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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
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第15話 女子4人も集まれば、かしましい 前編

 昨日の仕事納めの食事の後、嘘を付いて一人で帰ろうと思っていた。

 すぐ帰りたかったけど、絶対『送る』って言うと思ったから食事は取る事にした。


 案の定家まで送ると言うので一旦断ろうと、口を付いて出てしまう。

「断るって言っても送るって言うんでしょ?」

 可愛くない。さすがに可愛くないので、途中で言うのを止めた。


 何かショック受けた顔してたけど、心の声が伝わってしまっただろうか。

 でも、どーでもいい、とやけになっていたのであまり気にしていない。


 いつもだったら起きている車中の帰り道も「頭が痛い」を理由に狸寝入りをしてやり過ごした。

 それくらい彼と話したくなかった。


 自宅前まで来た時、

「俺、とま・・・いや!何でもない!お大事にね!」

 と言って去って行った。


「泊まる。」て言おうとしたんだろう。

 言われたら「具合悪いから遠慮して?」の言葉を用意していたが、使わなくて済んだ。






 今日は地元の女子友達との忘年会がある。


 朝から張り切って大掃除をしたら考え事をしながらも、集合の1時間前には大掃除が終わった。

 とは言え、実は11月の末から少しずつ大掃除していたので、そんなにやる事も多くなかった。


 冬なのに汗だくになってしまった為一度シャワーを浴びる事にした。

 お風呂場って色々考え事をしてしまう空間だから、出来るだけ早く上がりたい。

 昨日の夜も考えない様にさっと、女子としてあり得ない速さで出た。


 今も着る服をどうしようか、と考えていたら本当にあっという間に汗を流せた。

 むしろ、服決まらなかった。



 これから行く場所は友達がやっているお店で、喫煙OKな上、ラフな居酒屋だから綺麗な恰好をする必要はない。

 白く大きなクローゼットの両扉を開けたら肩部分だけチュールレースのニットが目に飛び込んできた。


 先日亮さんに咎められたニットだ。


「・・・・・」

 今日、彼はこの場にいない。

『俺の前でだけ着てほしい』

 と言う言葉を無視してニットを手に取った。




 ********************


「「かんぱーい」」


 集合17()時に、まず二人が先に着いた。私とゆりだ。


 ゆりは、輪ゴム手足に挟まってるでしょう体型男児のママだ。

 産休をきっかけに辞めてしまったが、元々同じ職場で、当時まだ結婚してなかった彼と一緒に私の家、と言うか近くの海に遊びに来たら、いたく湘南が気に入ったらしく、結婚してすぐ前触れなく引っ越してきた。

 子供が生まれる前は毎週の様に遊ぶ程の仲だった。今も毎週とはいかないが一番会う頻度の高い友達だ。


 5分遅れで現れたのは真子ちゃん。私とゆりは同い年だけど、真子ちゃんは少しだけお姉さんだ。いくつ上なのかは忘れた。

 兄の友人と結婚した事により知り合い、仲良くなった。サバサバ・ちゃきちゃきしたお姉さんだ。

「真子ちゃん久しぶりに見たら髪、茶髪っていうか金!」

「そうなのよ~、思いのほか明るくなりすぎちゃって、あはははは!」

 笑い方が豪快で大好きだ。


 さらに5分遅れで到着したのは美咲ちゃん。集合5分前に電話がかかってきてどうしたのかと思ったら『道に迷った』との電話だった。何回か来た事のあるお店なのにどういう事?!とゆりと二人で爆笑しながら説明した。

 美咲ちゃんは1コ上の高校時代のバイトの先輩だ。偶然にも真子ちゃんの後輩だったらしく、兄の家で行われたバーベキューに真子ちゃんが連れて来て再会した。バイト時代はわからなかったが、そこで天然がわかって仲良くなった。

