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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
42/88

第42話 変態さんと焼きもち屋さん

ブクマありがとうございます(*´▽`*)♡

「しずか?」

「ん?」

 仕事終わりにイタリアンレストランへ来ていた。バルに近くお店も混んでいて、カウンターしか席が空いていなかった。

 店の奥側に座っているしずかに問いかける。


「ホワイトデーまで少し先だけどさ、バレンタインデーのお返し何が欲しい?」

 X‘smasの様に時間がない訳じゃない。

 何かあれば準備しようと思いしずかに聞いた。


「ん~・・・いつもと同じ返答で申し訳ないんだけど、特に無いんだよなぁ。」

「俺って言ってよ~」

「・・・亮さんと同じにしないでくれる?」

 甘えた声で『俺』をリクエストしたら、嫌そうに睨まれた。



「あ!」

 何か思いついた様だ。調子乗って、

「お、俺って言う?」

 とニヤニヤしながらしずかに顔を向けると、頬をぐいーと強く押された。無言で。



「ジャンポールエヴァンのマカロンとキャラメルとマロングラッセ食べたい。」

「ん?なんだっけ、それ。」

 横文字がツラツラ出て来たな。


「ショコラティエの名前かな?それがそのままお店の名前に。」

「ふーん。」

 表参道ヒルズに在った気がするな。後、伊勢丹にもあった気がする。

 大事な取引先のお土産で買いに行った記憶がおぼろげに出て来た。



「高いし、甘いから1~2個で良いよ。」

「1ダース買ってくるわ。」

「食べきれないからやめて・・・」

 1ダースは冗談だったが、しずかに心底嫌そうな顔をされた。


「他には?」

「え?」

「マカロンとか以外に欲しい物は?」

「え?ティラミスのお返しには充分過ぎるよ?」

「いや、だって、水着のしずかをくれたじゃない?」

「・・・・・」

「だから俺もお返ししないとさ。」




 そう、あれはすごくスペシャルなバレンタインデーだった。

 水着は着てくれないものだと思っていたからサプライズ感もあって、すごく良いバレンタインデーだった、俺的に。


 唯一残念だったのは、俺が用意していた、ピンクのボーダーのマイクロビキニを着てもらえなかった事。

 ニーハイまで付いていて可愛かったのに翌日しずかが生理になってしまい着られなかった。


「変態。」

 を連呼され凹んだが、何とか粘って翌日着てくれる約束を取り付けたのに何たる誤算。

 しずかが心底ほっとしてたのにはちょっと傷ついたなぁ。




「だからと言って、水着の亮さんはいらないからね。」

 水着に水着で返す、とは思っていないが、


「いらないって言うなよ~悲しいじゃん。」

 俺がいらないとはまた傷つくなぁ。


「ちが・・・亮さんがいらないんじゃないよ!亮さんいないと私ももう困るし・・・」

「え?!どういう意味?」

 あからさまにしょんぼりした俺の右袖を慌てて掴んだしずかの焦った顔を眺め、ニヤニヤしながら聞いた。


「わかってて聞いてるでしょ・・・」

「わからないなぁ。」

「わからないなら良いです。」

 プイ、と拗ねて海老のアヒージョを乗せたフランスパンを頬張った。

「イタリアンバルなのにアヒージョあるの不思議だね」、と笑いながら一緒に注文した物だ。



「ごめんって。ホワイトデーの事は置いておいて、夏になったら海とかプール行こうね。」

「えっ・・・それはちょっと・・・」

「嫌なの?!」

 断られるとは思ってなかったので、単純に驚いてしまった。


「亮さんの前でだけなら水着になれるけど、他人いっぱいいるのに水着って抵抗ある。」

「俺以外に半裸を見せたくないと。」


 正直俺も、俺以外の男にしずかの水着姿は見せたくないので、行くとしたら人の少ない海かプライベートビーチだな。

 ああ、露天風呂付の温泉とかも良いな。あれ?水着関係なくなるか。



「言い方・・・まぁそうだけど。お腹とかぽちゃってしてるし。恥ずかしいから嫌だ。」

「しずかまだ自分が太ってるって思ってるの?全然太ってないからね。出会った当初よりかなり痩せたじゃないか。」

 実際、みるみる痩せていっていて、前から可愛かったけど、より可愛くなった。


「身内の言葉は信じない。」

「こらー!」

 ほっぺを両手でむぎゅってし、こちらを向かせた。


「信じてよ。サイズダウンもしたんだろ?バレンタインデーで見せてくれた水着姿だって太ってるなんて思わなかったよ。」

 肉感あったけど、ほんとに問題ない。むしろあれ以上痩せられるのも困る。


「え、そうなんだ・・・うーんまぁ夏までまだ時間あるしもうちょっと頑張れるかな?」

「いや、だからもう痩せなくて良いんだって!」

 何故女性は「太っていない」と言っているのにダイエットをするんだ!


