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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
17/88

第17話 浮気じゃないです

ブクマありがとうございます(*´▽`*)ノシ

 6時間も居座った地元女子飲み会に続いて、翌日はスポーツバーの忘年会だった。

 お店自体は休み扱いで、常連さんだけが集まる飲み会だ。

 僭越ながら、ラグビー好き歴が浅い私も誘って頂いたので即OKした。

 亮さんと付き合う前から言われていた予定だから、当然こっちが優先だ。



「三井のおっちゃん!こんばんは。」

「おー、しずかちゃんこんばんは。」

 開始時間の5分前に着いたらダンディで優しく、気さくな三井のおっちゃんが既にいた。


「しずかちゃん、こんばんは。」

 スキンヘッドだけど柔和な顔した橋本のおっちゃんが三井のおっちゃんの影からぴょこん!と顔を出し、声を掛けてくれる。


「こんばんは!皆さん、早くないです?」

「忘年会が楽しみって事なんだろ?」

 わはははは、と二人が見合わせて笑う。

 私もつられて笑ってしまった。




「今年も1年お疲れ様でした!かんぱーい!!」

 マスターの簡単な挨拶で忘年会がスタートした。


 今年のリーグはまだ終わっていないので、話しのネタはやはり、優勝チームの予想が多い。

 私の推しチームの北芝も3位まで浮上したが、優勝は厳しいだろう。

 選手には絶っっ対、言えないけど。



 今日はお酒の持ち込みが許されていて、私もワインを持ち込んだ。

 自分の持ち込み以外の飲み物も結構なペースで飲んでいたら、かなりほろ酔いになってしまった。

 少し頭を冷やす為、トイレへ向かう。

 店内に1つしかない男女共有トイレで待っている間、亮さんからメールが入っている事に気付いた。


『しずかの真似して大掃除した。』

 いつも部屋きれいだから、普段からまめに掃除していてきっと大掃除も必要ないだろうに、わざわざ報告してくるなんて可愛いな、と思い、

『良く頑張りました ハナマル(の絵文字)をあげます。』

 と送った。


 即レスで、

『やったー。ありがとう♡』

 と返ってきてニヤけてたら、トイレから出てきた他の常連さんに見られて笑われた。




 少しだけ頭も冷えて、亮さんのメールでほっこりしてトイレから出たら、何やら店内が騒がしい。

 どうしたんだろうと仕切りから顔を出してすぐわかった。


(げっ!!藤本さん!)

 ライコーと言うチームの現役選手だった。

 北芝の鳥羽選手も一緒らしい。


 この二人は大学が同じで、同級生だ。

 ラグビー国内リーグの上位、トップリーグのチームにそれぞれ所属しているが、プライベートでも仲が良い、と聞いている。


 なので、二人一緒なのは、わかる。

 でも、今日は定休日なのに、何で(ここ)にいるのだろう。



 席に戻ったら観戦仲間の(みどり)ちゃんが疑問に答えてくれた。

「お店休みって知らなくて飲み納めのつもりで来たんだって。マスターも快くじゃぁ忘年会に参加したら?ってなったの。」

 こそこそ話しで教えてくれているのだが、理由がある。


 藤本選手に以前ナンパされたからだ。

 断っているので、大丈夫だと思うがあまり気分が良いとは言えない。


 とりあえず、今は遠くの席で飲んでいるから知らんぷりしておこう。

 現役選手とね、一緒に飲みたい常連さん多いだろうし、次々みんなが声掛けてるから私の所には来れない、と希望的観測をした。





「皆さん飲んでますか~~~!!!」

「「「「いえ~い!!」」」」

 希望はあくまでも希望であって・・・


 私の隣の通路側に座っていた人が席を立った所に、ちょうど藤本選手が来てしまった。

 選手に飲んでるか?と聞かれてみんなも煽られる。

 楽し気に今シーズンのハイライトを話し始めた。


 仕方ない。普通の対応をしておこう。

 ・・・・・と思ったら。


 彼の硬くて太い太ももが、ばっちり私の太ももに当たっている。当たっていると言うよりピタッと添えられている。

 いや、仕方ないか、彼のポジションはロックと言う、チーム内で一番背の高いポジションだ。

 実際彼も195cmある大男で、亮さんも背高いけど180cmの比じゃない。

 ラインアウトと言うスローイングでは持ち上げられる役割の為、上半身どころか下半身もがっちりしている。

 狭い座席だと隣同士で密着する事もあるだろう。


 ただ、亮さんの手前くっつけたままではダメだろう。

 そう思って自分の太ももを少し内側に移動した。


 が、藤本選手は足を拡げ私の太ももに追従する。


(おっとぉ・・・わざとでしたか。)

