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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
25/88

第25話 お互いの懸念 前編

ブクマありがとうございます(*´▽`*)♡♡

『しずか、土曜日バレーボール見に行くって言ってたけど、やっぱりそれ俺も一緒に行って良い?』


 本社での初出勤を終え、最寄駅に向かう途中の信号で何気なく見たスマホに、彼からのメッセージが入っている事に気付く。


(え?珍し。スポーツ観戦一緒に行きたがらないのに。)

 そして昨日の今日の連絡に、彼の中では私のあの行動は何とも思われていなかったんだと悟る。




 年明けから春の選抜高校バレー、通称春高バレーが行われる。

 実はラグビーより前にバレーボールを好きになり、春高も何度か観に行く程になっていた。ただ、こちらは完全に一人観戦だ。


 年末にその予定を伝えた時、念の為一緒に行くか尋ねたが、つまらなさそうに断られたのを覚えている。

 この人は本当にスポーツ全般に興味ないんだな、と思った。




 土曜日の春高は予選の為チケットは例年完売しない。

 電車に乗り、席に着いて落ち着いた所でチケットサイトを念の為確認したらやはり『販売中』となっていた。


『予選の段階だからまだチケットあるみたい。』

 と返事をした。買っておくね、とは言わない。

 行きたいなら自分で買え、と思った。

 お膳立てしてまで彼に会いたいとは思っていなかったからだ。




 しばらくしたら『チケット買った』という通知が入った。

(あ、ほんとに来るんだ。)

 詳しい場所まではわからないだろうから、さすがに待ち合わせとか伝えないと、と思い画面を開きっぱなしにしていたら、


『試合の後ってうち来てくれる?』

 と追加で連絡が入った。


 ・・・返答に困った。行ったら絶対なし崩しでエッチしちゃう。

 つい昨日もしたばかりだ。ここ数日頻繁出過ぎる。

 ただ、私も吝かではないわけで・・・



 すぐ既読付けたのに中々返事をしなかったからか、私の返事を待たずに、

『無理にとは言わないけど・・・』

 と彼からまたメッセージが入った。


『行くよ』

 と今度はすぐに返事した。




 ・・・いっか、もう別にそれ目的でも。

 一緒にいる間は楽しい事が多いんだし、別に何かひどい事されてるわけじゃないし、したくない時はしたくない、泊まらないって、ちゃんと私も言えば良いよね。


 何か、うん、そういう付き合い方してる人もいるし。うん、大丈夫、大丈夫。



 何が大丈夫?とは自分で問わなかった。






 ********************


「亮さん!」

「あ!いた!すごい人いっぱいいるね。」


 飛田給の駅は春高バレーの観戦予定の人でいっぱいだった。


 いつもは千駄ヶ谷駅すぐの代々木体育館で行われるが、今年は改装中の為東京スタジアムのサブアリーナでの開催だった。

「スポーツは楽しいから夢中になる人多い。」

「え?」

「何でもない。」

 楽しいから観戦が趣味になる。でもそうじゃない人もいるから無理強いはしない。

 亮さんがスポーツ観戦あまり好きじゃないのは何となくもうわかっている。


 今日何で春高見に行きたいって言ったか知らないけど、無趣味の彼の興味が少しでも沸けば良いな、と思った。



(ラグビーでもバレーでも何でも、一緒に行けばそれがデートになって、一緒に感動とか分かち合って思い出になるのにな。ゴハン食べてエッチって、動物みたい)