「うーん、無理なダイエットはしないけど、油断するとすぐ太るから引き続き頑張ります。」

「う、うう~ん。まぁ無理しないなら。」

 今も少し前のしずかも、もちっとしてて気持ち良いんだけどな~






「カードと・・・レシートのお渡しです。ありがとうございました。」

「ごちそうさまでした。」

 テーブルで支払いを済ませると、トイレに行っていたしずかがちょうど戻って来た。


「あ、お会計しちゃった?」

「うん?終わったよ。」

「おいくら?」

「ん?まだ聞くのか。いらないって。」

 ディナーやランチは奢ると言っているのに、毎回聞いてくるんだよな。


「ん~魔が差して払わせてくれるかと思って。」

「そんな魔は差さないよ。」

 笑いながら席を立ち、店の出入口へ向かう。



「・・・・・」

「・・・・・」

(・・・女連れのくせにしずかの事見るの止めて欲しいな。)


 しずかがトイレへ行く時と戻る時、何人かの男がしずかを品定めしているのがわかった。

 今も席を通る際に熱い視線を送っている。


 目の前の女性に注目しろよ!

 と思う。そんな事してるとフラれるぞ、と余計なお世話を心に浮かべていた。


 実際、「聞いてる?!」とか言われてたからな。




「亮さん、今日もごちそうさまでした。美味しかったね。」

 店の外へ出ると改めて、しずかが奢った事への感謝を述べた。


「・・・・・」

「どうしたの?」

「ん?今日のしずかのスカート見た事ないやつだな、と思って。」

 わざわざ言う必要はないし、見た事ない服だったのも事実だったので男達の視線の事をごまかした。


「あ!これね!」

 と言ってツートーンの小花柄のロングスカートを翻し、くるっと回った。

 裾がふわりと揺れる。


「うん?かわいいけど、どうした?」

「これね!作ったんだよ!」

「まじで?すごいね。」

「ジャケットより全然簡単だからね!」

 気付いてくれた!みたいに目を輝かせる姿はとても可愛いのだが・・・


「かわいくなり過ぎじゃない?」

「えっ?甘すぎるかな?女子過ぎない様にモノトーンにしたし、コートもライダースでハードにして甘辛コーデにしたんだけど・・・」

 何か、雑誌の文句みたいな事言い出したけど、論点はそこじゃない。


「違う、違う。しずか自身がかわいくなり過ぎだって、言ってんの。」

 とおでこを指で、つん、と押した。


「うん?」

 おでこをさすさすしながらしずかが疑問の表情を浮かべる。


「あのさ、何でどんどんかわいくなってくの?」

「え?それ聞く・・・?」


 さっきもそうだけど、また視線集める事多くなってきたんだよなー、しずか。

 俺が思案顔をしているともじもじしながら左袖を掴んできた。上目遣いもプラスで。


「亮さんに、『可愛いね』って言われる為に努力してるから・・・多分それかと・・・」

「なっ・・・!」


 また可愛い仕草してきて!

 俺は騙されんぞ!

 いや、しずかなら騙されても良いんだけど。


「何か男達の視線集めるのすごい困る。」

 近寄ったしずかの頭を撫でると、

「えー・・・知らないよ、他人の事なんて。」

 と口を尖らせてしまった。


 せっかく可愛く近寄ってくれたのに・・・!



「彼女可愛いのダメなの?」

「俺はダメじゃないんだけど、周りが・・・」

「私が浮気するとでも?」

「いや!そうは思ってないけど。」


 今さら他の男出て来たって絶対しずかは譲らない。


「じゃぁ、『俺の彼女可愛いだろ!』って態度にしててよ!」

「う、はい・・・」

 言葉に詰まりつつも返答をしたら、しずかが周りをキョロキョロした後、俺に抱き着いてきた。


 しずかから外でこんな事してくるのは珍しい。

 戸惑っていると、ニパっ!と笑い顔を上げてきた。


「亮さん?」

「ん、うん?」

「大好きだよ?」

「っ!!しずかさん、この後どうします?!イテっ!」

 思わぬ告白に即座に浮かれて、平日でこの後帰るしか選択肢がないのに、変な聞き方をしたものだから察されてしまい、脇腹を小突かれた。


「帰りますけど?」

「ごめんって。急な愛の告白で舞い上がっちゃってさ。」

「・・・・・」

「俺もすっげー・・・好きだよ?」


 耳元で囁き、顔を真っ赤にして俯くしずかを満足して眺めた。






し(安心させる為に大好きって言ったのに、もう・・・)




イチャイチャが平常運転(・∀・)

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