「やっと着いたぁ~・・・」

「「何で迷えるのか不思議だわ!!」」

 私とゆりが笑いながら出迎えた。ゆりも兄のバーベキューには参加した事があるので、皆が知り合いになったのにはそういう経緯があった。




「大掃除終わった?」

 4人で改めて乾杯をした後真子ちゃんが皆に問う。

「私終わった~」

「うちも~」

 ゆりも大掃除は終わったらしい。


「うちは明日朝ダッシュで残り終わらせるぅ~」

 美咲ちゃんは後少し残っているみたいだ。のんびりさんな口調なのにダッシュで終わるんだろうか。


「真子ちゃんとこは終わってないの?」

 レモンサワーのジョッキを両手で支え真子ちゃんへ顔を向ける。

「一応終わったんだけど、旦那が超邪魔で!!!」


 あ、スイッチ入った。


 4人中独身なのは私だけ。3人とも既婚者で子持ち。子供の年齢はバラバラだけど。

 特に真子ちゃんはしょっちゅう旦那さんの愚痴をこぼしている。

 真子ちゃんのスイッチを皮切りに美咲ちゃんのスイッチも入り、旦那の愚痴大会が始まった。

 ゆりも愚痴はあったけど、結婚して3年くらいなのでそこまででは無さそうだった。


 旦那の愚痴から子供の話しになると私はあまり挟む口がない。

 結婚していないので仕方ないし、私もあまり気にしていない。


 3人は「こういう男はやめた方が良い」と自分の経験を元にいつもアドバイスしてくれる。




 一通り、愚痴で発散したらしい辺りで、

「しずしずさぁ、痩せたよね?」

 と急に真子ちゃんが言ってきた。


「あ、私も思ったぁ!」

 と美咲ちゃん。ゆりはこの二人よりも頻繁に私と会うのであまり気付かなかった様だ。


「あ、うん、少し痩せたよ。」

 元々筋トレしていた所に、ハードな夜の営みが加えられた。時々朝も。あ、午後もか・・・

 そんな訳であれも運動に含まれているのか脂肪燃焼に一役買ってくれているらしい。


「やっぱり~!後さ、綺麗になったよね!」

「ええ?」

 痩せた自覚はあったけど、それ言われるとちょっと照れちゃう。


「元々かあ(・・)いいけどさ、何か艶が出てきたと言うか・・・」

 ・・・聞いた事のあるセリフだわ。


 戸惑っていると、

「さては彼氏出来たな~?」

 と核心に迫られた。真子ちゃんはすっごく楽しそうだ。

「はい・・・」

「「そうなの?!」」


「て言うか、もしかしてその彼氏ってジャケットの人?」

 ゆりには亮さんの事を話した事がある。無理やり聞きだされたとも言うけど。


「「ジャケットの人って何?」」

 事の始まりを知らない二人が興味津々で私達を見比べた。




 出会いから付き合う流れをかいつまんで話した。及川さんの事は彼の名誉の為浮気したとは説明してない。


「いや~~!胸キュン!!もううちらそういうの無いもんねぇ?」

 と真子ちゃんが二人に同意を求め、二人もうんうん頷いている。


 駅で及川さんと亮さん二人が偶然居合わせた所に待ち合わせた私が到着して、二人並んだ姿がお似合い過ぎるのに焦って、気持ちに気付いた・・・と言う事にした。大枠間違っていないと思う。



「彼は割と早くからしずかに気がある感じだったよね?聞いた感じだと。」

 ジャケットの素材買い出しまではゆりも知っている。あの時は確かに「私の事好きなのかな?」と思っていた。


「何か・・・そうらしい・・・」

 思い出したら顔が熱くなってきた。


「そっか、そっかぁ、付き合って1か月か~、ラブラブなんだね。」

 とからかい気味で真子ちゃんが続ける。この手の話しは真子ちゃんがいつもノリノリになる。


 ラブラブ・・・・

 昨日の事を思い出して少し表情が曇ってしまった。


「あれ?早速喧嘩したのぉ?」

 わずかな表情に気付き美咲ちゃんが心配してくれた。


「喧嘩・・・小さい喧嘩はちょいちょいしてるんだけど、喧嘩と言うか・・・ちょっと悩みが・・・」

「私達で良ければ聞くよ?」

 ゆりも心配してくれた。


「悩みが・・・あの、その・・・・・」

「「「うん?」」」


「えええっと~・・・」

 しまった、悩みって性の話しじゃないか。改めると何か恥ずかしいぞ。


「まさか、もうセックスレスとかじゃないよね?」

 爆弾をぶち込んだのはやっぱり真子ちゃんだった。


「真子様・・・違います・・・逆です。」

 事実とは逆だけど、悩みを言い当てられて恥ずかしくなり両手で顔を覆い項垂れた。


「「「ぎゃく・・・・?」」」

 ごくり、と唾をのみ込む様な音が聞こえた。気がする。



「え・・・!もしかしてしずしずの彼氏って、ぜつり、」

「真子さま~!!声、声大きいから。」

 慌てて最後の言葉を制止した。


「それのどこが悩みなの?」

 あっけらかんと真子ちゃんは続ける。


「え、いやだって、エッチ多いのって何か目的がそれだけみたいで、」

「多いって具体的に・・・」

「真子ちゃんセクハラおやじみたいになってるよぉ~」

 美咲ちゃんが笑いながら制止してくれた。


「付き合いたてってさ~、いっぱいくっつきたいものだよ?段々少なくなっていくから大丈夫だって。」

 真子ちゃんは大雑把に答えるが美咲ちゃんは心配モードを保ってくれている。

「行為が嫌とかならちゃんと断った方が良いよ?」

「あ、嫌ではなくて、なので私もどうしたら良いのかと・・・」

「何だよ、惚気かよ~」

 真子ちゃんは多分もう真剣に聞く気がない。


 恥ずかしいが、ここまで来たら一番懸念している事を聞いておきたい。


「私、今セフレなのか本命なのかで悩んでるんだけど。」

 と言ったら全員表情が変わって話しをちゃんと聞いてくれた。





1話で収まる予定だったんですけど、女子達が本当にかしましいので前後編に分けました(*´Д`)

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