表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

携帯

作者: ひで

お久しぶりです。

リハビリがてら投稿しました。

「ここの電話ボックス無くなっちゃうんだ」

懐かしい声が聞こえる。ポツンと置かれた寂れた箱。携帯が必需品となっているこのご時世に、携帯を持たず公衆電話を使っている人を彼女以外知らない。


「携帯って必要なのかな?」

中二の夏休み。連絡もなしに家に来た美咲が、俺のベッドに寝転がりながらそんな疑問を投げかけてくる。

「まあ、便利だしな」

「面倒じゃない?すぐ返信しないと駄目とかさ」

美咲はしかめっ面で、俺の携帯の画面を見つめる。親からそろそろ携帯を持ったらと言われたらしい。

「面倒だけど、すぐ慣れるよ」

「……そうなのかな」

う~んと唸っていた美咲はベッドから起き上がる。

「決めた。私、携帯なんていらない」

「……また、思い切ったことを。携帯ないと色々不便だぞ」

「携帯を触る時間を他の有意義な時間に使う。外には公衆電話もあるし、いざとなったら祐希に頼るから」

そう言ってニッと笑う。

「……結局、俺が巻き込まれるんだな」

「まあまあ、幼馴染でしょ」

ベッドに寝転がった美咲はまた笑った。


「ここの電話ボックス無くなっちゃうんだ」

その声を聞き、俺は顔を向ける。

「このご時世、携帯持ってないのなんてお前くらいだからな」

美咲は頬を膨らませる。

「久しぶりに会った彼女への第一声がそれ?」

「そのまま返すよ」

美咲は高校を卒業した後、色々な場所が見たいと言って旅に出た。相変わらず携帯は持っていないので連絡はほとんどない。でも、携帯越しではなくこうして顔を合わせた方がずっと幸せな時間だと、彼女の笑顔を見て思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