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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
30/88

第30話 再びの危機

「はぁ・・・」

 お互いの誤解を解いてめちゃめちゃラブラブしてた所に、会えない日が続いて、せっかく会えたのに、また喧嘩してしまった・・・


 謝るもんか!と思ってこちらから連絡をしていないが、しずかもまた同じ気持ちなんだろう、彼女からもまた何も連絡がなかった。


 今日は約束した金曜日だが、どこで会う、等の話しを全くしていない。


(しずかなら、来ないって選択をしそうだなぁ・・・)

 いや、それは彼女に失礼だ。来ないなら来ないでちゃんと連絡をくれる筈だ。

 連絡無しのドタキャンだけは絶対にしない。そう信じている。



 年末しずかから折れてくれた事もあり、今度は俺が折れよう!と思った所でちょうどしずかからの着信があった。


 今は昼休みを少し過ぎた所だ。問題ないので出よう、とスマホを持った所で、

「片山君、休憩中に悪いんだけど。」

 と部長に呼ばれてしまった。


「・・・は、はい。」

 仕方ない、後で折り返そう。






「・・・と言う感じでお願い出来るかな?」

「はい、大丈夫です。畏まりました。」

「うん、今の打ち合わせの分ちゃんと昼休憩に当てて良いからね。」

「ありがとうございます。」

 意外と時間を取られてしまった。

 部長の言葉通り、昼を取らせてもらおうと、財布を取りに一度デスクへ戻った。


(あ~、しずかに連絡しないと。)

 そう言えば、勤務時間中の電話は珍しい。


 何となく、嫌な気配を感じつつもスマホを確認したら、

『電話下さい。直接話したい事あるので。13時までだと助かります。』

 とメッセージに簡素な内容が入ってた。


 しずかが敬語の時は、あまり良い時ではない。


(まさか別れ話しじゃないよな?!)


 嫌な汗を感じ、手元の時計を見たら、もう13(いち)時が目前だった。

 電話を掛けるかわずかに迷っていたら、追加でメッセージが入った。


『亮さん、ごめんね。今日のお泊りキャンセルさせて下さい。出勤したら生理来ちゃって、これではお泊り出来ないから・・・』


『先々週もこの前も喧嘩しちゃったからせめて夕飯だけでも、と思ったんだけど、思いのほか生理痛が酷くて早退させてもらって、今は電車です。』


『文字だけだと変な誤解生みかねないから直接と思ったんだけど、休憩取れない時もあるもんね、ごめんね。家でゆっくりさせてもらうね。』


 メッセージ欄を開けっぱなしにしているので、次々と既読が付いている筈だ。

 不安にさせない様すぐに、


『駅着いたら電話して、絶対出るから』

 とメッセージを送った。





 しずかが駅に着く時間を計算し、その頃トイレの振りして席を立った。

 読みがばっちりで、タイミング良くしずかから電話がかかってきた。


 そのまま非常階段のドアを開ける。


『もしもし?駅着いたよ、ごめんね今日。』

「いや、大丈夫。って言うか仕事終わったらそっち行くから。」

『えっ?私今日生理痛で早退したって伝えたよね?』

「うん、だから看病しに行くから。」

『看病って・・・病気じゃないから平気だよ?』

「俺が行きたいから行く。」

『俺が行きたいからって・・・今の状況で来られても、片付いてないし、おもてなし出来ないから困るんだけど。』

「片付いてなくても気にしないし、おもてなし何ていらないから。」

『私が気にするの!』

「・・・・・」

 しずかが電話の向こうで段々イライラし始めているのが容易にわかる。


『ねぇ・・・生理のせいにしちゃいけないんだけど、いつもと違うの。気が立ってるの。だからまた喧嘩したくないから本当に困る。』

「構わない。」

『だから私は構うって・・・もう!勝手にして!!』

『ブツン!!ツーツーツー・・・』


(切りやがった!!勝手にさせて貰うわ!)

 喧嘩する筈じゃなかったのに、また電話口でも険悪になってしまい、俺は何をしているんだ、と自分自身に呆れるしかなかった。








「お先に失礼します!」

「あれ、課長今日早いんですね。」

「ああ、箱崎お疲れ。」

「お疲れ様でした。」

 と18時の定時ピッタリに退勤し自宅へ戻る。



 急いで着替え、支度も済ませしずかの家に向かう。

 道が混んでいなければ、20(はち)時前には着くだろう。



 車に乗り込んだ所で、一応しずかに『今から行くから。』と連絡を入れた。

 高速乗るまでの間の信号待ちで、何度もスマホを確認したが、既読が着く事はなかった。


(既読着かないな・・・無視か?!勝手にしろって言われたから勝手にしたけど、やっぱりまずかったかな・・・)


 いつかの嫌な汗が出るが、今さら戻るなんて出来ない。今日、絶対にしずかに会っておかなければならない、と心の奥で感じていた。






 ********************


『勝手にして!』と言ってしまった手前、亮さんは絶対に来る。

 何故だか確信出来る。


『絶対来ないで』にすれば良かったと後悔した。いや、何言っても来る可能性が高い。


 来るのは確定、と思い明日にしようと思っていた部屋の片付けを急いで行う。


 午後の今から洗濯をしても、今からでは完全には乾かないだろう。だが、溜まっているので、

(部屋干しになった所で知るか!!)とやけになり、洗濯機を回した。




 いつも以上に念入りに掃除をしたら、案の定無理がたたって生理痛が重くなってしまった。


 薬も飲んだのに、次第に呼吸が荒くなり、

(あーこの感じはヤバい。お布団・・・お布団・・・)

 と滑り込む様に布団へ入った。



 痛みが中々治まらず、暫く布団の中で耐えていたけど、数時間悶えて、18(ろく)時頃だろうか、外が暗くなる頃、やっと眠る事が出来た。








『ピンポーン』

(はっ!!誰?)

 インターホンの音で眠りが遮断される。


 すっかり寝てしまっていた。布団に入った時はまだ午後で明るかったので、電気は着けていない。

 今は何時なのだろう、部屋も外も真っ暗だ。



『ピンポーン』

 再度インターホンが鳴った。

 慌てて起きてインターホンを見る。


(亮さん・・・・・・・本当に来たんだ。)

 インターホン越しの彼の姿に肩が下がった。


 今日は嬉しさよりも、呆れの方が(まさ)る。


 インターホンには応答せず、玄関へ向かい、荒々しくチェーンと鍵の開錠だけして部屋へ戻った。


(入るなり、帰るなり、お好きな方をどうぞ)

 と、可愛くない事を思い、干しっぱなしの洗濯物を取り込んだ。




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