君が、ずうっと幸せでいること。
「おはよう。さっちゃん。元気?」
僕は笑顔でその子に聞く。
その子はそうすると、元気だよ。おはようって笑うんだ。
あれ?なんでこっち向かないの?
なんで泣いてるの?
なんでそんなに悲しそうなの?
ああ、僕が、死んじゃったからなのかな。
死んじゃうのって、なんだか辛いんだね。
ねえ、笑って?
君が泣いたら、僕も悲しい。
ねえ、笑って?
笑ってよ。
ねえ、元気になって。
***
さっちゃん、また泣いてる。
僕、ここにいるのに。
君が泣いたら、僕も悲しい。
君が笑ったら、僕も嬉しい。
でもさっちゃんは、ずうっと泣いてる。
悲しんでる。
さっちゃん、ごめんね。
僕は、慰められないんだ。
ほら、空は青いし、鳥も鳴いてる。
この世界で生きている。
いつもとおんなじ世界じゃないか。
ねえ、だから、泣かないで。
こんなこと、あんまりだ。
***
さっちゃん、外に出よう。
なんでずっと部屋にいるの?
お父さんもお母さんも心配してる。
行こうよさっちゃん。
もう泣く時間じゃない。
立ち上がるべき時間だよ。
いつもみたいに、学校に行って、
「おはよう!」
って、言おう。
そしたらきっと、笑顔になれる。
何かが変わる。
みんな心配してるよ。
僕は死んじゃったけど、君にはまだたくさん大切な人がいる。
ねえ、笑って。
そしたらまた、元に戻れる。
僕は死んじゃったけど、君は死んじゃいけない。
ほら、行こうよさっちゃん。
友達も、
お母さんも、
お父さんも、
空も、
鳥も、
太陽も、
月も、
さっちゃんが大好きな人たちが、待ってる。
さっちゃんがみんなを好きなように、
みんなもさっちゃんのこと大好きなんだ。
ねえ、行こう?
さっちゃんが笑ってくれたら、嬉しいな。
***
ほら、大丈夫だったでしょう。
僕がいなくても、君は頑張れる。
ちょっぴり日常が変わっても、みんなさっちゃんが大好きだから。
これからもきっと、大丈夫。
これから僕は、ちょっと、いなくなっちゃうけど、
いつかきっと、会えるから。
だから。
できれば、僕のこと、忘れないでね。
ちょっぴり僕も、さみしいんだ。
忘れられたら、ちょっと悲しいかも。
だって僕も、さっちゃんのこと、大好きだから。
いつか、また、会おうね。
ずっと、お兄ちゃんは、さっちゃんのこと、大好きだよ。
だから、たまに、僕のこと、思い出して。
でも、それよりも願うのは。
一番、大事なのは。
さっちゃんが、ずうっと幸せでいること_________