16-A 討論会
1回分空きましたorz
年末年始は少し不定期になりそうです。
今回はリーンさん視点のまま閑話というかサイドストーリーの位置づけです
ジバンリン暦52年5月18日
学園が休みのこの日、私達は冒険者ギルドに来ていた。
というのも、先日のゴブリン騒動の調査を行っていた、ケイ君ミラちゃんを始めとした調査メンバーが帰って来たので、情報交換も含めて招集されたの。
ギルドの会議室には現在、私とそーくん、ケイ君とミラちゃんの他、グルンさん、ギルド長と数名の職員の人が居た。
到着したのは私達が最後だったらしく、私達が席に座ったのを見てギルド長が話し始めた。
「皆良く集まってくれた。
先日のゴブリン騒動では君たちのお陰でほとんど被害も出ることなく事態を収拾することが出来た。
本当にありがとう。
今回集まって貰ったのは、その感謝を伝えてねぎらいを、と言いたい所だったんだがな。
実は調査を行っていた職員から気掛かりな報告が上がって来たので、君たちの意見を聞かせてほしい。
なお、ここで聞いた事は他言無用だ。いいな。
では、ミュー君、改めて報告を頼む」
「はい」
ギルド長に呼ばれて立ち上がったのは普段受付をしてくれていたミューさん。
先の騒動で先陣を切って駆けつけてくれたらしいし、実はただの受付嬢じゃないのかもしれない。
「報告させて頂きます。
騒動そのものについては皆さんご存知だと思いますので割愛致します。
私どもが現地で調査を行った結果、通常では考えにくい点を列挙します。
まず、通常今回の様に災害級の魔物が発生した場合、他の魔物が住処を追われて移動を行います。
その現象を見て、我々ギルドは異常の発生を感知するのですが、今回はそれがありません。
更に今回の調査中、魔物に襲われることがほとんどありませんでした」
「それは、元からあの山にゴブリン以外の魔物が居なかっただけではないのか?」
「いいえ。地元の方に確認した所、普通の山林と同様に多種多様な魔物が確認されています」
グルンさんの疑問にミューさんは首を横に振り話を続けます。
「続いて、リーン様の報告にあったゴブリンキングが居た場所、およびその周辺を捜索しましたが、あれほど大量のゴブリンが生活を行っていた場合、あるはずのコロニーが確認出来ませんでした。
そして最後にこちらをご覧ください」
そう言って私達に渡してきたのは魔石だった。
でも……あれ?
「何か変ね」
「そうですね。何というか、酷く歪ですね」
「あ、確かに。普段見掛ける魔石はもっと左右対称に近い形してるのに。
まるで強引に形を変えたのか、異なる魔石を繋ぎ合わせたらこんな形になるかしら」
「なに!?……ふむ、言われてみれば」
「そうか、やはりそう思うか」
あれれ。思い付いた事を口にしただけなのに、グルンさんを始め皆に凄い納得されちゃった。
ギルドマスターの口ぶりからすると、既にそう考えていたのね。
「リーン君が言ってくれた事と我々の考えは同じだ。
この魔石は元は小さい魔石だったものを繋ぎ合わせて大きな力を発揮させていたのではないかと見ている。
それにより、本来なら早々存在しないはずのゴブリンキングを2体も生み出したのかもしれない」
「人工ゴブリンキング。それが本当で、奴らがその魔物を操れるとすると、大災厄の再来じゃねえか」
「「……」」
大災厄。20年ほど前に起きたそれは、魔物の大侵攻と大陸の地形が変わる程の天変地異が起こり、当時の大陸の総人口の1割の人が亡くなったとも言われている。
そんなものが再び起これば、学園を含む私達全員がただでは済まないだろう。
そういう暗い考えが頭を過った時。
そーくんの声が耳に届いた。
「今回のはまだ、実験だったのかもしれないです」
「と、いうと?」
「はい。もし仮に奴らが魔物を自在に操る技術を確立しているのなら、今回の村を襲うようなことはしなかったと思うんです。
あの村には、こうして自分たちの存在を知られる危険を冒してまで攻めるメリットは無かったはずです」
「ふむ、言われてみれば。
今回の事がゴブリンキングを生み出す実験だったのか、それを操る事が実験だったのかは定かではないが、奴らの技術が未完成である可能性があるということだな。
ならば、それが完成する前に奴らを殲滅することが出来れば、被害を食い止める事が出来そうだな。
うむ。そこは冒険者ギルドが総力を挙げて調査を行っていこう」
「私達も出来る事があれば協力します」
「勿論俺たちもな」
「うむ、よろしくお願いする」
そうしてその会議は幕を閉じた。
きっと、また近いうちに大規模な魔物の侵攻があるかもしれない。
今私達に出来るのはその時に備えて力を蓄えておくことかな。
色々な話が出過ぎてて落ち着かない話の流れになってきていますよね。
もしかしたら後日調整するかもですが、ひとまずはこの先の話できゅっと纏めていく予定です。




