第41話 風邪の原因が 後編
ブクマありがとうございます(*´▽`*)♡
亮さんの着替え、(下着以外) を終わらせたら私のお腹が盛大に鳴った。
今頃は美味しいジビエを食べている筈だった。
「亮さん?お腹空いてる?」
「うーん・・・」
これは私の問いに反応したわけではなさそうだ。
彼はとりあえず寝させよう。
おでこに手を当てると相変わらず熱い。
この家は体温計とかどこにあるんだろう?
申し訳ないけど、家探しさせて貰う。
キッチンの引き出しの3段目を開けた所で、薬系の諸々が入っているのを発見した。
(おービンゴ!)
実は私も同じタイプで、自宅のキッチンの2段目の引き出しが薬類を入れる箇所になっている。
ガサガサと中を確かめ、体温計を見つけ総合風邪薬も見つけた。
水と薬と一緒に、ケーキに付いていた保冷剤をタオルに包んで寝室へ運ぶ。
以前、「保冷剤なんてすぐ捨てる」と聞いて、「何かに使えるから」と冷凍庫に無理やり2個突っ込んでおいて良かった。
寝室へ戻るとはぁはぁと息苦しそうに呼吸をしている。
熱を測ってこの後の対処を考えよう。
ピピピピピ・・・
「38.3℃・・・・・」
熱をまず下げてあげないと可哀そうだな、と自分がマスクをし、亮さんのマスクを外す。
これで熱を逃がしやすくなるだろう。
さっさと外してあげたかったが、油断すると襲ってくるし、色々準備していてそこまで頭が回らず外すのが遅くなってしまった。
ひとまずタオルで巻いた保冷剤を彼の首元とまくらの間に挟む。
「亮さんお水飲める?」
「・・・・・」
荒い呼吸だけど返事が無い。
お水も飲ませたいし、薬を飲ませる前に何か食べさせたいが、今はとにかく睡眠を取らせよう。
そして、私が倒れても意味ないので、しっかりゴハンを食べさせてもらおう。
と、彼の枕元にスマホを置いて、一旦外へ出た。
「亮さん?」
「ん・・・」
コンビニで夕飯を買い、リビングで一人食事した後様子を見に行くと、声掛けに彼がわずかだが目を開けた。
「保冷剤交換しようね。あと、みかん剥いたから食べようか。」
ふとんを片側めくりスウェットの裾から脇に入れた体温計を挟み、その間にストローを入れたペットボトルで水を飲ませ、みかんも口に入れた。
(うん、ひとまず食べてくれたから少し安心出来るかな)
子供の様にたどたどしく、もぐもぐしてる姿を見つめてると、
ピピピピピ・・・と体温計が鳴った。
「38.2℃・・・・・」
全然下がってない。まぁあれから数時間しか経っていないのだから当たり前か。
さぁ薬を、と思ったら寝てしまった。
いくら声を掛けても起きないし、口を開けてくれない。
(仕方ない、亮さんの体力で元気取り戻してもらうしかないな)
保冷剤を交換し、買ってきた冷却シートをおでこに貼ってリビングへ戻った。
(さて、私はお風呂もらったりしたらソファで寝ますかね)
********************
「亮さん?おはよう?」
「う・・・・ん・・・」
ピピピピピ・・・意識ない内に入れた体温計が計測を伝える。
「37.7℃か~・・・今日どうする?私は休んだ方が良いと思うけど。」
「うん・・・」
これは返事してる事になるのかな~
イマイチ対応出来ていない姿が心配になり、私の独断で休ませる事にした。
ただ、
「会社名知らないし、部署も知らん・・・・」
今は8時だ。出社は確か9時だった気がする。
「あっ!!!」
思いついて、ある人物に掛ける事にした。
『プルルルル・・・・・』
『もしもし!!!』
掛けたのはこちらなのに、朝から声が大きいな、と一瞬スマホを耳から離し失礼な事を思った。
「もしもし、おはよう。朝からごめんね。」
『おはようございます!いいッス!どうしました?しずかさん!』
声の主は私に告白してきた元気君、亮さんの部下だ。
「元気君の上司の片山さんが風邪で熱が高くてね、」
『えっ!・・・・・しずかさん今どこにいるんです?』
「亮さんの家だよ?」
『い、い、一緒に住んでるんですか?』
何でそんなに焦ってるのだろう?と思いつつ要件を早く済まそうと思った。
「住んでないよ。昨日食事行く約束してたんだけど、様子おかしいから中断して家連れ帰ったら38.3℃もあってね。」
『あ、そうなんですか。それでどうして自分に掛けてくるんです?』
元気君の疑問は最もだ。
「うん、今は37.7℃まで下がったんだけど、応当がはっきりしてなくて不完全だから私の独断で休ませようかと。」
『ふむふむ』
「でも、会社の番号とかわからなくて、元気君部下だって聞いてたから亮さんの上司の方?いるよね?に伝えてもらおうかと思って。」
『なるほど!了解っす!確実に部長に伝えます』
「うん、お願いします。回復したら本人に掛けさせるから。」
『はい、任せて下さい!』
「うん、お仕事頑張ってね。」
『!!・・・はい!!』
何か嬉しそうに元気君が電話を切った。
はて?亮さんいない方が仕事捗るのかしら?
