17-3 ダンジョン走破中の出会い
新年早々間を空けてしまいました。
活動報告にも書きましたが、体調を崩し気味で全然書けてませんでした。
書くのを止める事はないので、今後ともお付き合い頂けると嬉しいです。
ジバンリン暦52年5月22日
学園ダンジョンに潜って今日で4日目。
僕は今24階層に来ていた。
目標は5日目までに31階層に到達することなので、今日を含めてあと2日で6階層分を走り抜ければ良いので、大分良いペースかな。
それとここまで走ってきて幾つか分かった事がある。
1つはこのダンジョン、深い階層に進んでもそれほど魔物は強くならないらしい。
それは確かに1階層~10階層までは初心者用というか、ボス以外は早々大怪我を負う事もない魔物だったことに対して、11階層~20階層は囲まれたらちょっと危ないかな、くらいの違いはある。
でも46階層の蜂や蟷螂に比べると1体1体は凄く弱い。
恐らくだけど、31階層か41階層から一気に強くなるんだろうな。
もう一つは魔物の種類が階層ごとに多種多様だ。
これもきっと学園ダンジョンならではなんだろうけど、まるで世界中の魔物との戦闘経験を積ませる為にあるようだ。
そして最後に、どの階層でも入口の位置が分かるようになっているらしい。
それはどこからでも見える様に柱が立っていたり、地面に矢印が書いてあったりと様々だ。
初心者用というか親心というか、とにかく親切極まりない。
今僕がいる階層は21階から続くゴーレム階になっている。
ウッドゴーレム、サンドゴーレム、ストーンゴーレムと来て、この24階層はヘドロゴーレムだ。
ゴーレム系の特徴は身体が大きく足が遅い、弱点の核を破壊すると倒れる、その体の構成によって耐性が異なる、というものがある。
まあ、僕に関係あるのは足が遅いという1点だけだ。
お陰様で難なく走り抜けられる。
この階層は地面がぬかるんでるのだけが難点かな。
ピカッ!!
そうやって走っていたら、視界の端が光った。
……今のは雷撃系の魔法の光だよね。
僕は進路を変えて光の見えた方向に走った。
そうして向かった先には予想通り、ゴーレム5体に囲まれている女の子が居た。
アイテム袋から急ぎ木剣を取り出して手前のゴーレムに切りかかる。
えっと、ヘドロゴーレムの核は大分下側にあるはずだ。
あ、こういう時に空間把握で核の場所を見つけられるかな。
「……そこだ」
ズブッ、コツッ。
よし、当たり。ならこのまま吹き飛ばす!
ドブッ。
突き抜いた剣によって核がゴーレムの体外へと吐き出されると、ヘドロの身体は力を失って崩れ落ちた。
そうしてゴーレム1匹分が空いた囲いから女の子に手を差し伸べる。
「さあ、こっちだ。早く」
「あっ、はい」
驚いたのも一瞬で、すぐにこっちに飛び出して来た女の子の手を取って、残りのゴーレムから距離を離すように走る。
十分に離れて周りに他のゴーレムも居ない事を確認してから一息ついた。
「危なかったね」
「はぁ、はぁ。べ、別にあなたが来なくても、あれくらい問題なく乗り切れたわ」
「そっか。じゃあ、余計なお世話だったね」
「ま、まあ。助けようとしてくれた事にはお礼を言っておくわ。ありがとう」
顔をプイッと背けながらお礼を言ってくれる、えっと。
「そう言えばまだ名前言ってなかったね、僕は1年のソージュ・ライオネル。
君の事は何て呼べば良いかな」
そう言うと彼女は僕を訝しそうに見て来た。
あれ?名前聞くとまずかったかな?
「あなた。この学園の生徒なのよね。しかも同じ学年の。
それなのに私の事を知らないなんてモグリかしら」
「え?」
あれ、もしかして有名人だったのかな。
だとしたら失礼な事をしちゃったかな。
「あの、ごめんなさい。
僕はこの学園に来てから問題が多かったから他のクラスの生徒まで意識が回らなくて」
「あーそうね。皆が皆、他人に興味を持ってる訳ではないものね。
私こそ、自分の事は誰でも知ってるって思うのは傲慢だったわ。
でも!あなたも入学式に出ていたのであれば、私の顔と名前を知っているはずよ」
「え?」
言われて、改めて彼女の顔を見る。
ん~、あっ!!
「確か新入生代表で立っていたSランクの人?」
「そう、正解よ。名前はエリュース。エリュース・ミスリニア」
「ミスリニアっていうと、確かシスコン学生会長の妹さんでしたね」
「そ、それは忘れてくださらない?!」
「あははっ、分かりました」
取っ付きにくい人かなって思ったけど、この顔を赤くして起こっているところを見ると、そうでもないのかもしれないな。
という訳で、テンプレのツンデレお嬢様のエリュース登場です。
文中にもある通り、入学式の時にちょこっとだけ話題に出てます。




