる・・・という中々刺激的でリアルな夢だった。

(何ちゅう夢見てるんだ・・・)


 夢の内容を反芻しつつ体を起こした所で下着が濡れている事に気付く。


(思春期のガキか!!)




 自分に呆れつつも仕方ないのでシャワーを浴びにバスルームへ向かう。



 熱めのシャワーを頭から被り先程のリアルな夢を思い出した。

 やけにリアルだったのは、図らずも二人と関係を持ったからの影響だろう。


 夢の最後に言われた、「亮さんなんて、大っ嫌い!」を思い出し心臓が握りつぶされる様な感覚になる。

 実現するはずもないが、もし夢の状況がリアルに起きたら本当に言われそうだ。


 あと、こんな夢見たよ、と伝えても言われそうだし、嫌われそうだ。


 ・・・・・絶対黙っていよう。




 及川さんがしずかと食事したい、と言った理由はしずかに「(わたくし)とも付き合って下さい。」と言いたかった為だ。


 男性・女性どちらも付き合えると聞いたので、俺の周りにはそういう人がいない為、動揺しての夢だったのかもしれない。


 絶え間なく降る熱めのお湯を被りながら昨夜の事を思い出した。




 ********************


「そうですか、そんな出会いでしたの。」

 しずかが及川さんへ告白の返事=断りをしたが、特に気にする様子もなく食事は続けられた。

 どういう出会い方をしたのか、と聞かれ説明するに至った。


(わたくし)がお会いした時はジャケット製作中の時でしたのね。」

「そうです。」

 しずかも特に気にせず話してるけど、何で二人ともそんな普通でいられるんだ?


 同性同士で恋愛って・・・いや、俺が頭固いのか。

 少なくとも、俺の会社や大学時代にそういう人はいなかった。

 偏見を持っていたわけではなかったが、初めて出会ったので驚いている。

 もしかして俺差別的な態度取ってたりしないよな?!



「で、何度も会う中でお互い好きになっていったと・・・意外と普通な流れでしたね。」

「普通じゃない流れって何ですか?って聞きたいけど何か怖い返事返ってきそうなので止めておきます。」

「うふふ。怖くありませんよ?恋愛の始め方は人それぞれです。」

「まぁ、それはわかりますけど。」


 しずかとのスタートは及川さんの言う通り普通な流れだったと思う。及川さんの言う普通じゃないってのは多分体からなんだろうけど、俺はその話しに否定も肯定も出来ない。


 実際、俺自身体から付き合いをスタートする事もあったわけで・・・

 どこか潔癖な所があるしずかには言えない為の無言だ。


「付き合って下さいと言ったのはどちらからですか?」

「あ、わた、」

「俺です。」

「亮さん?」

「俺です。」

「違うよ、私が先に言ったんだよ?忘れちゃった?」

 きょとんとした顔で俺に問う。

 忘れるわけないだろう?先延ばしにして情けない事になったんだから。


「しずか・・・俺って事にしておいて・・・」

 情けなくて何となく視線をしずかに向けられない。斜め下を見るつもりが視界にしずかの胸が入ってしまった。


「え?別に良いけど・・・」

 視線を合わせないからなのか、胸を凝視している様に見えているからか、何となく訝し気になっているのがわかる。


「うふふ・・・片山様はしずかさんに先を越されて悔しかったのですよ。男のメンツと思ってそういう事にしておきましょう?」

「メンツって?」

 どういう事?とばかりの疑問顔でこちらを覗く。


「・・・きちんと俺から言おうと思ってたのにしずかに先越されて情けない、と思ったの!て言わせるなよ・・・」

 一応しずかに顔を向けて答えたが、項垂れるおでこを右手で支える。


「告白がどちらかなんてそんな気にする事ないのに・・・ん、でも亮さんがそうしたいならそれで良いよ。」

 ふわりと笑って、乱れてしまっていたのだろう、髪を撫で直してくれた。


 くっ、この場に誰もいなければ・・・!

 今すぐしずかを抱きしめるのに!!


「今誰もいなければしずかさんを抱きしめてキスするのに、って思ってますね。」

 エスパーか!!でもキスとまでは思ってない、いや・・・ちょっとだけ思ったけども。

 いよいよ怖いよ、及川さん!


「えーそうなの?ふふ、マリアさんおもしろーい。ね、亮さんお友達になっちゃダメ?」

「だ、ダメとは言い難い・・・」

「あら?」

 意外だという表情を及川さんが俺に向けた。


「でも!!夜に絶対二人で会わない事!昼限定!」

「わかったぁ。ね、マリアさんお友達なって下さいって言ったら残酷ですか?恋愛関係にはなれないので彼の言う通り夜お会いする事は出来ないですけど・・・メイクの話しとかショッピングとかしたい。」

「あ、下着売り場はダメだぞ。」

 その言葉にしずかがジトっとした目を向ける。


「変な想像しないで。」

「いや、しずかもうちょっと自覚して?」

 下着売り場の試着室とか定番だぞ。


「うふふ。お二人見ていると楽しいですね。」

 俺たちのやり取りを見ていた及川さんが笑う。魔女の微笑みではなく、本当に楽しそうに笑っている様に見える。


「しずかさんのお申し出は大変嬉しいのですが、きっと(わたくし)付け込みますので、辞退させて頂きますわ。」

「そうですか・・・」

 しずかが心底残念そうな顔をしているが、俺としてはほっとしている。昼でも二人きりならどうとでも出来るからだ。


「その代わり、」

 まだ続きがあった様だ。


「またこうして3人でお食事して頂けませんか?」

「はい!!」

 俺が答える前に、しずかが答えてしまった。3人ならば、俺も断る!とは言い辛くなる。

 しずかが俺を見つめて、ダメなの?という顔をしている。


 はぁ、とため息をこぼし、

「わかりました。頻繁には無理でしょうがまたお会いしましょう。」

 と答えざるを得なかった。



真莉愛さんまたどこかで出したいな~


次話は明後日公開です。少しお待ち下さい。(__)ペコリ



※LGBTに少し触れたので補足を

決して貶めるつもりで書いたわけではありません。

私個人は、足が速い、背が高いの様な個性だと思っています。

この考え方について当人達と議論したわけではないので、考え方が間違っている事もあるかと思います。

ただ、先輩でイケメンのゲイの方と以前良く恋愛トークしてました。

「佐川のお兄さん恰好良いよね~」「ええ~人に依りません?」なんて接してたので彼も私に普通に接してくれていたと思っています。

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