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二人で幸せになるために  作者: 新浜ナナ
第一章
13/88

第13話 メリークリスマス

「えっ?!!」

「明日半休取ってある。だから泊めて?」

 聞き返されて同じセリフをもう一度言った。

 風呂上りのしずかがソファの横で立ったまま固まっている。そりゃそうだろう、しずかの家に俺が泊まる事は想定外だったろうし。


「えっ・・・」

「いやいや、聞こえてるでしょうよ、しずかさん。」

「びっくりしてるの・・・」

「うん、黙っててごめん。どうしても25日も一緒にいたくて。」

「亮さんてやっぱり・・・」

「「女子みたい。」か?」

 続く言葉がわかっていたのでハモって言った。


「まだ離れたくないんだよ・・・」

 しずかの濃い目のベージュニットの部屋着の袖を掴んでソファへと引き寄せる。


 そのまま俺の膝に乗せて抱き締めるが困惑顔は変わらない。

「おかしいと思ったんだ。お風呂から上がってきたら腰にタオル1枚で。私が上がったら買った部屋着、着てるし。」

「計画してました。」

「言わなかったのは私が怒ると思ったから?」

「そう。」

 はぁ、と溜息を付かれてしまったのは、怒るより呆れてる、って所だろうか。


「どちらかと言うと、泊まる事よりさっきのエッチに怒ってる。」

「ええ?!」

「そんなはずは!みたいに言わないでよ・・・いよいよ心配になってきたんだけどさ・・・あの、せ、せ、」

「うん?」

「せ、せ、セックス依存症とかじゃないよね?」

 セックスって言えなくて詰まってたのか!


「違うよ。しずかが好き過ぎるだけ。もし依存症なら誰彼構わずとかになってるんじゃない?」

「いや、症状は良く知らないけどさ・・・」

 言ってて恥ずかしくなってきたのだろう、しずかの顔が段々と赤くなって来た。


 まだ濡れている髪を一束取り手の中で滑らせる。つるんっとすぐに手からなくなってしまった。


「俺がまだいるの、嫌?」

「・・・・・」

 真っ赤な困った顔で俺を見つめてくる。

「ん?」

 しずかの頬へ片手を添え、俺もしずかの目をしっかり見つめ返した。


「嫌じゃないよ・・・」

「良かった。」

 風呂上りで濃いピンク色になっている唇に軽く触れた。

 軽く、なのは帰ってきた時の様な激しいキスをしたらいよいよ怒られる、と思って自重した故だ。



「亮さん。」

「うん?」

「怒ってばかりな気がするけど、私も亮さん大好きだからね・・・」

「!!!」

 キスの後のせつなげな目で言うのとか反則だろ!


「しずかっ、」

「でも、今日はもうしないからね。」

 俺の行動パターンがわかってきたのか、先に制止された。




 ********************


「「メリークリスマス」」

 深夜0時におでこを合わせながら二人で言葉を交わしその後軽いキスをした。

 日付変わってすぐとか、どこのドラマだ!とか思う。

 お布団の上で、亮さんの胡坐の間に横向きに座って抱きしめてもらっている。私も彼の腰に手を回して、でも全部は回らなくて、買ったばかりの部屋着をぎゅっと掴んでいる。


 すごく幸せな気分。

 絶えずセクハラをされている様な気はするけど、それよりも幸せな、充足感の方が勝る。


 そう言えば付き合ってもうすぐ1か月だよなぁ・・・って、あれ?・・・あ!


「亮さん!」

「ん?」

 私のおでこやこめかみ等あちこちにキスをしていた彼がキスを止め、私を優しく見下ろす。


「今日でちょうど付き合って1ヶ月だよ!」

「・・・知ってる。」

「あ、あれ?」

 気まずい!どうやら亮さんはちゃんと覚えていた様だ。


「亮さんの方が女子力高いね。」

「絶対忘れてると思ったんだよね・・・」

 だから今日泊まりたかったのか~


「えへへ。」

 とごまかし彼の厚めの胸板に頭をぐりぐりした。


「あ~、ちょっとそれ以上密着されると我慢効かなくなるし、明日仕事だし、寝よ?」

「うん。忘れててごめんね?」

「っ!・・・寝るよ!」

 身長的にどうしても私が亮さんを見ると上目遣いになってしまうので、今の私の表情で何故かさらに興奮してしまった様だ。

 何でわかったかは、その、腰に当たる、その・・・察して!(恥ずい!)



