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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
6/88

第6話 及川真莉愛

ブクマありがとうございます♡(*´▽`*)

 しずかが『亮さんおはよう。チュッ(キスマークの絵型)』と朝送ってきたので、信号待ちの間思わずニヤついてしまった。

 やっぱりデレやすくなって可愛いなぁ。

 すぐ返信しようと思ったら、横から声をかけられた。


「あら片山様おはようございます。嬉しそうですね?」


 タ、タイムリー!!

「及川さん、おはようございます。」


 しずかと先日、及川さんと関係を持ったのは付き合う前とは言え浮気だ、と話したばかりだったので、とても動揺した。


「驚かれてますけど、どうかしましたか?」

「えっ。何でもないですよ。」

「そうですか?」

 訝しまれてる。そんな顔に出ていただろうか。


「ところで、片山様にお願いがあるのですが。」

「あ、はい、何でしょうか。山田常務から何か案件ですか?」

 彼女は取引先の山田常務の秘書だ。


「いいえ、個人的なお願いです。駅でお会いした彼女さんとはその後上手くいかれてますよね?」

 さっきニヤついていたのばっちり見られていたんだろうな。

「え?!あ、はい、おかげ様で・・・」

 おかげ様で、と言ったのがいけなかった様だ、


「今度片山様と彼女さん3人でお食事したいのですが。」

 と、理解出来ない事を口にした。


「ええ?!」

「どうやら(わたくし)のおかげで上手くいっている様ですので、ちょっとお話ししたいと思いまして。お願い・・・聞いて頂けますよね?」

 いつか見た魔女の様な微笑で言われた。

 お願い、と言うがこれは強制なんだろう。


「・・・自分の問題ですので、しずか抜きでお願いしたいです。」

「あら、しずかさんってお名前なんですね。素敵。」

 しまった!!


(わたくし)と二人だけで食事へ行ってしずかさんに誤解されませんか?」

 ウフフ、と笑うのはやっぱり魔女の様だ。


 何を考えているのかわからないが、

「彼女の都合もあるので断言は出来ません。あと、彼女に危害を加えるつもりなら容赦しませんよ。」

 一度元カノとしずかが自宅で遭遇した時も引っ張たたかれそうになった事がある。

 暴力沙汰は避けたい。


「あら、怖い。そんな事は致しませんわ。」

 近日中に連絡するとして俺達はそれぞれの会社へ出勤した。




 ********************


「しずかさん、タイムリーな話題で大変申し訳ないんですが。」

『・・・亮さんが「しずかさん」て呼ぶ時って大抵良い事じゃないよね、何?』


 仕事終わりで彼女が家に着いた頃を見計らって電話をした。

 本当はすぐにでも電話をしたかったが、彼女の家が遠方なので仕方ない。


「今日及川さんに会って。」

『うん?』

「俺としずかと3人で食事したいって。」

『・・・何で?』

「いや、わからないけど、断れない雰囲気。」

『ほら、面倒な事になった。』

「重々感じております。」

 この前怒られたばかりでぐうの音も出ん。


『良いよ、いつ?』

「良いの?」

『良いも何も、断れないんでしょ?私も謝ってあげるからこれで終わりにしてもらお?』

「まじでごめん!!」

『あと何かされそうになったら守ってね。』

「それはもちろん!じゃぁ日取り決めるけど、今週の平日は?」

『土日じゃなきゃ何曜日でも良いよ。』

「わかった、じゃぁまた連絡する。お詫びはするから!」

『はいはい、おやすみなさい。』

 寛大な彼女で良かった。及川さんの目的はわからないけど、きちんと謝ろう。




 及川さんに曜日と店の都合を聞いて渋谷の宮益坂にある居酒屋にした。

 隣席との仕切りがあり、且つ個室にも至らないので何かあれば従業員にも助けてもらえるだろう。

 もちろん、自分の蒔いた種なので、自分で始末を付けるつもりだが。






 定時の都合上、俺と及川さんが先に店で待つ形となった。

 お互い会社が近く一緒に行く事も考えたが、一緒に店に行く姿を誰かに見られる可能性があり、余計な噂を生まない様、都合を付け現地集合にした。




 ********************


「お待たせしてごめんなさい。」

 亮さんから及川さんと奥の席で待ってるからと連絡が入って15分程で席に着けた。


「いえ、大して待っておりませんので大丈夫ですよ。何飲まれますか?」

「あ、じゃぁレモンサワーを。」

 さらっと聞いてくれて手を上げ店員さんを呼んでいる。手慣れてる感がある。


「及川さんてもしかして秘書さんですか?」

「あら、良くわかりましたね。」

「気遣いで。」

「今の一瞬でわかるだなんて、しずかさんは良く人を見られているんですね。」

 あれ?何で名前・・・と亮さんを見たらスマン!て顔をしていた。

 お前か!名前バラしたの。


 すぐに私の分のアルコールが運ばれてきて及川さんが乾杯、と言った。

 一口だけ喉を潤し、疑問を投げかける。

「あの、今日って何故私を呼んだのでしょうか?」

(わたくし)がお会いしたかったからですよ。片山様から伺っておりませんか?」

「え?」

 亮さんを見ても、はてな、という顔をしている。


「あの、もしかして亮さんにされた事を許せない感じでしょうか?そう言えば及川さんに殴っておいて下さい、と言われた事実行してませんけど、本人ちゃんと反省してるので、今回で終わりにして頂けないですか?」

