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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
38/88

第38話 元気君再び

「片山課長お疲れ様です!!」

「おー岡田お疲れ。」

 ビルの玄関近くで後ろから名前の通り、元気良く声を掛けられた。



 そう言えば岡田にしずかの事言ってないな。


「今から同期で飲み行くんですけど、良かったら課長もどうですか?」

「同期で行くんだろ?遠慮するよ。」

「気にしなくて平気ですって。」

「いやいや、ごめん、俺も予定あるから。」

「あ、何だそうでしたか。では失礼しますね!」

「飲みすぎるなよ~」

 遠くで「大丈夫です!」と、声と手を上げ岡田が消えていった。




 あいつしずかの事吹っ切れたんだろうか・・・

 しずかにフラれてから1か月程経っているが、あれ以来仕事は真面目にこなしているから、まぁ、吹っ切れたんだろう。




 今はラグビーのシーズンじゃないから会う機会自体ない、としずかは言ってたし、会ったよ、とも言われていない。

 会う機会も減れば気持ちの整理も着くだろう、と敢えてしずかが俺の彼女である、と伝える必要もないな、と思いしずかとの待ち合わせ場所へ向かった。








 いつも通りマークシティ横の大エスカレーター下に、待ち合わせの少し前に着いた。


『ビュオォーーーー!!』

(今日は風が強いな)

 ビルの隙間だからか余計に風が強い。

 髪が少し乱れたな、と手で直していると、


「亮さん!!」


 と満面の笑みのしずかが通りから現れた。

 おお、今日も時間通りだな、と感心していると、


『ビュオォーーーーーーー!!!』


 先程よりも強い風が舞った。


「きゃあ!」


 と言う声と共に、しずかのスカートが捲れ上がった。


 いつもロングコートを着ている事が多いのに、今日はライダースを羽織っていた。

 くるぶしまでありそうな「丈の長いスカートにはこっちの方がバランスが良い」と前にしずかが言っていたが、スカートを押さえつける物が無い分、容赦なく風でスカートが巻き上がった。