 地面を見つめながら考えていたので、彼の顔をほとんど見ていない事に気付けなかった。




 ********************


 ・・・・・やっぱり元気ないって言うかあんまりこっち見てくれないな。

 さっきしずか何言ったんだろ。

 こうやって少しずつ聞き逃してたのかな・・・



「あのさ、まだ怒ってる?」

「え?怒ってる様に見える?」

「怒ってるというか元気ない様にも見える。」

「あ~人いっぱいだから人疲れ?」

 元気ない笑顔、と言われればそう見える笑顔を俺に向けた。






 少し歩いた所で会場へ着いた。

 途中の道にも人がたくさんいたが、立体歩道橋を上りさらに人がいる事に驚く。

「バレボールはこっちのサブアリーナで、右の方にある競技場でラグビーワールドカップの日本開幕戦があるんだよ。」

 としずかが指を指し説明してくれた。

「へぇ。」

 随分と大きい会場だ。一緒に行った秩父宮ラグビー場より明らかに大きい。


「一緒に行った場所でも試合あるの?」

「ワールドカップ?ないよ。収容人数の問題なのかな?あそこではワールドカップの試合はないよ。」

 ない理由までサラリと言える辺り、さすがラグビーオタクを自称するだけあるな、と思った。




 春高バレーの会場内に入ったが、予選だと言うのにどこも白熱していて驚いた。

 各高の応援団だろうか、お揃いの衣装や応援グッズを手に取り一生懸命応援している。


 ただ、コートが何面もあってどこを見て良いのかわからない。



 俺達は適当に空いている席を探し、そこへ腰かけた。

 キョロキョロしている俺とは真逆のしずかは、声援とかはせず席の目の前の試合を食い入る様に見ていた。




『ワー!!!』

 どれ程経った頃だろうか、しばらくしたらちょうど見ていた試合が終わった。

 負けたチームが蹲って泣いている。それを見てしずかも目に涙を溜めていた。


「はい。」

 持っていたハンカチを渡す。

「あ、ありがとう。自分の持ってるから。」

 一瞬だけ驚いた顔をして、自分のバッグからハンカチを取り出した。

 ・・・俺の左手のハンカチが行き場を失った。




 俺は試合内容に感情移入出来ない。

 特に高校生等アマチュアだと「知らない人達」と思ってしまう。

 自分自身は中学・高校とバスケをやっていたが、特に強い高校でもなかった為、そこまで真剣にはやっていなかった。

 大学ではテニスサークルに入っていたが、テニスとは名ばかりの飲みサークルだった様に思う。

 なので特にスポーツに思い入れがない。だからそこまで感動出来ないのだと思う。



 スポーツを好きになったらしずかみたいになるんだろうか・・・

 感動しているしずかを横目にそう思った。




 数試合見た所で、

「そろそろ出よう?」

 と言われた。


「まだ試合やってるよ?」

「うん、最後まで観ると帰り駅すごい事になるし、そろそろお腹すいてきてない?」

「あー少しだけ?」

「でしょ?帰ろ。」

 そう言って笑う顔はやはり元気がない。


「手、繋いで良い?」

 会場の外へ出て聞いた。大きな目を丸くしてしずかがびっくりしている。

 そりゃそうだ。手を繋ぐのは変わらず何も言わずにしてたからな。


「良いよ・・・」


 ただ、飛田給駅までの道のりは会話が少なかった。






 恵比寿の駅まで戻り、家の近場で食事をした。

 電車では「疲れてるから眠らせて?」と言われ寝姿を見守った。食事中は春高バレーの話しをしたりするが、目が合わない。


(もしかして・・・すごくやばい状況?俺・・・フラれる?)

 心臓がバクバクしている。しずかの話しもあまり耳に入って来ない。




 食事を終えて、

「ごちそうさま・・・食事代いくらだった?」

 と、しずかは相変わらず律儀に聞いてくる。


「え?良いよ、いらないよ。」

「そう・・・ありがとう。」

「帰ろうか・・・」

「うん・・・」


 あ、一緒に帰ってくれるのか。じゃぁまだフラれはしない?




 ********************


「手、繋ぐよ?」

「うん・・・」

 恵比寿へ戻り食事を終えたので、この後は亮さんの家へ向かう。 


(はぁ・・・結局私も抱かれにのこのこ家に行くんだから、亮さんの事どうこう言えないなぁ・・・)


 負い目とまではいかないけど、人の事をどうこう言える立場でもないな、と思ったら食事中の会話も大して弾まず、目を合わす事も出来なかった。






最初の方でもお伝えしましたかね?

ラグビーワールドカップで日本が盛り上がる前のお話しなので、年開けて2019年になった所です。

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