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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
43/88

第43話 亮くんのコーディネートチェック

ブクマありがとうございます!٩(*´∀`*))۶

『久しぶりにしずかの家泊まりたい』

 週末どうしようか、なんて仕事帰りに電話してたら彼からそう、希望が出た。


 確かにしばらく(うち)来てないな、と思い私も「良いよ」と返事をした。




 3月に入って気分は春だけどまだまだ寒い。

 でもまた海近くのカフェでも行こうかな?

 そう、『付き合おう』とお互いが言った思い出のカフェ。



「うふふ。」

 と顔がにやけてしまう。夜で通行人も少ないし、暗くて良かった。

 怪しいヤツだと思われちゃう。


 そんな焦りもすぐ飛んで、週末が楽しみで仕方なかった。








 ********************


「用意してあるからさ、スーツだけ着替えちゃって良い?」

「うん、もちろんだよ。私は?車で待ってる?」

「いやいや、危ないから一緒に部屋来て?」

「平気なのに・・・」

「しずか?」

 真剣な眼差しで諭される。

 本当に心配してくれての事だろう。

 素直に一緒に家まで行く事にした。




 土日に泊まりに来るのかと思ったら、

「日曜に用事があって」

 との事で金曜の夜、仕事終わりに夕飯を食べたら車で一緒に私の家まで帰る事になった。



「お待たせ、しずかの家に帰ろう。」

「うん。」

 スーツを脱いだ彼は、スエードのライダースとパーカーとデニム、という出で立ちでラフだけどモノトーンがすごく似合っていて、格好良い。


「カッコイイね。」

 素直に感想を述べたら

「え?今それ言う?1回してから家帰ろうか。」

 と、セクハラを臆さずに私にキスをしてきた。


 いつもの私なら

『もー!またセクハラ言って』

 と彼の頬を押し返したりするんだけど、何かいつもと違ってたの。


「するなら・・・家に帰ってちゃんとしたい・・・」

 キスの後に熱を帯びた視線を送るなんて危険行為だったかもしれない。


 私の様子に

「!!わかった!うん、すぐ帰ろう!!」

 と引き下がってくれた。



 結果、良かったのか、悪かったのか・・・








 ********************


「ん?それで行くの?」

 土曜の朝、映画を観に行く為に着替えを済ませた私の姿を見るなり、彼が怪訝な顔をした。


「え?可愛くない?」

「かわいいけど、首元開きすぎじゃない?」

「そうかな~・・・?」

 寝室の鏡台で、カシュクールのグリーンベースの白い小花柄ワンピースとベージュのローゲージのニットのガウンを合わせたコーディネートを確認する。


 カシュクールから胸元が見えない様インナーもきちんと着ている。

 開き過ぎとは思えない。


「もしかして寒さ心配してくれてる?念の為ストール持ってるし車移動だから大丈夫だよ?」

 アラログで編まれた大きな筒形のかごバッグを持っているのでストールも問題なく入る。


「いやそれもあるけど・・・」

 何か不服そうだ。


 その姿にこちらも段々とイライラし始めてしまった。


「何なの?」

「うなじ隠そうよ。」

「何で?」

 ポニーテールにしているのでうなじは当然見える。がストールも用意してあるから寒さ対策はしっかりしている。


「そのうなじを他の男に見せるのか、と。」

「は?」

 そんな事考えてたの?!めんどくさい男だな!