 床で寝る派の私の狭いシングルのお布団で、一緒に寝ると言って聞かない彼は、私を背中からがっちりホールドしてる。何で正面じゃないのかは、顔を見るとちゃんと眠れなくなるかもしれないから、と言う事だった。要はまたエッチしちゃう可能性があるから、と言う事なんだろう。


 この人、本当にせ、せ、せ、・・・・・依存症じゃないのかな。

 隙あらば発情しちゃう所は彼女ながら心配なんだけど。



「家泊めて?」

 と言われた時は本当に驚いた。


 半休とは言え、4連休になるのは会社的にOKなのか、と聞いたら「いつも働きすぎで有給碌に使ってないから全然問題なかった。」らしい。

 未だに、彼の仕事が何なのか聞いていないけど、ちゃんと休ませてくれる会社で安心した。


 二日間、いっぱい歩いて運動(・・)もして疲れちゃったな・・・・

 私も半休取りたい・・・




 ********************


「冬休み?えーっと12/29の土曜日から1/3までだったかな。亮さんは?」

「短いんだな。俺は12/29から1/6まで。」

「あ、ちょっと長いんだね。」

 俺の目の前に目玉焼きを乗せた皿を置き、キッチンへ戻りまた作業しながらしずかが答えてくれた。


「シリアルにヨーグルトかける?牛乳はないんだ。」

「あーうん、貰う。そしたら、どこかで温泉行かない?」

 ヨーグルトを受け取り、テレビ前のローテーブル脇に座った彼女へ提案をした。


 返ってきた答えは予想外だった。

「ごめん、休み期間中私忙しい。」

「え?」

「年内は忘年会2件と大掃除と正月料理作りで忙しい。元旦は実家、年明け2日が初売りセールの手伝いで仕事。なので3日は寝ていたい。」

「は?」

 つまり俺と会う日が無いって事だ。


「俺のことないがしろにしすぎじゃない?」

「は?付き合う前から入ってた予定だから責めないで欲しい。」

 不満をぶつけたら、しずかからも不満で返ってきてしまった。てっきり、可愛く「ごめんね♡」と返ってくるものだと思ってた。

 この感じは買ってあげる(・・・)問題に似ている・・・


「・・・12/28の仕事納めの日は飲み会あるの?」

 不穏な空気をごまかす様に会話を続けた。

「ないよ。」

「なら28日夜ごはん食べて(うち)泊まったら?大掃除あるなら朝送ってあげるし。」

「・・・泊まる前提なの?」

「ん?」

「外で食事してバイバイでも良いじゃん。」

「良くない!」

 俺の反論に負けずとしずかが訝し気な目線を送ってきている。これはされても仕方ない。泊まる=どういう事かをもう彼女は知っている。



 今朝方、しずかが寝ている間にちょっと、色々、触らせて貰った。調子乗ってたら当然しずかは起きる訳で。起きた瞬間すごくびっくりしていて、当然抗議された。

 「今日25日なんだけど?」と言ったら困惑しつつもどういう意味か悟った様で、結局最後までさせて貰えたが、風呂場では少し呆れていた様にも見えた。

 昨日セックス依存症なのでは?と疑われた所の朝の出来事だったので彼女の中で疑惑が強くなって来ているのだろう。



「泊まりじゃなくてさ、どこか外でデートしようよ。」

「だから温泉デート。」

「それ泊まりでしょ。日程的に温泉はまた今度にして欲しい。少なくとも冬休み中は無理だよ。」

「しずかと二人きりでいたいのに・・・」

 拗ねると慰めてくれる事が増えたので拗ねてみたが、効かなかった。


「それだけ?」

「え?」

 俺をじとっと疑惑の目で射貫いてくる。


「う、いや、まぁ、俺はしずかとセッ、」

「はぁ・・・」

 ため息で最後まで言わせて貰えず、しずかは立ち上がった。怒らせてしまったかと焦ったが、PCデスクの上のスマホを取りに行っただけだった。


「亮さん年末年始は?」

「ん?」

「実家帰ったりしないの?」

「実家横浜で近いし、元旦は会いたくない親戚が実家に来るから行くのはいつも1/2か3。」

「そっか。」

 俺を見ずに受け答えし、スマホの画面を見つめて眉間にシワを寄せている。


「しずかの実家どこだっけ?」

(うち)と同じ。」

「え?」

「同じ市内に実家と兄家族の家がある。うちは親戚で集まるのを止めたので、家族とおばあちゃんだけで集まる・・・えっと。仕事納めの翌日は朝から掃除したいから、やっぱりご飯食べたらバイバイしよ?」

「えーーー。」


「その代わり、大晦日の夕方頃になっちゃうけど、泊まりに来る?」

「え?!」

「年越し蕎麦一緒に食べよ?」

「うん!!」

「うん!てかわいい。子供みたい。」

 あ、やっと笑ってくれた。

「何とでも言ってくれ。」

 しずかこそ笑った顔、かわいいよ。


「ただ、私元旦は実家行っちゃうよ。招待してあげたい所なんだけど実家あまり片付いてないから・・・」

「そっか。急だし、悪いから良いよ!」

「・・・・・・」



 この時しずかが何で無言だったのか俺には想像もつかなかった。



病名と言うか、症例なので伏字なしで書きましたけどアウトですかねぇ(*´Д`)

アウトだったら直しますけどね!


伏せたらOKなのかもわからないけども(*´Д`)


※二日間程お休み頂きます。申し訳ありませんが、少しお待ち頂けると幸いです。(__)ペコリ

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