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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
32/88

第32話 滅びろ

「「最初はグー!じゃんけん、ポン!」」


「やった!勝った!」

「くそぉ・・・」


 今日は新丸ビルまで足を運んでデートしていた。ランチを済ませ、服や雑貨等も見終わり、

「喉が渇いた」としずかが言うので地下1階のスタバに来ていた。



 冒頭のじゃんけんは俺達の中では恒例の『どっちが払うか』じゃんけんだ。


 しずかと付き合う事になった時、俺が食事代全て払っているのが不服で「カフェ代位払う」、と言っていたのを、『じゃんけんで勝った人がカフェ代を払う』とどうにか捻じ曲げた。

 ランチ・ディナーは変わらず俺が支払う事で了承してもらっている。


 全て俺が勝てば良いし、と思っていたのに、しずかが中々の猛者で負けっぱなしだ。




 スタバの店員さんはにこやかに笑っていたが、注文を終えて支払い時しずかが払ったので一転、驚いた顔をしていた。


(くそ~カッコ(わり)い・・・)



 次は絶対勝ってやる、と思いつつ嬉しそうなしずかを眺めていた。

 しずかがこちらを見てニコっとしたので、つられて微笑んだ。


「嬉しそうですな。」

「うん、連勝嬉しい。」

「くそ~」

「ふふっ!ねぇ、この後どうしようか?」

16()時前か~夕飯は(うち)で良いんだよね?」


 外でデートはしたいが、ランチもディナーも外食、と言うのは逆に気が引けるらしい。

 まぁ、俺に必要以上に支払わせたくないのだろう。全然構わないのに。


「うん、今日は一緒に夕飯作ってみない?」

「お!良いね。何作ろうか?」

「う~ん、全然思いつかないからスーパーでお買い物して決めよ?」

「そうだな、じゃぁ少し早いけど家戻るか。」

「うん!」

 カウンターで待っていたら、ちょうどドリンクが出て来た。

 それを受け取り、店を後にする。




「そう言えばさ、ジャケットの報酬のスタバのフラペチーノ、まだ支払ってないんだけど。」

「ああ!そうだね!正直いっつも奢ってもらってるので、不要な気もしますが。」

 俺としずかが付き合う事のきっかけとなった、ジャケット作成依頼。


 それの報酬が、材料費+スタバのフラペチーノ(トッピングも+で)だった。

 ジャケット納品時にゴタゴタがあり、その流れで付き合う事になった後は、俺の我儘で外であまりデートしていなかったのでスタバ自体あまり行ってなかった。

 因みに材料費は一緒に素材を買いに行った時に支払い済だ。


「ちゃんと払うよ。そこはけじめとして。」

「そお?真面目だねぇ。じゃぁもう少し暖かくなったら報酬もらおうかな?」


 ふふっとしずかが笑い、俺の左手に手を伸ばす。

 手を繋ぎながら駐車場へ向かった。








 ********************


「そういえば亮さんの趣味ってなに?」

 リビングのソファで俺にもたれかかり頭を預け唐突に聞いてきた。



 先程二人でシチューを作ったら、二人で作業するものだからとても早く出来上がった。

 まだお腹空いてない、としずかが言い、俺も同じだったので夕飯の間までソファでまったりする事にした。

 シチューは時間置いたら美味しさは増すんだろうか?



「速い車。」

 そう言えば趣味すらも聞かれた事なかったな、と思った。


「へ~!似合う。」

「そう?」

「うん!・・・あ、あのね、ドライブ、と言うか私の家に送ってくれる時の、運転してる姿恰好良いよ・・・」

 伏し目がちで照れて伝えてきた。


「誘ってる?」

「え!これ誘ってる事になるの?」

「無自覚かよ~・・・ほんと、うちのしずかちゃん困る。」

「も~!!他には?」

 顔を真っ赤にしたまま話を元に戻された。しまった、今キス出来るタイミングだったのに!


「あとは、しずかかな。」

「・・・・・・私を趣味にしないで。」

「それは難しい相談だ。」

「なにを・・・ふざけた、」

 事を、と言いたかったんだろうが言い止めた。

 堂々巡りになる予感がしたんだろう。


 そのまま言われていたら「ふざけてない」と確実に言ったので、止めて正解だ。



「私、無趣味だと思ってたよ。」

「無趣味ではないよ。あまり人に言ってないだけで。」

 自ら趣味の話しする場面てそんな無いよな。ああ、逆ナンしてきた女の子達は良く聞いてきてたか。


「亮さんの車は速いの?」

「いや、安全性重視。都内でスピード出す必要ないだろ。」

「そうだねぇ。」


「速い車のどういう所が好きなの?」

「全体の見た目とか、エンジンの構造とか・・・・あと、」

 ふっと視線をしずかに落としたらワクワクした顔でこっちを見ていた。

 マニアックな話をし出して、表情が曇るのを見たくないな、と思って、

「まぁ、速く走る所が好きなんだよ。」

 と話しを締めた。



「ふーん。あ!じゃぁあれ好き?ワイルドスピード。」

「テッパンだね。」

「だよねぇ、車の種類とかはわからないけどワイルドスピードは私も好きだよ!」

「ブライアンは残念だけど・・・そういえば夏に新しいの公開するな、観に行くか。というか映画デート自体してなかったね。近々何か観に行こうか?」


 映画デートなんてデートの王道なのに、しずかを家に閉じ込めておきたくて食事以外ほとんど外でデートしていない事を少し反省した。



(ん?)