********************
「う~ん・・・・・あれ?」
目を開けたら見慣れた景色が飛び込んできた。
昨日しずかと渋谷で待ち合わせて合流した後の記憶が曖昧だ。
何で今ベッドに入っているのだろうか。
「あ、亮さん気付いた?具合どう?」
入口のドアからしずかの声が聞こえた気がする。平日の朝にしずかがいるはずがない。
いよいよ幻聴が聞こえる位しずかに惚れてるんだな、と思った。
一応、目線だけドアの方へ向ける。
・・・・・幻聴じゃなかった。
「何で・・・」
ここにいるの?と聞こうとしたが声がかすれて出なかった。
「高熱出してた寝込んでたんだよ。身に覚えある?」
「・・・・・・」
しずかにそう言われここ最近の自分の行動を思い出す。
・・・風呂上り上半身裸の状態で、しずかの痴態を思い出した後ソファでうたた寝してしまった、とは言えない。
特にバレンタインデーや、スカートがマリリンモンロー状態になった夜の時とか克明に思い出し、何度か耽っていた。
バカ過ぎるし、風邪の原因が中学生ばりだ。
「良く覚えてない・・・」
と熱のせいに答えたら、しずかはあまり原因には興味無さそうだった。
「ふーん。ねぇ、ところでさ、朝測った時あまり熱下がってなくて、私への応当が曖昧だったから独断で休ませちゃったけど、アポとか入ってたりしてない?」
え?!!時計をバッと見たら9時をとっくに回っていた。
「やばい!連絡してない。」
「あー、私連絡しておいたから。」
「え?俺の会社の番号知ってるっけ?」
「知らないから元気君に頼んだ。でも、彼が亮さんのスケジュールまで把握してるか気になってきちゃって・・・大事な商談とか入ってない?」
「えっと・・・・」
まだフラフラする頭の中でスケジュールを確認した。
ふと、枕元にスマホを見つけたので、手を伸ばして取り中を開け確認する。
「だ、いじょうぶ・・・今日は何もない。」
「良かった~。商談入ってた所で行けるか怪しいけど、ドタキャンとかしたら大変だなって思って不安だったの。」
スマホもロックかかっているから開けられなかっただろうし、岡田が共通にいてくれて助かったかもしれない。
と、思い出した所で、
「・・・しずか、仕事は?」
と尋ねた。今日は平日なのだからしずかもそろそろ仕事に行く時間だと思った。
「うん?半休取ったからもう少し看病出来るよ?」
「えっ!・・・・・申し訳ない・・・・・」
「気にしないで。普段しっかり仕事してるから大丈夫。」
と、ベッドに腰かけ俺のおでこに手を当ててきた。
「昨日、泊まって看病してくれたの?」
「うん、意地張るからどうしようかと思ったけど、来て良かった。」
そうほほ笑むしずかがとても愛おしくなり、目の前の腰に抱き着く。
「ちょっと~病人は大人しくして下さい。」
「お礼する・・・」
と腕を伸ばしてしずかの頭を抱えたら手を抓られた。
「いててっ!」
「風邪を移す気ですか?その状態でいつもと同じ様にキスしようとしないで。」
「う、ごめんなさい・・・」
「大人しく、玉子粥食べてね。」
とベッドサイドに置いた鍋に目線をやった。
「あとさ、本能ってすごいね。亮さん大した意識ないのに、ベッド周りに私がいると襲おうとしてきて大変だったんだから。」
「え・・・・・」
熱なのか、恥ずかしさなのか、顔を赤くするしかなかった。
次話は明後日公開です。少しお待ち下さい(__)ペコリ