 まるで映画のマリリン・モンローの様で見とれてしまった。



 風が治まると、しずかは笑顔のまま固まっていた。


「ひもパンだ。」

「ひもパン。」

「エッロ。」


 後ろから小さく声が聞こえる。


 うん、俺もばっちり見た。



 ストッキングの中の薄いピンクのひもパンを。



「は、恥ずか死ぬ・・・」


 しずかに近づくと、段々顔が赤くなってきたのがわかった。



 通り過ぎる通行人も何やら顔を赤らめてしずかの顔を確かめてすれ違って行く。


「彼氏羨ましいなぁ。」


 なんて呟きも聞こえる。

 それはしずかにも聞こえてるはずだ。


 見ると泣きそうな顔で、

「か、帰るううぅ・・・」

 と言い出した。 


「だ、大丈夫だから、ね?」

 と何とか宥めてそそくさとその場を去った。








 ********************




 店内は多数の客でざわめいている。

 岡田ら同期が既にテーブルで飲み始めている店に、亮と顔を赤らめたしずかがそれに気付かずやってきた。


 片付いていないテーブルがあるので、片付けが終わるのを入口で待っている。

 その姿に岡田の同期が気付いた。


「あれ、営業部の片山課長じゃん。」

「あ、ほんとだ。また違う女連れかよ!」

「やっぱ顔が良いと彼女すぐ出来るもんかね。」

「でも頻繁過ぎないか?」

「あといつも連れてるタイプと違うな。」

「俺今連れてる方がタイプだわ。」

「「お前の好み何か知らねーよ。」」

 それぞれが口々に好き勝手を言う。




 亮の『彼女とっかえひっかえ』の噂の元は彼らだったりする。


 実際、亮も彼女が代わる度に彼らに目撃されているので、噂ではなく、事実ではあったのだが。




 ちょうどテーブルの準備が出来た様で二人ともコートを脱いで席へ向かう。

 その瞬間、しずかのある部位に注目が集まった。



「おっぱいでかくね?!!」

「まじか!!いーなぁ課長。」

「あの巨乳で色々やってるんだろうなぁ。」

 各々感想を言っていると岡田が店内のトイレから戻ってきた。


「どした?ザワザワして。」

「あっち。」

 そう言って同期の一人が亮達の方へ指を指す。


「お前んとこの課長、また女連れなんだけどいつもとタイプ違うんだわ。」

「お前何か知ってる?」

「いつものツンケンしたモデル風より断然今の人の方が可愛くて俺は好き。」

「「だから、お前が好みでも意味無いだろ!!」」



 驚いた。

 そのいつもと違うタイプ、と言われた女性は岡田の想い人だったからだ。




 彼はしずかの事を吹っ切ってはいなかった。


 しずかと出会ったスポーツバーへ足繫く通っていたが会えなかった。

 ラグビーのシーズンは終わり、フラレてもいるので、偶然を装うしかなかったが、しずかもめっきりバーへ行く頻度が減っていたので会えなかった。




「俺・・・ちょっと行ってくる。」

「は?!岡田!邪魔すんなって!」

 制止されたが、岡田にはもう聞こえていなかった。




 ドリンクを頼んだ店員と入れ替わる様にして男性がいきなり亮の隣に座った。


「は?!誰・・・あれ岡田じゃないか、同じ店だったんだな。」

「はい、あっちでみんなと飲んでます。」

 そう言って指さす方向に3人の男性がいた。皆こちらに注目している。

 しずかは驚いたが、すぐに得意の営業スマイルで軽く会釈した。


 何か騒いでいる様だが、挨拶したので彼女はもう気にしない。それよりも先程の出来事の方が衝撃が大きい。



「お前邪魔だから席戻れよ。」

「嫌っす!しずかさん!」

「元気君久しぶり。なあに?」

「か、かわ・・いや、しずかさんの前言ってた彼氏って・・・」

「うん、元気君の隣の人だよ。」

「片山課長はダメっす!」

「は?」

 亮があからさまに嫌な顔をした。


「片山課長は女性とっかえひっかえする人です!しずかさんは俺が幸せにするから・・・!」

「おい、岡田良い加減にしろよ・・・」

 睨む亮に岡田がびびる。


「元気君!」

 トントン!とテーブルを軽く叩きしずかは自分の方へ向かせた。


「はい!」

「真偽はともかく、とっかえひっかえを私が聞いたら悲しむと思わない?」

「あ・・・」

「今の時点で私を幸せにしてないよ?」

「あっ・・・」

 岡田の勢いがみるみる落ちる。



「私はねぇ、彼が良いの。で、今デート中だから邪魔されたくないなー?」

「はい・・・ごめんなさい。」


 そう言ってフラフラ立ち上がりもとの席へ戻ろうとしていた岡田にしずかが口に手を当て声を掛ける。

「職場では普通にするんだよー。」



 岡田がいなくなり亮に、

「自分の事は自分でカタを付けないとね。」

 とウインクをする。


「しずか、あ、あのとっかえひっかえて言うのは・・・」

「あ~亮さんの前の彼女遍歴がどうかは知らないけど、今のところとっかえられる感じはないなーと思ってるけど?合ってる?」

「とっかえないよ!」

 とても焦った表情だ。


 部下に睨みを利かせていた表情と一変するので、しずかはすごくおかしくなってしまった。

 その彼の言動で先程の出来事も上書きされ、気持ちが軽くなったしずかは上機嫌になった。


「ふふっ、ありがと♡」






 岡田と亮達の席を見守っていた、岡田同期達。


「あ、こっち見た。」

「笑顔かわい!」

「今までのモデル風より全然こっちの方が良いじゃん。」

「おいおい、テーブルにおっぱい乗ってるぞ。」

「まじだ!良いなぁ。俺もおっぱいでかい彼女欲しいわ~」

「やっぱり俺ああいう人タイプだわ。」

「「お前の好みなんかどーでもいいって!」」




 近くにいた女性客数名が、こいつらモテないだろうな、と思った。






後半3人称チャレンジしたけど、違和感なく読めたでしょうか?(;´∀`)


次話は明後日公開です。少しお待ち下さい(__)ペコリ

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