 藤本選手の顔をチラっと見たらとっても良い笑顔で、

「しずかさん久しぶり。試合来てくれてた?全然見かけなかったけど。」

 と拗ねる様にも言われた。

 拗ねた顔は多少かわいいが、体は超大型犬サイズだ。さながらグレートデーンの様な・・・

 いや、それだと細すぎるか?じゃぁ土佐犬?


「行きましたよ。チームテントにも行ってたけど藤本さん、スタメンだからお会い出来なかったですね。」

 座っても見上げる程の体格差の藤本選手に何ともない対応をする。


「前は良く出待ちしてくれてたのに~」

 試合を終えた選手達は一般客と同じ門から出る事もあり、私も出待ちをする事が多々あった。

 けど、亮さんと付き合う様になってから出待ちは減った。何故なら彼の家に行かなきゃいけなくなったからだ。



 因みに今も太ももはピタッとくっついたままだ。


「出待ちはしたりしなかったりしてるから、偶々お会いしてないんだと思いますよ。」

 くぅ、これ以上は私も太もも内側に寄せられない。


「そうか~」

 超大型犬が拗ねて見せる表情とか、きっと常連の年上のお姉さま方には可愛くて仕方ないんだろう。


 案の定、

「拗ねてて可愛い~」

 なんて言われてる。


「しずかちゃんがお気に入りだからって、奥さん以外にそんな顔しちゃ焼きもち妬いちゃうよ。」

 とも言われてる。

 ありがとう!お姉さま!もっと言ってやって!

 そう!この人既婚者なんです!て言うか、私が藤本選手のお気に入りって公然なの?!


「いやぁ、ファンの人も大事ですよ。」

 何て言ってとびきりの笑顔でお姉さま方を黙らせた。

 ついでに、食べ物を取るのにかこつけて、今度は体を密着させてきた。


 ・・・・・一次会で絶対帰ろう。

 これは捕まる予感しかない。

 以前断ったのになぁ。






「お手洗い行ってくるので、藤本さん、ちょっとごめんなさい。」

 彼が動かないと通路には出られないので席をどいて貰う。


 さりげなく私の腰に手を回してエスコート風にしてるけど、不要です。




 別にトイレに行きたかった訳ではないけど、ついでに用を足して店内へ戻る。

 が、大きな影に阻まれた。


 こ、これは・・・片手壁ドン!!

 腕を真っすぐに壁ドンしてくれてたら、身長的にその下から逃げられそうなのに、肘から手までを壁に添えられていてくぐれない。完全に前を塞がれた。


「しずかさん。」

 ニコっと笑っているが不穏感しかない。


「はい?」

「この後、二人で飲み直しません・・・?」

 195cmの大きな体を屈ませ、私の耳元で囁く。

 ・・・あれ?亮さんに耳元で囁かれると体がぴくんって跳ねちゃうけど、彼にされても何ともないな。

 耳弱いんだと思ってたけど、違うのか。


 何てどうでも良い事を思ってる場合じゃなかった。


「ごめんなさい、私彼氏いるので行けないです。」

「俺も奥さんいるよ?」


 ・・・・・しまった、「用事あるので」の方が有効だったか。

 まさか、堂々と浮気・不倫宣言されるとは思わなかった。

 さっきまであんなに体密着させてた人が、言葉通り飲みだけで終わる筈がないしな。


「この後、彼に会うんです。」

 もちろん、嘘だけど。

「え~、そっかぁ。じゃぁまた今度。」

 と耳上部にキスをしてトイレに入った。


 おいおい・・・諦めてくれよ・・・

 どんだけ自分に自信あるのよ・・・



「翠ちゃん・・・私一次会で帰るね。」

「え~・・・ってもしかして藤本さんに何かされた?」

「される前に帰る。」

「わかった。トイレに藤本さん向かったから心配したけど、何もなくて良かった。」

 ・・・何もなかったとは言えないなぁ。

 ついでに、亮さんにも何も言えない。


 これは浮気じゃないよね?




フィクションですよ(*´▽`*)ウフフ


※次話は明後日公開です~

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