 実は今に始まった事じゃない。

 ちょいちょい服装について意見をされる事が何度かあった。


 最初は『うん、気を付けるね』と可愛く言っていたけど、母より厳しいってどういう事?!と内心思っていた。


 春めいてきてこれからがおしゃれの季節なのに亮さんの目を一々気にしてたら楽しめない。



「しずかに変な男が寄ってきて欲しくないんだよ。」



 これで何回目の指摘だ、そろそろ我慢出来ないぞ、と思いつつ、それでも感情的にはなっていけないと深呼吸を彼の前で繰り返していた。


 うーん、気が治まらない。


「聞いてる?!」

「あ~鬱陶しい。」

「え?!」


 あー感情的になっちゃった。


「え、しずか?」

 鬱陶しいと言われ、困惑している彼に向き合う。


「亮さん。」

「は、はい。」

「焼きもちは嫌いじゃないんだけど、行動を制限されるの私すごく嫌いなの。」

「制限なんて・・・」

「し、て、る、でしょー!!」

 彼の両頬を軽く抓った。


「服装や行動に制限かけるなら・・・」

「なら、何だよ。」

 言ってる言葉は強気なのに、ちょっと泣きそうなのは何でなのよ・・・

 別れを切り出されるとでも思っているのかしら。

 この可愛い彼は。


「妥協案を探ろう?何が嫌なの?露出?そんな露出してないと思うんだけど。夏になって暑くなったら髪は結ぶよ?夏じゃなくなって服に合わせて髪型なんて色々変わるし。」

 安心させる為に、抓っていた両手を彼の腰に回し、顔を見上げた。


「単純に、しずかを誰にも見せたくないだけの・・・俺のわがまま・・・」

「うん、そうかなと思った。そんなわがままで私の服装にいちゃもん付けられるの、すごく嫌なの。」

「でも、」

「でも、じゃない!そんな露出してみっともない恰好してた?そう思うのなら本当に改善しなきゃいけないから教えてよ。どうなの?露出がひどすぎる?」

「ひどすぎるって事はなかった・・・」

「やっぱりね。」

「・・・・・」

 自分の要求が少し理不尽なのがわかってくれた様だ。


「ねぇ、私が亮さんを好きなのは理解してくれてる?」

 右手を彼の頬へ添えて見つめた。

「うん・・・」


「好きな人と会う時、おしゃれしたいって気持ちは理解出来る?」

「っ!!」

 そう言うと顔を赤くした。

 今さら何でこんな事で照れるのかな。


「ね、だからさ、もちろん露出が激しそうなのは私も気を付けるけど、ある程度は黙認してくれない?」

「う、う・・・」

「もしまた文句を言う様なら、」

「なら??」

「その場で新しい服を買ってもらいます。」

 頬を膨らませ、抗議の表情で彼に伝える。


「え、それは俺は全然構わないけど。むしろラッキーというか・・・」


 この人は自分が買った衣服=主に下着だけど・・・を私が着る事に性的興奮を覚える変態さんなので、服を買い与える事自体はご褒美になってしまう。



「亮さんの希望をそのまま買うと思う?」

「??」

 抱き着いたまま見上げる彼の顔がよくわからない、と言っている。


「買うのは亮さんだけど私が気に入らなかったら延々と服探すよ。デートがそれで1日終わるかもね。あと、その日は亮さん()泊まらないから。」

「え!?」

 途端に焦り始めた。


「服探しで1日使ったあげく亮さんの家には絶対泊まらない。」

「き、厳しい・・・」

「アパレル勤務の人間にケチ付けるからよ。あ、単純に似合っていない、とかのアドバイスなら受け付けるわ。」

 口を尖らし目を据わらせて伝えると、

「・・・すみませんでした。」

 と彼から謝罪の言葉が出た。


「何に対して?」

「自分の嫉妬だけでしずかの服装に文句言ってた事・・・」

 うん、自分でも言いがかりなのは理解していた様だ。


「わかってくれたならもう良いよ。」

 と、ぎゅうと彼に抱き着いた。

 頭上から「ほっ」と息が漏れ頭を撫でられた。






 ********************


 服装の事で揉めたけど、ちゃんと仲直りして映画を観に行った。


 うーん、段々心の狭い男になってきてる気がする。

 しずかの愛を疑っている訳じゃないんだけどなぁ。



「夕飯何食べたいとかある?」

 映画を観終わりスーパーへ移動してきた。

 明日は俺に外せない用事があるので、夕飯だけご馳走になって泊まらず帰る予定だ。


「え?うーん、しずかの作りやすい物で良いよ。」

「おお!そう言う言い方助かる!『何でも良いよ』じゃ困るけど下手に指定されても、って事もあるもんね。」

 じゃ~あ、としずかがスーパーの野菜コーナーで物色している。


 カゴ持ちは俺。

 カゴを持っていない反対の手はしずか。



 他の買い物客の邪魔にならないように時々手は離すけど、すごく、すごく幸せだ。

 焼きもちで愛想尽かされない様にしないとなぁ、なんて思いながら食材を選ぶしずかを眺めていた。






「喉乾いたね。上にカフェあるから買ってから駐車場戻ろう?」

「おー了解。」

 カフェ内に入ってまったりしてしまうと買った肉や魚が傷んでしまうからだろう、そう提案されスーパーの2階へ上がった。



「こっち~」

 しずかがエスカレーターから先へ進んで行ってすぐ、


 ドドドドドド、とかける音が聞こえてきた。


 何だ?と思い振り返った次の瞬間ドン!!としずかに抱き着く人影があった。

「うわっ!!」

「しーちゃん!!」

「充輝!」

「えへへ~しーちゃん♡」

 ミツキ?4~5歳くらいだろうか、男児がしずかに後ろから突進して彼女の名を呼んだ。


「こら~走ったら危ないでしょう?しーちゃんびっくりしたし、痛かったよ?」

「ごめんなさい・・・」

「よしよし、ちゃんとごめんなさい言えてえらいね。」


 屈んで頭を撫でた後ハグをしてあげてるのだが、その光景は微笑ましいのだが・・・

 こら、そのおっぱいは俺のだぞ。

 ミツキとやら男児がしずかの胸に頭をうずめてグリグリしている。

 俺もそんなにそれやってないのに・・・

 て言うか、どこの子供だ?知り合いではあるんだろうけど。


「ママは?近くにいるの?」

「ううん!きょうパパと100えんショップきたの~!」

「え?!」

「パパあっちにいるよ~」

「亮さん!」

「ん?」

 先程の子供に対応していた柔らかな表情が消え焦った表情になった。


「逃げるよ!」

「は?!」

「いーから!」

 手を引かれた瞬間、


「しずかぁ!!」

 と男性の大きな声が聞こえた。


「見つかった・・・」

 何だ、何かやばいのか?


 しずかは諦めて声の主の方へ向いて手を振った。

「いち君久しぶり~・・・」

「久しぶりじゃねえ。誰だそいつは。」

 何とも言えない雰囲気に思わずしずかを後ろに隠した。


「あ、亮さん、大丈夫だから。」

「おい、お前誰だ?!」

 男性が俺に向かって声を荒げる。


 真っ黒でいかつい見た目にちょいビビるが、俺だって鍛えている。まともに殴られたら無事では済まないだろうが、しずかを守るくらいは出来る。


「あんたこそ誰だ!」

「兄だ!!!」

「あ~・・・・・」

「パパうるさ~い。」






アラログは植物の一種です~かごバッグの原料に良く使われています。ラタンとかも良く見ますね。あれより太目の枝です(*´▽`*)


ラスボス?が登場しました。



仕事の都合で次話は2日後になります。

キリの悪い所で申し訳ないです!!(*´Д`)


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