 ふと見たしずかの表情が一瞬曇ったのを俺は見逃さなかった。

 どこでその顔になった?


「しずか、どうした?」

「え、何でもないよ。」

「さっきまですごい笑顔だったのに一瞬表情曇ったのを俺は見逃していない。」

「刑事さんですか?」

 しずかに関してだけは勘が働くとでも言うのだろうか。


「うーん・・・映画は好きだし、映画デートもしたいんだけど。」

「けど?」


「・・・・以前映画館で痴漢にあいまして。」

「はっ?!!」

 映画館で痴漢ってそんな事あり得るのか?!


「それまでは一人で良く観に行ってたんだけど、以来何となく映画館から足が遠のいてたんだよね~。亮さん一緒なら、うん、大丈夫かな?」

「いつ?」

「え?」

「いつ頃されたの?」

「去年の夏ごろ。」

「最近じゃねーか!」

 今は2月だからほんの半年程度前だ。


「もーほんと勘弁してほしい。」

「あのさ、聞きづらいんだけど、どう・・・」

「ああ、私痴漢ね、亮さん私ね。」

 と言って俺をソファに座らせたまましずかが立ち上がり指で俺と自分を指した。再現するのだろう。


「亮さんはさ、私と映画観るとして、自分達が座る席の両隣の、片方に既に女性が座っていて、もう片方が空席だったらどっちに私を座らせる?」

「女性側。」


 即答だ。空席に男が来る可能性がある。そっちにしずかを座らせるわけがない。


「普通そうなると思うのよ。でも気にしない人達もいるから、男女で来てるのに隣に男性が座っても最初は気にしなかったの、そしたら!!」

 そう言いしずかが俺の左隣へ座り俺の太ももに自分の太ももを添えて来た。


「座ってすぐくらいにこうなって!」

 しずかにそんな事するやつがいたら正直ぶん殴りたいが、これくらいで痴漢と言えるのか微妙で黙っていた。



「私もこれで痴漢と思っちゃダメかな?とは思いつつ太ももを避けたのよ。男性はさらに足広げてくるもんだから油断すると着いちゃうと思ってもう太ももピクピクで!筋トレじゃないんだから!」

「うん。」

 なるほど、追従してきたら痴漢っぽいな。


「耐えに耐えて、映画の終盤でね、こう・・・」

 そう言って自分の外ももから膝にかけて手を滑らせるのだが、その手の甲はしっかり俺のももから膝にもかかっていた。


「っ!!」

「ね?ゾワっとするでしょ?」

 無言でブンブン頷く。今、俺の相手はしずかだから良い意味でゾクっとするが、これが見知らぬ相手にやられたらたまらないだろう。

 ましてしずかは女性で、やってきたやつは男だ。



「これ痴漢でしょ?」

「痴漢だわ・・・映画館の人に言った?」

「言わないよ!犯人劇場からいなくなってるのに何でそんな恥ずかしい事報告しなきゃいけないのよ。」

「そっか・・・」

「劇場内の階段降りる時、後ろから『転べ!!』て呪いはかけておいた。転ばなかったけど。」

 そう明るく笑うが、当時はきっと心細かったに違いない。


 俺がその場にいたら、と思うが、恐らく出会う前の話しなので、何もしてあげられなかった事が、ただただ悔しい。



「もうその時何の映画だったがさっぱり覚えてないんだよね。」

「うーん・・・しずか一人で映画館行くの禁止ね。」

「うん。私、本来映画すごい好きでいっぱい観たい人なのよ。だから映画デートいっぱいしよ?」

 と、ぎゅうと抱き着いてきた。



『外デートしたい』で揉めた時、何で映画観に行くという選択肢がすぐ出てこないのか不思議に思っていた。

(そういう事か・・・)



 しずかを抱きしめ返し、男性不振とかになってなくて良かったと、その時無事で良かったと心底安堵した。






ワイルドスピード スーパーコンボは、あれ何の映画観に来たんだっけ(・∀・)??

てくらいワイルドスピードではなかった。面白かったけども( *´艸`)


次話は明後日公開です。少しお待ち下さい(__)ペコ

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