16-B お祝い
よろしくお願いします。
ソージュ視点でケイとミラさんのお話です。
これで今年最後の投稿になります。
皆様、お付き合い頂きありがとうございました。
まら来年もよろしくお願いします!
ジバンリン暦52年5月18日
Side ソージュ
冒険者ギルドの会議室を出てロビーまで来たところで、ケイとミラさんがギルド職員に呼び止められた。
「ケイ様、ミラ様。今、少しお時間よろしいでしょうか」
「ああ、俺たちは特に問題ないが」
「ありがとうございます。では、こちらへ」
案内されるままに僕たちは受付カウンターの一つに向った。
「事務手続きがありますので、おふたりの冒険者カードを頂けますか」
「ん?うむ」
「はい」
言われるままにDランクの冒険者カードを提出するケイとミラさん。
職員の人はそれを持って奥の部屋へと行ってしまった。
「一体何事なのだろうな」
「あー、うん。きっとすぐに分かると思うよ」
「ほう、ソージュには心当たりがあるのか」
「まあね。この独特の手続きは僕は2回体験してるから。
リーンさんも分かりますよね?」
「ええ、きっと『あれ』よね」
「あれ、とは何でございましょう」
「まあまあ、すぐに分かるし、悪い事じゃないから待ってて」
後ろをちらっと振り返ると、訳知り顔の冒険者とよく分かってない冒険者が半々って所かな。
またカウンターの奥に居る他の職員の人達もこっちの様子を気にしてるみたいだ。
そうして1、2分して先程の職員さんが戻って来た。
「ケイ様、ミラ様、こちらを」
「これは……」
「まさか……」
そう言って取り出したのは磨き上げられた鋼鉄のプレート。
そこには大きく『C』のマークが描かれていた。
「おめでとうございます!
本日より、おふたりはCランクへと昇格致しました。
これまでの多大なる貢献、誠にありがとうございます。
そしてこれからの更なるご活躍を、ギルド職員一同、心から期待しております」
「おめでとう、ケイ、ミラさん」
「おめでとう、ケイ君、ミラちゃん」
「おめでとう!!」「やったな!」
「くそー、先越された」
「なに、お前ももう少しじゃねえか」
職員の言葉に合わせて、ギルド内に居た、ベテラン冒険者達から次々にお祝いの言葉が飛んでくる。
向こうはもうお祭り騒ぎだ。
奥の職員たちも仕事の手を止めて拍手を送ってくれる。
「あ、ああ」
「ありがとうございます」
「なるほど。ソージュが2回体験した事があるっていう意味が分かった」
「うん、なんか冒険者ギルドの伝統みたいでね。
Cランク以上に昇格した人が出るたびに、こうしてちょっと思わせぶりな演出をするみたいなんだ。
あ、Bランクに上がるときはもっと凄くて、そのまま宴会に突入する、なんてこともあるから気を付けてね」
「分かった。
……でも、そうか。これで漸く一人前として認められたという事だな」
「はい。ですが、まだ入口に立っただけでございます。
これからより一層精進して行きましょうね」
「無論だ」
そう言って頷き合うふたりは、さっきよりちょっとだけ大人びた顔になっていた。
そしてちょっぴり残念そうな職員さんが所在なさげに立っている。
「はぁ。私のいう事が無くなってしまいました。
本来なら、お祝いを告げると同時に、これからが大事なんだぞって締めるんですけど、必要なさそうですね」
「ええ。俺たちには身近に目指すべき目標があるからな。
それを思えば気を緩める暇などない。
ソージュ、これからもよろしく頼む」
「うん、こちらこそ」
「リーン様も、これからもご指導よろしくお願い致します」
「もちろん。私こそよろしくね」
僕たちは力強く握手を交わす。
うん、やっぱりこの学園に来て一番良かったことは、、こうして親友であり、ライバルが出来た事だね。
どこかのタイミングで出したいなって思ってたお話。
仲間の成功を喜びあえる環境って素敵ですよね。
これのお陰で、冒険者ギルドの治安が向上したという報告が上がっているそうですよ。
それでは皆様、良いお年を。
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