「ああ!やっぱり意見をはっきり言う所、素敵です!!」

「「え?」」

 何を言い出したのかわからなくて二人とも目を丸くしてしまった。


「あと、以前チラっと見ただけですけど、あの時より肌艶が宜しいですね。とても片山様に愛されている様で。」

 ちょっと!何を言い出すの?この人。あ、愛されてなんて恥ずかしい!


 亮さんへの当てつけかと思ったけど何か私見て、顔が恍惚としてる?!

 あと、亮さん満更でもないみたいな顔するの止めてくれる?!

 キっと睨んだら彼が慌てて顔を整えた。

 でもこの感じだと恨まれてる、ってわけじゃなさそう。


「では、及川さんはりょ・・・片山さんや私に恨みがあるわけではないんですね?」

「真莉愛です。」

「え?」

「真莉愛、と呼んで下さい。」

「は、はぁ。」

 何か調子狂うな。

「ではマリアさんは私達に恨みがあるわけでは、」

「はい、違いますね。」

 では一体何だろうか。

 二人で顔を見合わせ、はてな、とした所で及川さんが続けた。


「私、しずかさんの様な見た目従順そうなのに、はっきり意見を言う(かた)がタイプなんです。」

「「は?」」

 戸惑っていると両手をガシっと掴まれた。


「無理を承知で言いますが、(わたくし)ともお付き合いして頂けませんか?」

「はあ?!!」

 反応したのは亮さんだ。

 今まで黙っていたのに、ここで発言するとは。

「ちょっ、何を言い出すんですか。しずかは俺のだからあげませんよ。」

「私は誰のものでもないよ。」

「ええ~」

 悲しそうな顔をするな。


「素敵。」

 こっちはこっちで訳がわからない。

「確認ですけど、お付き合い、と言うのは男女の様に、と言う事ですか?」

「はい、片山様と別れろとは申しません。(わたくし)とも少しお付き合い頂ければ。女同士でも楽しめますよ?むしろ女にしかわからない感じ方もあるかと・・・」

 感じ方って!ここでもセクハラ?!

 微笑んでるけど魔女みたいだよ、及川さん。あ、マリアさんか。


「整理させて下さい。つまり恋人になってほしいと。そういう事ですか?」

「はい!」

 嬉しそうに言わないで・・・了承してませんよ。

「え?あれ?」

「あら、しずかさんはもう気付かれてますよ?」

「バイでしたか。」

「はい。」

「えええっ??」

 信じられない、という顔をしているけど周りにそういう人いなかったんだろうな。


「おいか、えっとマリアさん、それ私達に話して大丈夫でした?バラされて困ったりしません?」

「片山様は(わたくし)への()の手前、誰にも話さないと思ってますし、しずかさんなら私の性癖についてベラベラしゃべる人には見えませんわ。」

「そうですね、わざわざ声を大にして言う事ではないです。」

「本当に素敵ですねぇ・・・」

 うっとりした視線を向けられている。どうやら本気っぽい。

 信用してくれるのは嬉しいけど、応えられない。


「ごめんなさい。」

 頭を深々と下げた。

「私は亮さんが良いんです。」

「そうですか・・・」

「この前浮気について話し合ったばかりなんです。マリアさんは素敵な女性だと思いますし、お話ししてみたいとは思いますが、亮さん以外の人を好きになる事は出来ません。」


 亮さんが隣で感動してるけど、元はと言えば・・・!


「女性とは付き合えない、とは言わないんですね。」

「え?あーそうですね。前、女性に告白された事ありまして・・・私その時ありがとう、で流しちゃったんですよね。同性である事に動揺してたのかもしれないけど、好意を伝えてくれたのに、なかった事にするのって最低だなって後で気付いたんです。」

「へえ?」

「なので、女性だからとかは今は問題ではないです。」

「ちょ、ちょっとしずか、女性にって・・・」

「亮さんちょっと黙ってようか。」


「そうでしたか。これ以上言ってもダメでしょうね。潔く諦めます。」

 ほっと胸をなでおろしたけど、

「片山様と別れたらいつでも声かけて下さいね。」

 とにっこり言われて、食べられる!と思ってしまった。


し「ん?もしかして初めて会った時ジロジロ見られたのって・・・」

マ「はい、タイプでしたので。しっかり見させて頂きました。」


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